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第十二局【雀聖位編】
6巡目◉地味に地道に一歩ずつ
しおりを挟む決勝戦に進んだのは以下の選手。
準決勝Aグループから
タイトルホルダーシード
佐藤優
プロA1リーグシード
河野勇一郎
準決勝Bグループから
プロ予選通過
財前真実
雀聖位シード
左田純子
この4名であった。
やはりシード権が貰えると上がって来やすいのか。それとも、強いからシード権があるのか。そのどちらもだと思われた。マナミだけが最も低い位置から勝ち上がっている。その辺はさすがの麻雀部部長といったところか。
決勝戦が行われるのはまだ先だ。季節は冬になりもうすぐで今年も終わる。アンたち3年生ももうあと僅かで高校卒業となる。財前姉妹にとっての10代が終わりに近付き完全に大人になろうとしていた。
「…なんか、カオリはもうすっかり大人ね。マナミはあんまり見た目の変化ないけど、カオリは段々とミサトみたいになってきたわ。なんか、雰囲気がキリッとしてて凛々しくて。成長したわねえ」とメグミが言う。そうなんだろうか? 自分ではわからない。マナミがとくに変化してないのは分かるけど。
マナミって変わらない。最初会った時から可愛いくてキラキラしててキレイで元気で良い子。髪色が明るくなったくらいしか見た目の変化はしてないんじゃないかしら。でももうマナミもあと数ヶ月で二十歳なのよね。信じられない。
ハタチって言うともっと大人だと思っていたけど、高校2年の出会った頃とあまりにも同じだ。でもマナミはそれでいいの。ずっと元気で可愛いままでいい。
「ミサトみたいになったって言われるのは嬉しいです。私にとってミサトはいつも憧れだったから。ミサトは私たち麻雀部のヒーローです」
「あら、あなたもマナミもユウだって私からしたら素晴らしいヒーローよ。あなたたちの輝きに嫉妬しない日なんかないんだから」
「何言ってんですか。メグミさんなんてそれこそ最高なのに。旦那さんに愛されていて子供が2人いて自分の才能を活かした仕事をしていて。大人の女性の理想像ですよ」
「…へへへ。かもね。でも、私は麻雀で輝きたいの! タイトルホルダーになりたいのよ!」
「分かります!」
「ユウちゃんしかりミサトしかり、麻雀部はタイトルホルダーを出しているじゃない? 凄まじいわよね。あなたたち麻雀部は天才の集まりよ。タイトルっていうのは特別よね」
「私は天才ではないですけど」
「あなたは努力を重ねることが出来る才能がある。いい、カオリ。その才能はみんなあるわけじゃないし、それが一番強くなる才能なのよ。あなたはその才能を発揮していけばいつか世界一になれるわ」
「そ、そうですか? 地味な才能な感じしますけど」
「地味が一番よ。地味に地道に一歩ずつ。そのまま進み続ける先にはきっと誰よりも素敵な未来がある!」
「…はい!」
《いい先輩を持ちましたね、カオリ。私もメグミさんの言う通りだと思いますよ》
(私の本当の才能は付喪神との会話が出来ることだけどね)
《そういえばそうでした》
そして、麻雀部にまたタイトルが増える。そんな予感がするのであった。
来月は雀聖位戦決勝戦!
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