上 下
209 / 297
第十二局【雀聖位編】

4巡目◉慎一の祈り

しおりを挟む

Bグループ1回戦オーラス

9巡目
竹田手牌
一二三四伍六七七七八455 ツモ6 ドラ七

(よしっ! 三-六-九-八サブロッキューパーの4面待ち! もらった!)

「リーチ」

 ツモられツモられでいつの間にか断ラスに落とされていた竹田慎一にここに来て大物手が入る。これなら3着逆転どころか2着浮上も可能だ。しかし、出ることなくツモることもない。3着目の左田が押してくれているのにこの4面待ちがアガれない。そんな14巡目。ついに手元に来たのが八だった。
(八! 唯一、裏ドラに頼らないといけない八ツモ! 三はまだ山にありそうだし、六-九だってないわけじゃないのにここで八か… でも、もう14巡目で左田プロも押している。まだ、2回戦も残ってるし、ツモるべきだろうな…。萬屋勝マサルならここでツモるだろ。北山銀次ギンジなら… どうだろうな…(ここまで0.1秒の思考))

 学生時代に何度も遊んだ旧友たちの麻雀を思い出しながら竹田はその牌をそっと手牌の右端に表向きに置いた。

「…ツモ」

竹田手牌
一二三四伍六七七七八456 八ツモ ドラ七

 4面待ちのド安めだが裏が乗れば2着だった。しかし、乗らないならラスのまま。
 運命を左右する裏ドラ開示の瞬間! ここに、裏ドラ表示牌に、この手を12000にする力よ! 眠っていてくれ! そう祈るように手を伸ばす。

(裏ドラ! 頼む! 1枚でいいんだ。乗ってくれ!!)




裏ドラ九



「……2000.4000」

 祈り届かず、そこにあったのは八だった。九なら出アガリでも倍満だった手が安めツモの満貫止まりでラス。トップ目から九が出ればトップ逆転という手を作ったのにだ。まあ、佐々木剛太に限ってこの場面で放銃などしてくれるわけはないのだが。

「ふっ…」(銀次… お前なら、どうしてた? 会いてえな。今、お前たちに会って、この手どうしたか聞きたいよ)

1回戦終了
1着トップ 佐々木剛太
2着 財前真実
3着 左田純子
4着ラス 竹田慎一

 2回戦に行く前に少しの休憩となる。観戦しているミサトたちを見つけてニッコリ笑い手を振るマナミ。

「マナミ、見てたよ! 凄かったねあのメンタンピン」とミサトが珍しく興奮している。
「あー、あれね! 頑張ったよね。あの手を満貫に出来たのは嬉しかった。でも、佐々木さんに騙されちゃって2着だったけどね」
「まだ、あと1回あります! 頑張って下さい!」とユキも応援する。
「ありがとう! 応えられるよう、がんばるわ。決勝で私たちのユウライバルが待ってるからね」

『時間になりましたので選手の皆さんは卓に戻って下さい』

準決勝Bグループ2回戦開始!
しおりを挟む

処理中です...