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第十一局【麻雀教室編】
16巡目◉味方の邪魔をしない
しおりを挟むオーラスの点棒状況
ユウ 40700
プロA 24000親
プロB 23200
プロC 12100
ここでプロCがリーチしてきた。プロCはそう簡単にはトップを捲らない点差からのリーチなので1番の味方からリーチが入った場面だと言える。問題はプロCがノータイムでリーチした場面でユウは危険牌の八を押してカンチャン待ちのテンパイをキープしていいのかということだが。跳満放銃まではトップキープ。倍満放銃でも2着にしか下がらないのでそのまま押しでよいと思う人がほとんどではないだろうか。だがそれは自分がリャンメン待ちの場合の選択だとユウは思った。
打中
(ええっ!? 放銃してもトップなのに降りちゃうの?)とユキは驚く。
(へえ、大したものね。さすがユウだわ)とミサトは感心する。
数巡後
「リーチ」
プロBが打伍とし追いかけリーチとした。しかし。
「…ロン!」
三四伍六七八八②③④234 伍ロン
「8000」
すると後ろで観ていた猿山プロと富士山プロが関心していた。
「なるほどな… トップ目から満貫放銃なんてされてもラス目はラスのままだからアガりを見逃すだけ。そうなればフリテンになってツモ専になっちまったら2着目や3着目から打たれてもアガれなくなるから局が長引いて親の連荘を誘発する可能性がある。自分は愚形だから自力優勝も難しいしな」
「それよりはノータイムでリーチしたラス目の手の方がアガリやすいはずだと予想しそのアガリを応援して味方の邪魔をせずにベタ降り。ツモか2着目や3着目からの放銃を待つ方がいいということか… だてに俺たちを倒してタイトルホルダーになってないというわけだ、この佐藤優という子は」
ユウはくるっと椅子を回して観戦者に笑顔でピースしてきた。まず1勝。
続く2回戦は完全にユウのペースだった。1回戦のオーラスにせっかく2着浮上条件を満たした手を作ったのに3着止まりだったプロC。役ありテンパイなのに素点欲しさにリーチしたことで伍を見逃してもらえなかったプロB。2人ともテンションは下がっていた。プロAだけが淡々とアガリを目指していたが危険人物が1人しかいないのはもはや勝ったと同じことだ。なぜならトータル2位まで決勝進出するから。
プロBは雀士としてまだ未熟で到底ユウには勝てない実力だった。1回戦オーラスのあの伍だってユウだったら絶対に横にしていない。
プロCは気力を振り絞って勝負するがどうしても空回り。早いテンパイをリーチしたり鳴いて愚形をテンパイ取りしていたりして攻めたが。結果、手は早いけど待ちが少ないので結局は急いでテンパイに取らず良形イーシャンテンとして作り直していた方がアガリになっていたという事が2局続き心が折れていた。
(焦りすぎ)
(ここで勝てば決勝だから仕方ないのかもしれないけど、焦れば焦るほどユウが助かるだけ。ユウの決勝進出は決まりね)
「ツモ」
ユウ手牌
12345678西西西中中 9ツモ
中も鳴かずに焦らずにじっくり作った3000.6000でユウは決勝進出を華麗に決めた。
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