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第十一局【麻雀教室編】
7巡目◉ミサトの狙撃
しおりを挟む今日は女流リーグ第2節。
ミサトのことを新人王だと知った飯田ユキが今日は観戦に来ていた。
(えーと、井川さんはどこかなー。あ、いたいた)
ミサトの卓を見てみると、もう南2局だった。ミサトは25000点持ちの2着目。
(あれ、開始15分でもう後半戦になってるんだ。早いな。ていうか井川さん25000点持ちってもしかして一度も点数動いてないの?)
そうなのだ、この卓はロンの応酬で進んでおり連荘もなく、ミサトは持ち点を動かさずに南2局まで進めていた。しかし、そのように仕向けたのはミサトであり、この展開はミサトが作り上げたものだったのである。
この日のミサトは手が悪かった。なので威嚇するように仕掛けをしておいてその実テンパイしておらず、ミサトばかりを気にして警戒した結果、他の人に放銃。それの繰り返しで南2局まで失点ゼロに抑えたのだ。そのような芸当が出来るのは新人王というタイトルがあればこそ。ミサトは自分のタイトルホルダーという立場を目一杯利用した戦略を選んでいた。さすがの対応力である。
そして今、ついにミサトに手が入る。
ミサト手牌
二三三四伍六七八九⑥⑥45 6ツモ ドラ⑥
一は3着目が3巡目5巡目に捨てていて2枚切れ
ユキは思った
(これはリーチ! 最高の仕上がりです! イッツー目指して曲げましょう!)と。
しかし、ミサトはトップ目が前巡に少考して捨てた二に目をやっていた。トップ目は5も捨てている。
ミサトの思考
(5を先に捨てていながら一二とあり、さらにそれを結局中盤で払うなんてこと、あまりないな。一はあと2枚しかないし。枚数的にも可能性は少なそうだ。としたら対子落とし? その可能性もあるけど、もっとそれよりありそうなのは…)
ミサト脅威の選択
打九ダマ!
ユキにはわけがわからない。
(えっ、なんでなんで? リーチしないの?ていうかイッツーは?)
しかし2巡後にトップ目が捨てたのは…。
「リーチ」
打四
「ロン。8000」
ミサト手牌
二三三四伍六七八⑥⑥456 四ロン
(きゃーーーー! すごいすごいすごい!)
一流の読みで狙いすましたミサトの狙撃が決まる。ミサトはこういうことも出来るのだ。
第2節のミサトはこの局で一気に勢いをつけてその後は圧倒的な力の差を見せつけた。
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【womanの解説】
はい、お久しぶりです。解説のwomanです。
凄かったですね。ミサトの九ダマ。なかなか出来るものではありませんよ。
さて、ではなぜミサトは四が出るのを予想出来たのでしょうか。
トップ目は5を捨てていました。その後に手出し二というのはほぼ間違いなく二は孤立牌ではありませんよね。孤立牌としての価値は5の方が上なのですから5を使えない手役でも作っていない限りはこの二は何かとくっついていた牌と読めます。
それも、少し悩んで出した二なので選択肢がある手です。二四に伍を引いたような、選択の余地ない場面ではないとも読めます。
つまり、5は
二四④⑥55688
のような手から捨てていて、その後4あたりを引き、どちらのカンチャンをどの手順で捨てたものか悩んでリャンメン変化を期待して先に二。
四④⑥45688
のようなイーシャンテンではないかと読んだわけです。
これが一瞬の迷いから読み取れるので麻雀はテンポがいい人の方が強いんです。
以上、womanの解説でした。
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