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第十局【激闘!女流リーグ編】

16巡目◉インファイト

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 成田メグミは喜んでいた。
(この20人しかいない女流リーグで茨城女子あのこたちに当たらないで済んだのはツイてるわ! 今日はたくさん勝てそう)

 ウキウキしながら挑む。もはや対戦相手は誰でもいい。あの子たちじゃないのなら。ベテラン選手であるメグミがそう思うくらいにはカオリたちは強かったのだ。

1回戦
 5200放銃を3回するも跳満を3回ツモってトップ。
2回戦
 4000オール。2000は2100オールを決められるも18000直撃して逆転。そのままトップ。
3回戦
 5回も放銃しつつも親満を2回ツモで気付けばトップ。
4回戦
 東1局に倍満を放銃するもその後は全員にほぼ何もさせず終わってみれば圧倒的なトップ。

(どうだ! 私だってあの子たちさえいなきゃ容易くトップになれるのよ!)

「見てたわ、メグミ。強かったじゃない」
「アカネさん!」
 そこには女流Aリーグ所属の杜若茜かきつばたあかねがいた。
「放銃が多いのは相変わらずね」
「はい! あれが私の戦闘スタイルなので!」
「そうね、あなたは踏み込むスタイルのプロ。1番格好いいスタイルよね。誰でも出来るものではないわ。私も尊敬してる」
「尊敬なんて… へへ。私に出来ることは接近戦インファイトなんで。相手のこぶしが届く位置まで踏み込むからこそ私の鉄拳が炸裂するということですね」
 そう言ってメグミはグッとこぶしを構えて見せた。
「不器用だけど強烈な。そんなあなたの麻雀にはファンも多いし、そのまま勝ち続けたらいいわ。私は女流Aで待っているから」
「すぐにAそこに行きますので待たせません。きっと、かわいい後輩と一緒に、すぐに行きます」
「世の中ラス回避率やら放銃率やらを分析する風潮になって来ているのに、そんなものには全く興味を持たず、ただひたすらトップを奪いに行くあなたは私の自慢の愛弟子よ。世界に見せてあげなさい、勝つ麻雀の真髄を!」
「はい、私はいただきにしか興味がありません。例えラス率30%でも40%トップならそれでいい! ラス率を仮に5%としてもトップ率25%ならそんな麻雀はごめんです。私はトップを取るために生まれてきたんです」
「そうね、だからこそ準優勝なんて…」
「準優勝は負けです。新人王戦準優勝二回… 聞こえはいいけど敗者です。そんな負けた実績をベストだと誇る人生には… したくない! 私は一花咲かせますよ、杜若茜の弟子の名のもとに… ね」

 ニコリとアカネは微笑むと「お疲れ様、私はこのあと仕事だから先に行くわ」と言って会場を去った。
「お疲れ様でした!」

成田メグミ

女流Bリーグ第1節戦績

①×4の完勝
+264.2
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