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第十局【激闘!女流リーグ編】
15巡目◉仕方ない
しおりを挟む3人がぶつかり合う中で1人冷静に状況を見ている者がいた。4人目の女、福島弥生である。そう、今期でC2リーグに昇級した1人だ。彼女もこのゲームに参加していた。
彼女の麻雀は余計なことをやらない麻雀だった。例えば、自分が手が悪い時。それでも前に進むのが普通の考えであると言う人は多いし、それが正解かもしれないが。彼女は進まない。既にこの局の先手を取られた時の対応策に焦点を当てている。なのでいつまでは危険牌を捨て、いつから安全牌切りに切り替えるかの絶妙な使い分けが上手い。
無駄な失点はしない彼女は常にトップ逆転が可能な位置に自分を置いて終盤戦のチャンス局に集中して攻めるゲームメイクを得意とした。それ以外の局はAIのように撤退をし続ける。まるで感情がないかのようだ。
(福島さんか… この人、すごいわね。大体で打ってる私とは真逆の存在だわ)
《そんな事はありませんよ。あなただって充分深く考えて打っているじゃないですか。でも、確かに、この福島さんという方からは強者のオーラが見えますね》
(やっぱり? 私にもボヤ~っとだけど見えるのよ。常時オーラ纏ってる人は久しぶりに見たわ)
すると福島から急に炎が上がる。(ように見えた)
オーラを視認出来るカオリとマナミはビクッ! としてしまう。
「リーチ」
福島弥生の初リーチだ。そして、絶対に高い…! 万が一にも放銃は出来ないなと思って対応するカオリ。
マナミもそうは思っていたのだが…
マナミ手牌
二三四伍六①②③55556
ここに6を引いてきてしまう。ドラは北だ。
(えっこんなの… カンしてリーチするに決まってるじゃない!)
「カン」
新ドラは5! もうマナミに迷いはない。ドラ4の三面張となったのだ、迷うわけがない。
リンシャンは… 惜しい! 八だった。
打八
「リーチ!」
「ロン」
福島手牌
八九九九111123北北北
幸い? 裏は乗らなかったが12000だ。
「はい」
マナミはオーラを感じていたし12000失点は痛い。しかし、この手から押せないようでは話にならないというのも事実。その事を冷静に思い。
(いいんだ、私の麻雀はこれでいい。気にしても仕方ない! 次だ!)
と気持ちを強く持つマナミは12000放銃くらいではびくともしない。そんな雀士にいつの間にか成長していたのであった。
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