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第十局【激闘!女流リーグ編】
13巡目◉呼吸
しおりを挟む女流リーグ第1節でいきなり同卓となった財前姉妹と井川ミサト。3人がいきなり同卓というのは珍しいが、カオリたちの属する女流Bリーグは20人しかいないので当たる事自体は不思議でもなんでもなかった。
すると第1節の1回戦目からさっそくカオリとミサトは火花を散らして激突する!
女達の本気のバトルがいま最初の山場を迎えていた。
カオリ手牌
中中四六七八九(一二三)(白白白)
ミサト手牌
二三四伍⑥⑦⑧(456)(④④④)
親はミサト。お互いに満貫テンパイだ。そして、ミサト残りツモ3回というこのタイミングで引いてきたのは——
ツモ三
(三!? いやコレはムリでしょ。いくらなんでも。流れる寸前になって萬子のホンイツテンパイがいるの知ってるのにこの牌切るやついないって。だけど… これオリるの? 私、降ろされるの? それもキツイわ…… 親番でずうっと親満テンパイしてたのに、オリるってこと? まだ東3局なのに? ……つら)
「……すいません」
珍しく長考するミサト
(せめてテンパイ料くらい欲しいというか、親権を手放したくないわよね。だとしたら、待ちの枚数はこの際少なくてもいいんじゃない? どうせ流局濃厚なんだから多い待ちを取る価値はそんなにない。そして二、三、伍のうちで一番マシな牌はと言えば?)
打伍
「ロン! 8000」
「はい」
(やらかした、やらかした完全にやった。マジでカスな放銃。なーにが守備派かこのアホが!)
マナミが横目で見てる。(なんて甘い牌捨ててんのよ! 真面目にやってよ!)と言われてる気がする。恥ずかしくて顔が上げられない。
《ミサトから出るとは思いませんでした》
(そうね。これで点数以上に精神力を削れたと思うんだけど)
《精神力を?》
(ミサトの麻雀はコンセントレーションが強みだってwomanが言ってたんじゃない。だからこれで集中力がしばらく下がってくれたら勝ち目もあるかなって)
《考えてますね、カオリ》
(当たり前よー! …たまたまだけど、そうなればいいなってだけ)
すると、スーーーー…… フウーーーー
と呼吸を整えるミサトがいた。もういつものキリッとした顔に戻っている。
《既に呼吸を整えたみたいですね。やはりそう簡単には崩れてくれません》
(あのミサトの呼吸を一度でも乱したなら、それだけで上出来よ)
《それは、そうかもしれませんね》
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