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第十局【激闘!女流リーグ編】

12巡目◉手詰まりの手でもアガリを目指す

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 財前姉妹と井川ミサトの対局は予想通りの激闘になった。

「ポン」
「ポン」
「チー」
「チー」

 激しい空中戦。
 まず、ミサトvsカオリのバトルだ。ここでカオリのやった技が凄かった。

カオリ手牌
中中四六六七八(一二チー)(白白白) ⑧ツモ

 カオリは西家でドラは④だ。早い段階でピンズ中央を見切り打⑤としたら次にドラを引かされてアタマ来て捨てたらミサトにポンされ、それでも白ホンイツのテンパイにまでこぎつけたのだが待ちは良くない。そんな嵌《かん》伍待ちをしていたら引かされた⑧。

 その時、親番のミサトはというと。

ミサト手牌
二三四⑥⑦⑧⑧(チー56)(④④④)

 ミサトの捨て牌はテンパイ濃厚だと語っていた。ドラ3見えてる所に放銃は出来ない。

(この⑧は危険だ)

 場には六が1枚マナミの6巡目に捨てられていて、八はミサトが2巡目に捨てている。中は生牌しょんぱいだ。

カオリの選択

打八

そして

中中四六⑧六七(一二チー)(白白白)
このように並べた。

《?》

 これはwomanにすら分からない技術だった。カオリは何の意味があって⑧をあの位置に置いたのか。

同巡

ミサト手牌
二三四⑥⑦⑧⑧(チー56)(④④④) 伍ツモ

ミサトはこう考える
(ツモ伍……か。どうする? カオリはホンイツだろうけど。さっきのカオリの手出し『八』をどう見るか…。現物ではあるが、右端に置いていた牌を捨てただけ。中抜きという感じではないからオリたかは不明だ。単純に捨てようと思って用意していた牌を捨てただけかもしれない。それに八を手出しした時、その時引いた牌は3つ隣に入れていた。つまり伍を引いて六七八を伍六七にしただけの可能性があり、その点から見てもオリたとは限らない。とするとその場合伍は通りそうだが二は危険。せっかく④をポンすることで使いづらいことが明白になってる⑤で待ちたかったが…もう捨て牌も3段目。ここは受けるのが私の麻雀…)

ミサトの選択

打⑧

二三四伍⑥⑦⑧(チー56)(④④④)とする。


次巡カオリ

ツモ九

打⑧

ミサトの思考
(ウッ! 手出し⑧! カオリは⑧を掴んでたんだ。それを悟らせない並びにしてたのか!)

ミサト

同巡ツモ白
ツモ切り

次巡カオリ
ツモ八!
打六

《すごい!》

カオリ手牌
中中四六七八九(一二チー)(白白白)

カオリはなんとテンパイ復活。
一度は詰んだ3900点の手を手牌の並べ方ひとつで復活させ、しかも満貫にグレードアップさせたのだ。
局は続き、流局まではあと3巡…。
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