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第十局【激闘!女流リーグ編】

6巡目◉資金問題

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 カオリたちは注目の新人として月刊麻雀師団に取り上げられた。その事は意外にも友人知人に知れ渡り、家にも2冊の本が届けられたので両親も雑誌を読んだ。
「これ、グリーンの中で取材受けたのか。店内はお父さんが学生の頃から少しも変わらないな。…しかし、うちの子達が注目の新人プロとして特集を受けることになるとはな…。全く、人生は何があるか分からんもんだ」
「他の人みたいにBIGタイトル獲得! とか。連覇! とか。そう言う大偉業ではないけどね。やっぱり『姉妹』っていうのが珍しいからじゃないかな」
「美人姉妹だしね。特に姉が」とマナミが自ら言う。
「む… マナミは気付いてくれないけど私も最近は髪を伸ばして女性らしくしているのよ」
「はいはい、マナミもカオリもどっちも綺麗よ。それにプロリーグ初参加で即昇級だってお母さんみたいな素人から見たら大偉業に聞こえるわよ。誇っていいと思うわ」とお母さんが言ってくれる。

 カオリたちの両親はプロ活動を全面的に応援してくれていた。それは離婚や再婚をしたことで子供に引っ越しをさせたり生活環境を変えさせたりを強いてきたことの申し訳なさからの両親なりの謝罪でもあった。せめて、子供達がやりたいというものを全力でやらせてあげれる親であろうと。それで子供たちが経済的に困るようなことになるとしても、そうなったら必ず支援してやろうと。いつでもこの子たちの一番の味方でありたい。そう考えているのであった。

 今日は女流リーグの参加申し込みをする最終日だ。カオリたちは参加するべきかどうかずっと悩んでいた。
 
 プロリーグの参加には参加費がかかる。カオリ達は雀荘でアルバイトしてるとは言え基本は学生であり、月に数十時間しか働けない。それではたいした稼ぎにはならない為、女流リーグまで参加するとなると参加資金が足りなくなる。貯金を崩してまでやるべきなんだろうか? 今はまだその時じゃないのではないか? 
 なので女流リーグは不参加とするつもりでいたが。
「不参加かなー。お金かかるし。ミサトはバイトでかなり稼いでるから参加しそうだけど…」そう言ってカオリたちが不参加で送信しようとしたその時…

「なんだ、資金がそんな理由で女流リーグに行かないつもりなのか。ダメだ! 2人共こんなに才能があるんだ。やれるだけやってみなさい。お金は気にしないでいい。こんな時に助けてやれないような親には俺自身がなりたくないんだよ」
 と言って父が全額支援してくれることになった。

「ありがとう、お父さん!」

 こうして財前姉妹の名は女流リーグにも登録された。
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