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第九局【新世代編】
16巡目◉説得
しおりを挟む次の土曜日。今日は前半がカオリ、後半がマナミの出勤だ。すると店長から驚きの報告を受けた。
「メグちゃんね、プロやめるって。ここの仕事は続けるんだけど来月からメグちゃんは女子バイトになるんだ。まあ、やる事はあまり変わらないけどそう言う事だからよろしく」
それを聞いたカオリはショックだったが。それよりマナミが気掛かりだった。マナミは最後の対局で自分のアガリがトドメを刺したと思って気にしている。その上プロを辞めたなどと知ればどんな風に思うだろうか。
「あの、このことはまだマナミには言わないで下さい。どうか、どうか。おねがいします!」
「あっ… ああ。それはいいけれど」
「ありがとうございます」
————
15時40分
「おはようございます!」
カオリとマナミの交代の時間だ。
「いらっしゃいませ!」
マナミが出勤の挨拶をホールにする。
「マナミさんおはようございます。いま仕事はとりあえず落ち着いてるから。あっ、カオリさんはもうあがっていいよ」
「ありがとうございます、じゃあ挨拶してあがります」
「お先に失礼します。みなさまごゆっくりどうぞ」
「お疲れ様」
「はーい、また明日」
「カオリちゃーん昇級おめでとう! 明日は何時からなの?」
「ありがとうございます! 今日と同じ10時からですよ。明日も来てくださいね」
カオリはお客さんに大人気だ。財前姉妹は今や水戸の麻雀アイドルになりつつあった。
(さて、メグミさんを説得しなきゃ)
“メグミさん、会ってお話ししたい事があるんでこれから駅前の喫茶店『グリーン』に来れませんか? 私は今日はもう用事がないのでのんびりお茶して待っています。来れたら来て欲しいです”
(さーて、なんて説得しようかなぁ。ねえwomanどうする?)
《メグミさんにも事情があるでしょうし、そんなうまくいきますかね?》
(とりあえずはやってみる。話はそれからでしょ)
《まあ、頑張ってみましょうか。私も彼女がプロを辞めてしまうのは悲しいです》
(そうよね、それを伝えてみるわ)
(あとは、アンに連絡か)
“今から『グリーン』に行くけどなるべく静かな席を2席取っておいて欲しいの。できたらで構わないけど”
するとアンからは即で返信が来た。
“OK”
(よし)
しかし、メグミからの返信はすぐには来なかった。
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