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第九局【新世代編】
13巡目◉おめでとう
しおりを挟む手牌を開いたのはマナミだった。
マナミ手牌
四伍六七八⑦⑧⑨789南南 九ツモ
「2000.4000」
「「ありがとうございました」」
これでトップはマナミで決着。おそらくマナミは総合5位になったと思われる。気になるのはメグミの順位だった。スレスレで昇級出来るかどうかの瀬戸際なはずだが。
パソコンに上位全員の成績が入力される。終了していない5人打ちの卓はまだ2つあるがどちらも昇級ラインには到底届かない人しか居なかったので実質この成績を打ち込んだ結果が全てである。
パソコンの画面を覗きに行くマナミとメグミ
1.中野雅也+329.4
2.財前香織+296.5
3.井川美沙都+240.2
4.神田川満+240.0
5.財前真実+183.9
6.福島弥生+170.9
7.豊田貴志+150.0
ーーーーーーーーー
8.成田恵美+148.9
「1100点差……」
マナミは手放しで喜ぶことは出来なかった。自分の三色がなければ。あれをダマのままにしていれば豊田プロの打牌も違っていて鳴きはなかったかも知れない。もし出アガリなら。あるいは安目のツモなら。メグミさんも昇級していたのに…。そう思うと苦しかった。7位と1100点差の8位…!
「アハ。惜しかったけど、ダメだったか。まあ、相手がちょっと毎回毎回悪かったわよね。健闘した方だわ。ハハハ…」
そう言うメグミの顔は笑顔を作ってはいたが泣き顔に見えた。
今にも涙が出てくるのではないかという… そんな顔をしていたのだった。あの、強いメグミがである。
(どんな顔をしたらいい。なんて声をかけたらいい。分からない。メグミさんにかける言葉が、見つからないよ……)
「………お疲れ様でした…」
「うん…。みんなは、おめでとう…」
その「おめでとう」はなんとかギリギリ絞り出したような。小さな、それでいて精一杯な。メグミからの祝福だった。
(メグミさん…)
こうしてカオリたちの最初のプロリーグが終わった。
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