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第九局【新世代編】
4巡目◉オリジナル
しおりを挟む中條ヤチヨは本を読んでいた。
経営学から歴史小説、戦術論に心理学。様々な、一見麻雀と無関係な本を読む。
それらが役に立つんだと竹田アンナから聞いたのだ。
「戦術は学ぶだけじゃだめ。気付くことが大事。
他人の書いたものを読んで知識として教えてもらうのもいいけど、自分で見つけるとさらにいいの。麻雀にはまだ見ぬ新戦術がごまんとある。それを見つける上で役立つのは読書よ。麻雀をやり込んでいるとね、あらゆるものを『これ麻雀だとこんな感じかな』と思う事が可能になるの。ていうか癖よね。なんでもかんでも麻雀に例えてしまうのは。
自分で見つけたオリジナル理論は知識ではなく知恵を与えてくれるわ。どんなに知識があっても知恵が無ければ応用できない。全く同じ場面は二度と来ないのが麻雀なんだから、知識だけでなく知恵を持つ事。とりあえずこれが私のおすすめかな」
そう言って渡された本は『孫子』だった。なるほど、戦をするという意味では麻雀も同じようなものだし、この本はとても役立つ気がする。アン先輩のいとこのお兄さん(棋士)は「将棋とサッカーは共通するものがある」と言ってサッカー漫画を読むのが好きなようだし。専門書を読み漁るだけでは身に付かない力。それは『新しい発見をする能力』それを鍛えるようにしなさい。そう言うことを先輩は言いたいのかもしれない。
あらゆる本を読み、様々な考え方を鍛えていくうちにヤチヨは自分で本を物語形式で書いてみたくなる。
(ちょっと書いてみようかな…)
後の麻雀界で最も有名になる麻雀小説の作家『ヤチヨ』が初めて筆を取った瞬間であった。
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