麻雀少女青春奇譚【財前姉妹】~牌戦士シリーズepisode1~

彼方

文字の大きさ
上 下
137 / 297
第八局【運命の雀荘編】

6巡目◉ファーストペンギン(前編)

しおりを挟む

 今日もアンは麻雀部に来ている。今日は珍しくアンとユウの二人だけだ。

「今日はふたりだけだしたまには将棋でも指そうか?」
「いいですね、気分転換になりますし」

 ユウはスグルの勉強机の下にある将棋盤と駒を引っ張り出した。

「私、あまり強くないから先手ちょうだい」とユウがハンデを要求してきた、それはそうだ。なにせアンはプロ棋士のいとこなのだから。

「いいですよ。でも平手ひらてでいいですよね?」
「それは大丈夫。あんまりにも勝てないと思ったらハンデもらうね」
「分かりました」

パチ

パチ

パチ

パチ

パチ

パチ


 将棋を指しながらアンはユウに先日思いついたインスタントコーヒーの美味しい淹れ方を説明した。

「…てことでね。私はインスタントコーヒーでも美味しく飲めるコツを掴んだわけですよ」

パチ

「へぇ、やっぱり手間をかけた方がいいものが出来るのは麻雀でもなんでも一緒ね」

パチ

「中には最速最強とか言う人もいるけど、そんなわけないですからね」

パチ

「あれは本気では言ってないでしょ。キャッチーなタイトルで売り出したいっていう戦略なだけよね。まあ、最速最楽ではあるけど、楽な提案は人気になるのも頷けるけど最強ではないわ」

パチ

「例の麻雀ブロガーさんがこんな事を言ってましたよ」

パチ

 そう言うとアンはブログを開いてユウに見せてきた。

————

××年××月××日
××時××分
投稿者:ライジン

【先制リーチについて】 

 ごきげんようライジンです。

 今日のテーマは先制リーチ。みんな大好きリーチですが、ホントにそれリーチしていいの? ということありませんか? それについて考察してみたいと思います。


 いきなり結論から言えば先手必勝は誤りである。もちろん、全てがそうではないし先手有利なケースも多数ある、特に親番は先制リーチが優位である場合が多いが、それとて全てではない。先制リーチは言うほど良いものではないと言うのが私の見解だ。

 まず、単純に考えて先にリーチをすると言うことは少ない材料で組み立てたということ。
 後手は後手になればなっただけ多くの材料を使って戦へ赴くわけである。どちらの手が勝利しやすいか、強い手になったかは確率的に見て後手の方に決まっている。
 また、先手は自分の捨て牌しか罠に使えないが、後手は先手の捨て牌と自分の捨て牌の両方を使ってアガリやすい手を組み立てることが可能である。逆に先手は後手からリーチがされることで迷彩が無意味にされることもしばしばあるのでこういった面でも後から攻め返す側の方が勝利しやすいということになりがちである。
 さらに加えて、後手はそもそも先制リーチが入っていることを知った上で対決を挑んでいるのだから基本的に勝算が高い手で対決しているに決まっている。先制親リーチに挑む場合などは特にそうだ。警戒すべきは先制親リーチより追いかけてきた子のリーチの方ということも多く見受けられる。
 勝ち目の薄い対決を親に対して挑むということも普通するはずがないのだから当たり前だ。
 であるのに何故これ程までに先制リーチが推されるのか。それは圧力をかけたいというような強気の理由から? 本当にそうだろうか。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

麻雀少女激闘戦記【牌神話】

彼方
キャラ文芸
 この小説は読むことでもれなく『必ず』麻雀が強くなります。全人類誰もが必ずです。  麻雀を知っている、知らないは関係ありません。そのような事以前に必要となる『強さとは何か』『どうしたら強くなるか』を理解することができて、なおかつ読んでいくと強さが身に付くというストーリーなのです。  そういう力の魔法を込めて書いてあるので、麻雀が強くなりたい人はもちろんのこと、麻雀に興味がある人も、そうでない人も全員読むことをおすすめします。  大丈夫! 例外はありません。あなたも必ず強くなります! 私は麻雀界の魔術師。本物の魔法使いなので。  ──そう、これは『あなた自身』が力を手に入れる物語。 彼方 ◆◇◆◇ 〜麻雀少女激闘戦記【牌神話】〜  ──人はごく稀に神化するという。  ある仮説によれば全ての神々には元の姿があり、なんらかのきっかけで神へと姿を変えることがあるとか。  そして神は様々な所に現れる。それは麻雀界とて例外ではない。  この話は、麻雀の神とそれに深く関わった少女あるいは少年たちの熱い青春の物語。その大全である。   ◆◇◆◇ もくじ 【メインストーリー】 一章 財前姉妹 二章 闇メン 三章 護りのミサト! 四章 スノウドロップ 伍章 ジンギ! 六章 あなた好みに切ってください 七章 コバヤシ君の日報 八章 カラスたちの戯れ 【サイドストーリー】 1.西団地のヒロイン 2.厳重注意! 3.約束 4.愛さん 5.相合傘 6.猫 7.木嶋秀樹の自慢話 【テーマソング】 戦場の足跡 【エンディングテーマ】 結果ロンhappy end イラストはしろねこ。さん

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

秘密のキス

廣瀬純一
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

処理中です...