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第八局【運命の雀荘編】
4巡目◉保険
しおりを挟むここは池袋の麻雀荘『ペガサス』。財前真実の実の姉である石井奈央が店長をしている明るい若者向けの雀荘だ。
泉天馬はその店名を見てつい他人とは思えずそこに来店した。そして、店長の明るさと可愛らしさに簡単に落とされて気付いたらそこで従業員として働いていた。
そんなある日。ナオはレジ横のいつもの立ち位置から南2局の南家の手をなんとなく遠目に眺めていた。
(北家に仕掛けを2副露もされてるし、受けかな。ここでどう立ち回るかで実力が出そうな手ね)と思ってた。
北家の仕掛けは345の3チーから入っての中ポン、そして打三だった。それに対してテンマは⑦か九のどちらかの牌を対子落としして迂回したい。北家は白を捨てており、場には南も北も切られていた。ドラは②だ。
テンマの選択は?
打⑦
(北家は既に役牌を仕掛けており待ちは何でもあり得る。だとすると外側の方が良い待ちなのでそちらの受けを残す可能性の方が高そう)と読んだわけだ。悪くない読みである、しかし。
「ロン!」
三四伍⑤⑥77(中中中)(345) ⑦ロン
「3900の2枚」
(やっぱりな)とナオは思った。というのも北家の仕掛けが中のアト付けだったから。
役の確定する手順の鳴きなら分からないが一つ目のチーでは役が確定してないのにリャンメンチーした。それはつまり保険がある手という可能性の高さを示している。保険とは発だろうか?いやそれなら三元役を目指して白をキープしてないとおかしい。場には南も北も出ているので役牌ではなさそうだ。そして中を鳴いて出てきた三。つまり、この手の保険は多分タンヤオなのだ。中が鳴けなければ落として行きタンヤオ赤赤。うまく成長すれば三色もついて鳴いていても満貫になる二段三段構えの鳴き。
「シャンポンに放銃するのが嫌で、選んで振り込んでしまいました」とナオに言うテンマ。
「テンマくんはまだまだね。今のは読めば止めれる牌だったわ。お姉さんが麻雀の読みの全てを教えてあげるからしっかりアタマに入れて強くなりなさい❤︎」
「はーい」
「ふふ、テンマくんは素直でいいこ」
麻雀に青春を捧げる男女の物語が、ここ池袋にも確かにあったのだった。
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