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第八局【運命の雀荘編】
1巡目◉馬車馬
しおりを挟む佐藤ユウがUUC杯を獲り。井川ミサトがプロ新人王に輝いている頃、佐藤スグルは馬車馬のように働いていた。
「社長、もうムリすよ。この人数で回すのは。おれの身体が持たない(本音)とかじゃなくて、これだけの来店があるのにちょくちょく2人体制やってたら売り上げの取りこぼしが出るので単純にもったいないです。人を増やしましょうよ」
スグルの言うことは事実であった。せっかくの来客を引けても人数足らずで待たせてしまい、打てないなら帰るわ、となってるお客様の多いこと。これを続けていたらいずれは来てもらえなくなる。フリー雀荘はどんなに人件費を削るとしても最低3人体制にするべきなのだ。
「ムゥ、渡邉の所に頼ってみるか…」
中村社長の旧友で同級生の渡邉二郎さんという人は『渡邉クリエイター派遣会社』という会社を経営していてそこに丁度いい人材がいたら紹介してくれると言う。
「とりあえず手を打ってみるから、もう少し頑張ってくれ」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
数日後
「スグル。今日までよく頑張ってくれたな。明日は休んで来週から2号店で遅番やってくれ。あっちは人数揃えたから。ただ新人ばかりじゃマサルもやりずらいだろうからスグルが右腕になってやってくれよ。こっちにも何人か渡邉んとこから入れたし、これでなんとかどっちも回せるはずだ」
「助かりました… 正直倒れそうでしたよ」
「悪かったな、でももう大丈夫だ。ありがとな」
こうして、来週から佐藤スグルは富士2号店の勤務となる。そここそが数々の伝説を生み出した運命の雀荘となるとはまだ誰も想像もしていなかった。
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