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第六局【規格外の新人編】
18巡目◉麻雀研究会
しおりを挟む「…って言うのが私と師匠の出会いなんだけど。その師匠が久しぶりに大会決勝に駒を進めて、しかし惜しくも敗れた。それもアマチュアに。それで、その大会で優勝したそのアマチュアってのがアナタの親友だっていうんだから麻雀界は狭いわね」と成田メグミはカオリに話す。
「ですね。ユウは本当にすごいんですよ」
「じゃあプロになればいいじゃない」
「それは違うらしくて…」
「今度彼女も連れて来なさい。アマチュアの参加も大歓迎だから」
今日は杜若アカネと成田メグミの主催する麻雀研究会だった。カオリは今回アカネが他の仕事でどうしても来られないという事なので成田の助手として参加し、ついでに自分も勉強させてもらうことにした。ちなみにマナミは『ひよこ』でバイトだ。3人とも抜けるのはリーグ戦の時のみ、基本的には誰か出勤するようにしていたので今日の出勤はマナミなのである。
カオリは最近はどこに行くにもポケットに赤伍萬を入れた巾着を持参していた。
《カオリ、ここにいるのは全員プロなんですか?》
(分かんないわよ、私は麻雀マニアであって麻雀プロマニアではないから。だいたいプロ雀士は多すぎるのよ)
《それは言えてます》
「私もね、若い頃は準優勝2回したってだけでも期待の新人とか言って特集されたし、結婚前は『氷海メグミ』だったから、冷静沈着、氷の少女、とか言われててね」
「へぇーカッコいい」
「別に言う程クールな麻雀してたとは思わないんだけど苗字になぞらえたキャッチコピーを作りたかったんでしょうね。キャッチコピーなんてテキトーなんだなってあの時知ったわ」
「メグミさんはどっちかって言うと熱い打ち手ですもんね」
「そうよ。でも、今はある程度いい成績出しても当たり前みたいな風に見られるだけのベテランになっちゃったわ。もう、注目されるにはタイトル戦優勝くらいは最低でもしないと無理。もしかしたらそれでも足りないかも。タイトル2つ3つ獲って初めて特集されるんじゃないかな。でも、アンタは今なら決勝戦に残るだけでも話題になれる時期! チャンスは正に今来てるのよ。だから、今日は目一杯勉強して行きなさい。来る新人王戦に向けてね!」
「なるほど… わかりました、よろしくお願いします」
「私が届きそうで掴めなかった新人王のタイトル… アナタは獲りなさい。カオリ!」
「はい!」
「期待してるわ」
リーグ戦第2節が終われば次の週にはプロ入り5年目までしか参加出来ないタイトル戦『新人王戦』の予選だ。
カオリたちのタイトル戦への初挑戦がもう3週間後に迫ってきていた。
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