上 下
102 / 297
第六局【規格外の新人編】

8巡目◉メンタルコントロール

しおりを挟む

「ロン」

二三四②②②③④22344 3ロン

「8000」

 カオリのリーグ戦はダマ満貫を放銃する所から始まった。
(あちゃー。でもこんなの分かんないし。始まりの8000失点くらいはなんて事ないわ。こういう持ち点で始まるゲームだと思えば)

 カオリはマイナスになってもそれが最初の設定だと思い込むことで気持ちを落ち着かせるという術を持っていた。
 つまり、今回の場合はスタートから17000点持ちのゲームだと思い込むということ。そこからどうやってトップをとるか。元からそういうルールの遊びだと思えば今の放銃もなんら痛くない。もちろんそれにより勝利条件が軽くなるなんてことはないのだが、気持ちに焦りがなくなれば自滅する可能性も減るというものだ。勝負事でよくある敗因の最たるものは自滅であり、それを抑える効果があるとすればこのメンタルコントロールを狙った思考法は重要な考え方のひとつであると言えるだろう。このような、気持ちを軽くする方法は全て佐藤スグルに教えてもらった。現役選手はやはり戦術本では学べない一味違うことを教えてくれる。
 カオリはその後見事に冷静な仕掛けや落ち着き払った降りを見せる。ラス目とは思えないほどのクールさで正確無比な麻雀をした。

 落ち着いた状態で迎えた南場の親番。トップ目にドラポンを仕掛けられるも、ここだけはグイグイ押してアガリに行く。そして——

「ツモ」

カオリ手牌
①①①②②⑥⑥⑥南南(東東東) 南ツモ

「8000オール」

 役役ホンイツトイトイ三暗刻炸裂!

 終始落ち着いて打てたカオリは当然のように勝った。
 四回戦を終えて五回戦は抜け番。カオリの卓は5人打ちなのだ、これは最下位リーグにはよくある現象。下位リーグ者は欠場者や休場者によって半端が出るものなのだ。

 自分の卓の五回戦よりミサトのことが気になる。カオリはミサトの卓を見に行った。


財前カオリ
一回戦2
二回戦1
三回戦1
四回戦2
五回戦抜け番

②②⓪⓪
トータルスコア+186.4P
暫定2位

 
しおりを挟む

処理中です...