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第伍局【少女たちの挑戦編】

18巡目◉マナミの成長

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 ユウが大会本戦に挑んでいる頃、プロ予選で落とされたマナミはいつも通りバイトに来ていた。今日は『ひよこ』で1番強い客と思われる小宮山ハジメと同卓だ。気を引き締めていかないと負ける。しかも下家には同じくプロ予選で落とされてヒマしてる女流雀士がいた。そう、ミサトだ。
 上家には店長が入って立卓。
(ひよこでこんなレベルの高い卓なんて初めてだ)そんな事を思っていた。

 そこできた手がこれ。

マナミ手牌
伍六七七八①②③④⑤アカ6中中

ドラは⑨

 東二局の親番で5巡目だ。点棒状況はまだ平たい。セオリーなら①切りだろう。ツモ②⑤の変化に備えて最高形をメンタンピン赤にするつもりの手順。そう、セオリーならそれ。そんな事は分かっている。
 しかし、マナミが選んだ牌は八だった。ラーシャは一瞬

違う。①切りだよ。

と思ったので電流を使おうとしたが、よくよく考えてみると相手は全員守備力の高い上級卓だという事に気付いて、電流を流さなかった。

成長しましたね、マナミ。

と聞こえないように心の中で呟いた。

(電気がピリッとくるかもと思ったんだけど、こっちでいいのね。そうよね。相手が相手だもの)

次巡ツモ四

(来たあ! これを待っていた!)

打中

ツモ⑥

「リーチです」

打中

「ツモ!」

四伍六七七①②③④⑤⑥アカ6 4

「一発裏1で8000オールの3枚です」

 光芒一閃こうぼういっせん!マナミはあっという間にダントツになる。
 いかに守備力の高いメンツであるとしてもツモで8000取られてしまってはどうしようもない。というよりむしろ3人とも守備力が高いからマナミはこの選択をしたのだ。
 六-九待ちという受けが強い待ちを最終形にしたって出してくれる打ち手がどこにもいないなら意味がない。ならツモで仕上げること前提で1番高い手になる手順を選ぶのがこの場合の大正解だ。
 それならば三色変化を見て打八。素晴らしい選択である。

マナミはちゃんと成長しましたよ。カオリさん、ありがとう。

 そう思ったラーシャだった。
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