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第伍局【少女たちの挑戦編】
17巡目◉womanの本気
しおりを挟むこの頃、ネット麻雀界には2人の雀豪がいた。その名は『よにんめ』と『JINGI』。
この2人に共通することは守備力がとてつもなく高いということ。特に『よにんめ』の守りは鉄壁で打ち砕こうとするだけ無駄な労力となるのでツモにかけた方がいいという結論になるくらいだ。
『JINGI』の方は時折変わったことをしてくる奇抜な打ち手で、こちらも同じく守備力は高いが、その守り方はセオリー外のもので、まるで読み切っているような鋭さがあった。
この2人の二大巨頭に割って入ってきた成績優秀者がいた。『woman』である。
womanの麻雀は攻めて良し! 守って良し! の完全無欠。それはもう人間技ではない成績を叩き出していた。実際、人間ではないのでそれは当たり前なのだが。
本気のwomanはカオリの予想を超えて強かった。どうしてそのテンパイを外せるのか?
なぜ、闇テンに気付けるのか? 面白いことばかりで見てるだけでとても勉強になった。
「womanのためにパソコン買って本当に良かったわ。おかげで私の麻雀の常識枠がどんどん拡張されていくもの」
《私も自分の麻雀ができるのは本当に楽しい。カオリ、ありがとう》
《あっ、そのテンパイは取らないでください。一旦七を落として迂回しましょう》
《いい所が残りました。このカンチャンならリーチしましょう》
《今回はもうアガリは必要ありません、今のうちに安全牌を抱えて一局やり過ごしましょう》
などwomanの指示を聞いてカオリはマウスをクリックした。
——数時間経過——
《カオリ、疲れてきてませんか?》
(womanは気遣いも出来るのね)
《もう、口開くのも億劫なほど疲弊してるじゃないですか》
(womanの選択が自分と違う度になんでなのか考えてたら疲れちゃった)
《早く言って下さいよ! じゃあこれでやめにします》
(だってwomanが楽しそうにしてたから)
《全く、カオリは優しすぎますよ。…ありがとうございます》
その後、正体不明の最強ユーザー『woman』は平均順位1.99という、ありえない好成績を出して業界では知る人ぞ知るプレイヤーとなり『よにんめ』や『JINGI』が所属するトップグループに怒涛の勢いで入り込むことになるが、その話はまた後ほど——
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