麻雀少女青春奇譚【財前姉妹】~牌戦士シリーズepisode1~

第伍局【少女たちの挑戦編】

8巡目◉贅沢

　テンマは初日に立ち寄った千葉県船橋市の雀荘でお客さん全員で挑戦するタイプの超難度のビンゴイベントにたまたま参加になって賞金をゴッソリ勝ち取った。縦（15000）も横（15000）も斜め（30000）も一気に取れる角のマスを埋めたのだ。お題は『3局連続一発ツモ』こんなの出来るわけない。そう思っていたが意外にも二局連続で一発ツモをしたので次局にかなり無理してメンゼンにこだわり、リーチしたら一発ツモ！　見事にイベントを取って賞金60000をゲットした。
（これは幸先いいスタートだ。よし、このお金はスペシャルボーナスみたいなものだから大切に使おう）テンマはこのように、決して無駄遣いをしない男だった。雀士にあぶく銭などはない、どんなお金も大切な収入。お金は自分の血であり命そのものだという事をしっかりと理解していた。自分は好きな遊びをしてお金を稼いでいる。それだけで充分な贅沢なのだからこれ以上の贅沢は特別な時にしかしなくていい。という考えだった。
　テンマは昼間は山手線やまのてせんをぐるぐる回ったり、総武線そうぶせんや中央線ちゅうおうせんに乗ったり。とにかく電車で寝た。
　そして「お客さん終点ですよ」で起こされるとそこで下車してコンビニに寄り下着とタオルを買って銭湯を探すかマンガ喫茶を探した。
　さっぱりしたあとは雀荘を探して朝まで打つ。そしてまた電車で寝る。を繰り返した。

　たまに、その日の気分で遠くまで行ったりもした。ある日は新潟へ、そのまま山形へ、さらに秋田県男鹿おが市まで行き雀荘がないので宿に泊まる。そのあたりまで行った所で。ぼそっと一言。「そろそろ働くか…」と呟いた。
　10日間のリフレッシュをして泉テンマは関東地方に帰ってきた。