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第伍局【少女たちの挑戦編】
2巡目◉プロ雀士カオリの初出勤
しおりを挟む土曜日。今日はカオリが午前出勤の日である。そして、プロ雀士になってから初の出勤日でもあった。
「「カオリちゃん! 合格おめでとう!!」」
出勤したらみんなから祝福された。時給も980円から1200円になるんだという。
「ありがとうございます。でも、なんだかまだ実感がないです。リーグ戦も始まってないし。私がプロ雀士かあ…… ウソみたい」
「カオリちゃんはプロだよ。なんかそう、オーラを感じるもの」
「あは、ありがとうございます」
(それはwomanのことかな? 勘のいい人にはわかるのかしら)
「じゃあさっそくだけどカオリさん本走頼めるかな」
「もちろんです!」
「ああ、今日からは財前プロか」
「やめてくださいよ店長。今まで通りカオリでいいですよ。それに財前プロだとマナミもだし」
「わかったよ。それじゃ1卓で立卓準備してください」
そう言うと店長はゲームシートに時間と名前を記入し始めた。
場決めの牌を引いてゲーム開始!
『ゲーム、スタート』
自動卓がゲーム開始の音声を上げる。
「「よろしくお願いします!」」
カオリは北家でスタート。
「お飲み物はよろしいですかー。みなさんお飲み物のご注文はよろしいですかー」そう聞きながら立番の店長が卓を回る。
「あ、ごめん、ケータイの充電お願い」
大体この時飲み物以外の注文が入ったりする。今来たばかりの人に食べ物の注文をされる時もある。外で食べてから来ればいいのに。その方が安く済むのにな。といつも思う。タバコの注文をされる時もあるが(それは買ってから来店してよね)と思う。
ゲームは静かに進行した。東場は小場でみんな20000点台のまま南入した。
『トンバ、シュウリョウシマシタ。ナンバニハイリマス』
南1局ドラ⑤
上家が3巡目に1枚目の発をポン。次巡。カオリは伍をツモった。ドラの⑤も重ねていて勝負手になりそうだった。
その後、上家は発をツモ切り。(あれ? カンしないんだ。愚形テンパイかな。みんなメンゼンだからね。間違えて切った風じゃなかったもんね)《一向聴ならキープしそうなものですからね。警戒しておきましょう》だが、次巡上家は手出しの白。そして引かされたのは西。いらないな。と思ってそのまま捨てようとしたが《いけません! カオリ! それはほぼ当たりです! 西は止めてこの局は降りなさい!!》とwomanに止められた。
カオリは西を切る寸前で引っ込める。
「あはは、間違えました。すいませーん」
(なんでこれがそこまで危ないの? そりゃ仕掛けてるのは西家だけどさ)
《その牌はかなりの確率で当たります。発をカンせずの後で出た手出し白がそれを物語っていますので》
(待って、分かりそう。ちょっと自分で考えたいからまだ言わないで)
《それはいいですけど…》
「ツモ! 2000.4000」
二二③④⑤西西中中中 西(発発発)
《もうツモられちゃいましたね》
womanの言う通り西は当たりだった。
「カオリちゃん切りそうだったのに寸前で止めたやつ西だったよね。凄くない? なんで? さすがはプロだね!」
「ははは…… ありがとうございます」
褒めてもらったけど私だけではこんな読みは出来なかった。アガリ形を見てやっと分かったけど。
womanには多分この手の中にあった『中』の暗刻子も読めてたんだ。発のカンせずの後で白が手出しという違和感から中中中白西から西引いて白のような可能性を一瞬で想像するwomanはさすがだなと思ったカオリだった。
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