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第四局【プロ雀士編】
11巡目◉プロ
しおりを挟む財前姉妹はバイトで部活でと麻雀を打ち続けた。実践経験も積みながら研究も怠らず、同じ高みを目指す仲間も揃っている。環境に恵まれていた彼女達の成長速度は凄まじいものであった。その上カオリは神様からのコーチまで受けているのだから上手くならないわけがない。
ハッキリ言ってカオリは凡人だった。勉強は出来るけど天才というような大袈裟なものではないし、スポーツも特に普通の結果しか出せない。ただの少女。なにか特別なことがあるかと言えば、麻雀がとてつもなく好き、異常な程に。ということだけだ。そこだけが平凡ではなかった。
しかし、それこそが才能というものであり、天才とはそのたった一つの”異常な程好き”があれば誕生するのである。
カオリ達のバイト先は女流プロの成田メグミという選手が平日働いていた。学生のカオリ達とはシフトが被らないので会った事がないのだが、彼女が居るのでこの麻雀『ひよこ』には毎月『月刊麻雀プロ』というマニアックな雑誌が届く。なんでも読むカオリはその雑誌にも興味を持ち読んでいたらマスターから「お姉さんと一緒にプロ試験受けてみたら? 試験は来月末だから勉強する時間はあるし、受験料は店が出すから」と言われた。
「へっ!? 私がプロですか?」
「カオリさんもマナミさんもたいした腕だ。これからの麻雀界に必要な才能だよ。挑戦しておいでよ! プロの世界に」
「でもまだ私は大学生だし。早くないでしょうか」
「早いくらいがいいのさ。人生はそんなに長くないぞ」
カオリは自分にそこまでの力があるとは思えなかった。しかし、これこそがカオリの良さで、いつまで経ってもまだ未熟だと本気で思うカオリだからこそ、鍛錬をサボらない。慢心しない。いつまでもチャレンジャーなのだった。
「大丈夫だ、カオリさんもマナミさんもプロになれるよ! 受けてみなよプロ試験!」
「……わかりました!」
その後、マナミも同じ話をマスターにされて2人は来月末に日本プロ麻雀師団の試験に挑むことになった。
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