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第三局【付喪神編】
14巡目◉初詣
しおりを挟む冬休み中アンはショウコとサトコに麻雀を教えた。ショウコもサトコも中々ルールを覚えられず苦戦したがそんな相手に教えるという経験がアンには新鮮でやり甲斐を感じた。
「わかったわ」とショウコがふと言う。
「なにが?」とサトコ「麻雀は料理よ。与えられた具材でいかに最も価値ある一皿をムダなく手早く作ることが出来るか。そういうことじゃないの?」
「すごい! その通りよショウコ」
「だとしたら私たちには出来る。だって私たちは本来は料理研究部。料理を科学することの応用で麻雀も科学してしまえばいい」
この日の気付きをきっかけに料理研究部の2人はその後、麻雀研究家としての才能を発揮していくのであった。
————
元日
麻雀部は勢揃いしていた。佐藤スグル、財前マナミ、財前カオリ、佐藤ユウ、井川ミサト、竹田アンナ、倉住ショウコ、浅野間サトコ、三尾谷ヒロコ、中條ヤチヨの計10名である。
「カオリは着物を着てきたんだ。似合うね~。素敵な色」
「ありがと、これはおばあちゃんが昔着てたものなんだ。気に入ってるの」
「おばあちゃんって昔は優秀な巫女だったって話のあのヨシエおばあちゃん?」
「そう、おばあちゃんは舞が上手で有名だったのよ。最初は私じゃなくて(前の)ママにあげたらしいんだけどママは胸が大きかったから上手く着こなせなくて私が貰うことになったの」
「あー、カオリはぺったんこだもんね」
「うっさい!」
受験を控えた3年生もこの日だけは集まった。今日は部活のみんなで鹿島神宮に初詣だ。鹿島神宮の神様は勝負の神様だ。麻雀部としては行かない手はない。
ワンマン運転の大洗鹿島線は麻雀娘たちを乗せて神様の元へと進んで行く。
鹿島神宮到着
「大きな鳥居ねー」と入り口の大鳥居をミサトが見上げる。ミサトはこちらに引っ越してきてまだ1年も経ってないので鹿島神宮へ来たのは初めてだ。佐藤家も引っ越してきて間もないが親戚がこの近くに居るので来たことは何回かある。他のみんなも少なくとも一度は来たことがある場所だったのでミサトだけが初めてだった。
「おみくじでも引くか」とミサトがおみくじを買いに行く。
占いや迷信を好まないミサトもおみくじは引いてみた。こういうのは信じる信じないとかではなく年に一度のイベントだ。
混んでる中でもそれを無視して念入りにクジを選択するミサト。「むむむむむ…… これだぁ!!」
吉
「なんだ、吉かあー」
「でもでもほら、いい事書いてあるよ」とカオリが言う。
願い事。叶う。
おみくじはカオリも引いた。
「おっ! ツモ」
大吉だった。
願い事。努力すれば一度は叶う。
「吉より大吉の方が内容が厳しいような気がするのは気のせいですか?」
その後、人の波がどんどん押し寄せてきたので他のみんなは今おみくじを引くのは諦めた。
「しかしすごい人ね」とミサトは驚く。
「毎年この時期はこうよ。出店とかも普段はないんだけどね」
やっと先頭になった一行は各々の願い事を神様へと届けた。
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