麻雀少女青春奇譚【財前姉妹】~牌戦士シリーズepisode1~

第三局【付喪神編】

7巡目◉私がナンバーワン！

　思っていたより局は長引き、カオリの手も整った。

カオリ手牌
伍アカ伍伍六七①③１１５中中中　

　ついにあの配牌がイーシャンテンだ。だがまだ急所が埋まらない。ドラが引けたらいいのだが、そこが埋まらないことには５を切りにくい。と、思っていたのだが。

ツモ②！

　なんとズガコンと埋まる！　待ち望んでいたドラ②！
《通せ》（通せ！）
打５
　それはスグルにもマナミにも危険な牌であったが本命とまではいかない。ならばこれは通してテンパイに取りたい所だ。
……どこからも声はかからない。通った。
《ふう》（ヒヤヒヤするね）

　テンパイを取ったが……
　このあと危険牌を引いたらどうしよう。本命を引いたら中切りで降りるべきだろうがそれはどれを引いた場合だろう。そんなことを考えながらテンパイを運良くキープしていた。すると数巡後にスグルから八が出る。


「ロン！」「ロン!!」

「「えっ」」
　カオリと同時にマナミからも力強いロンの声。だが、カオリはこのアガリで6400を加点しマナミと15700点差になるのだから跳満でも捲られない。マナミは跳満で捲りにきていたはずだからトップ逆転は阻止したはず。そう思った。しかし……

八九九九②②②４４４６６６

「四暗刻単騎スーアンコータンキ。32000」

　マナミの手は安目で跳満ハネマン、高目で役満ヤクマンのとんでもない大物手だったのであった。


「第1回優勝は財前マナミ！」とマナミは自分で言って人差し指を高らかに上に向かってさして立ち上がった。

「私がナンバーワンよ！」