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第三局【付喪神編】
6巡目◉誠意
しおりを挟むwomanはどうやらカオリが伍萬に触れると数分間だけ現れるようだ。通りでいたりいなかったりするわけである。
カオリの手は進んで6巡目。やっと形になってきた所でマナミとスグルからリーチが入る。それに対してヒロコも降りてない。
(やばいやばいやばいやばい。まくられるよこれ)
《落ち着いて、カオリ。まだ、そうと決まったわけではありません》
(でも!)
《ヒロコさんの手はあの切りで逆転狙いなら四暗刻か萬子チンイツです。チンイツならここにある伍がネックになってる可能性は高いでしょ》
オーラスの点棒状況は
スグル30000点
ヒロコ7900点
マナミ26400点
カオリ35700点
事実、ヒロコの手はチンイツで伍がネックになっていたし、まだリャンシャンテンだ。しかしテンパイすればタンピンメンチン二盃口という逆転勝ちの可能性があり、諦めるには早かった。というより、ヒロコは確率的にはほぼ無理だろう。と思ってはいる上で分かっているけど牌に対して精一杯の努力はするという姿勢を見せたに過ぎなかった。
それは決勝戦という場に対して。または麻雀という競技に対して。そういったものに対する誠意。感謝の心からなる選択だった。なので可能性あるかぎり押す! 三倍満が必要でも、その手順があるのなら作るしかない! そう思って、最後の、もうほとんど断ち切られてしまった気力の残り僅かな力を振り絞って作るが、そこはまあ、さすがにそう都合よくはいかないのも麻雀のリアルであった。
「リーチ!」
スグルからのリーチが飛んでくる。
スグルの手は高めタンヤオ赤の1-4待ち。安目ツモでも捲れるようにとリーチした。
「私もリーチ!」
それはマナミも同じで、マナミも安目だと届かない手だった。なのでリーチで決めにきた。
2軒のリーチに挟まれてもまだカオリに勝機は充分あったのである。
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