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第三局【付喪神編】
4巡目◉見落とし
しおりを挟む南3局
マナミの親番だ。前局の満貫ツモでトップへあと一歩という所まで来ており今1番警戒すべき相手かもしれない。しかし、そんなことで怯んではいられない。もう勝負は残り2局なのだ全員がトップを取るための最善手を選んで前進してくる。ここは見送ろうなどと思うことはないしトップ目のスグルだって30000点しかないのでリードを増やしておきたい。ここからはぶつかり合い。魂と魂の力比べ。そうなるのは目に見えていた。それが、麻雀であるし、若さでもある。
最速でテンパイを入れたのはヒロコだった。しかし、逡巡。
ヒロコ手牌 切り番
一二三四伍六⑤⑥5679白白 ドラ中
打9は決まりだが問題はリーチしていいのかどうかである。この手、待ちこそ悪くないがテンパイのみだ。リーチしてもツモって裏を乗せるかスグルから出て裏を乗せるかしないとトップを目指すのが難しい。仕方ないのでダマテンにして赤を持ってくるか白とのシャボに変化するのをまだ待ってみようと思った。あるいは567の三色変化かな。と。すると次巡ツモ④!
「~~~~!!」一発ツモだ。リーチをかけていたらの話だが。どうする? これをツモっても次局のオーラスに優勝条件がキツくなる。かと言って一を切ってフリテンリーチとしても三色にならないので裏1条件だ。しかし、その待ちなら一発が期待も出来るので意を決して勝負に出てみた。
「リーチ…!」
打一
するとそこにカオリも追いついた。
「リーチ」
そこで引かされたヒロコのツモはなんと最悪な4。ヒロコは見落としていた。この手は456の三色も狙えたのだということを。フリテンリーチ打つなら3面待ちにしなければという常識にとらわれ過ぎた。いまはもう南3局。打点上昇率を考えればフリテンはリャンメンでも構わないはずだった。高目はいつだって大抵1箇所しかないもの。それをツモりに行くのが勝負というものだと言うことを失念していた。
打4
「ロン」
カオリ手牌
一一二二三三四四56789 4ロン
「満貫!」
(終わった)ヒロコはそう思ったと言う。満貫をツモれたはずの牌で満貫を放銃。しかも裏ドラは白でヒロコはファーストテンパイを普通にリーチしてても満貫ツモ。三色を捉えていれば跳満ツモをしていた局に満貫を放銃したのである。
その裏ドラ表示牌を見た時に完全にヒロコの気力は断たれてしまったのであった。
世の中見なかった方がいいものもある。そう言うわけにも行かないのだが。
次局は最終局。
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