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第三局【付喪神編】
2巡目◉雀士のプライド
しおりを挟む「リーチ!」
スグルの先制リーチだ。今回はまだこちらは愚形残りの二向聴。
カオリ手牌
二四八九九②②④⑥⑦⑧北北
さすがに降りるしかない。するとそのリーチの一発目にマナミがスグルの捨てた牌のスジから切る。そこにカオリは違和感を感じた。
カオリのツモは伍
全員に安全な北の対子落としで様子見しつつ降りることにした。(共通安牌を使うのは勿体無いけど、マナミのスジ切り。引っかかるものがある。探りを入れて慎重に降りたいからね。安全情報は増えないようにしていこう)
《鳥立つは伏なり。ということですね。素晴らしいです、カオリ》
(あれ、womanいたの?)
《いま来ました。それよりカオリ。マナミを警戒しての判断。実にいいですね!》
(鳥立つは伏なりって孫子だっけ? 読んだ気がする)
《そうです、あのスジ切りは親のリーチに勝負してますよね。そこに私は伏兵の存在を感じます》
(パタパターって鳥が飛び立った感じするよね。ここに人隠れてるよーって)
次巡。マナミは親リーチのド本命牌を引く。
(こんなの引いたらダマってる意味ないわね!)という顔をしている。つまり。
「……リーチ!!」
「ロン」
その牌は通らなかった。スグルのメンタンピンドラ1が炸裂する。
「12000点」
「……はい」
はいと言いつつもとても悔しそうなマナミ。しかし、マナーはマナーだ。放銃者は和了者に点数を渡す際には必ず「はい」と一言そえる。それが麻雀のマナー。その程度のマナーを部長が守らないというわけにはいかない。どんなに悔しくてもその二文字を絞り出す。それこそが雀士のプライド。
「まだ、負けたわけじゃないし!」切り替えて顔を上げるマナミは気合いのオーラを絶やさずに纏っていた。
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