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第二局【カオリ覚醒編】
10巡目◉絞り
しおりを挟む(スグルさんの上家になれたのは良かった)内心カオリはそう思っていた。なぜなら結局はこの中で一番強いのはスグルであり、その下家になってしまったら1枚も甘い牌は鳴かせてもらえないだろうから。上級者の下家は損なのである。
スグルの上家になれたという事はスグルに牌を絞ることが出来る立場にカオリがなったということだった。それについて最初は好都合だと思ってた。でも、違った。
むしろ逆。本物の一流雀士は上家にすら影響を与えるものなのだ。
(う…… これはスグルさんに切れないな)
「……ふう」
カオリの額に汗が滲む。スグルへの有効牌になりそうなものを止めながら手を作るのはかなり難しい。そんな手が来てしまった。
毎局のように苦労するカオリはそこでやっと気付く。
(…上家で良かったなんて、とんでもない。私はいま牌を絞っているのではなく、絞らされている。下家にいるスグルさんの重圧に攻撃されているんだ!)
「カオリちゃん、丁寧だなあ。全然鳴けないよ。少しくらい自分中心な考えで切ってかなきゃ和了れないんじゃない?」
「誘惑しないでください。私は甘い牌は出しません!」
しかしスグルの言う通りだった。カオリは絞ってばかりなので中々手がまとまらない。しかし、そもそも勝負手というほどの手がカオリには来ていなかったのでそれも1つの正解ではあった。だが。
(来た!)
南1局カオリの親番でついにカオリに勝負手が入った————
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