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第一局【女子高生雀士集結編】
18巡目◉偶然だから尊い
しおりを挟む「あ! 猫」
佐藤ユウは動物が好きだった。特に猫には目がなく、道端で猫を見かけると反応してつい目で追ってしまう。
「あー、いっちゃった」
「ユウちゃんホント猫好きね、家で飼ったりはしないの? ユウちゃんち一戸建てじゃない」とマナミが言う。
「分かってないなぁ。猫は自由にしてるからいいのよ。飼いたいんじゃないの。偶然出会うから尊いのよ」
「偶然だから尊い… なるほど」
「それに私の両親は生き物を飼うことは反対する人達なの。嫌いなわけじゃないのよ。むしろ動物は好きなんだけど、だからこそ命をおもちゃにしたくないって考える人達で、だから私は葉っぱしか飼ってたことない」
「葉っぱ?」
「うん、小さい頃にね。どうしてもペットが飼いたくて大きな葉っぱに紐つけて、葉っぱペットっていって可愛がってたの。おかしいでしょ」
「アメリカじゃただの石がペットとして流行った時代があったって聞くけど、それと同じかな。面白いわね」
そんなたわいもない話をしながら水戸駅から15分程歩いて佐藤家に到着した。今日も麻雀の時間だ。
マナミは先程のユウの言葉を思い出していた。
(偶然だから尊い…)
それはある種の麻雀の真理かもしれなかった。マナミはアニメやドラマが好きで、麻雀のアニメやDVDなどは色々観てみたのだが、どれも手品のようなイカサマをして勝つだけの話ばかりであり、それに対してなぜかは分からないが何も魅力を感じていなかった。しかし、その理由が今分かった。必然の勝ちなんて何も面白くないと言うこと。
勝利とは奇跡であってこそ。偶然のチャンスを掴んだからこそ尊いのである。
その日の夜、自室で寝る前にマナミはカオリに話しかけた。
「カオリー。私たちがこうして出会ったのは偶然かな?」
「何よ急に。偶然だったらどうだっていうの」
「だとしたら尊いなって。…ふふふふ。それだけ」
「?」
「なんでもないの。おやすみ」
「? おやすみ」
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