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第一局【女子高生雀士集結編】
11巡目◉賢者のいざない
しおりを挟む今日も今日とて麻雀部は研究熱心だった。1局1局をしっかり再現してその都度検討していくと分かってきた事がある。それは佐藤ユウの麻雀の駆け引きの巧さだ。
「さっきの局のユウちゃんのリーチ…… ちょっと凄くなかった?」
このような話題になる度にその場面を再現する。
佐藤ユウの麻雀は相手をコントロールする麻雀だった。その駆け引きは素人のそれとは違い、巧く相手をいざなう麻雀で、例えば今日彼女が披露した技はこうだ。ユウは全員がメンゼンでやっている14巡目に急にツモ切りリーチをしてきた。彼女は西家。
この宣言牌は下家のアンは鳴ける牌だったがそれによりユウのツモ回数が増えてハイテイまで渡すのは良くないと考えてスルー。そうしたら危険牌を引いて詰んでしまった。また、親のマナミは一発で危険牌を引いてきてしまったので中盤までなら押し返したけど残りわずかで流れるのなら安全牌を切ってオリきれる。オリきれるから立ち向かう気にならないとしオリてしまった。
結果、このまま14巡目以降もユウがダマのままだとしたらテンパイとしていた2人がオリて3人テンパイのはずの局に1人テンパイとして開きマナミの親も落としたのだ。
この、西家にハイテイ牌を回したくないという心理とオリきれる場面で打ちに回るのはバカらしいという思考をうまく利用した14巡目リーチはユウらしい技が光る局であった。しかもそのリーチの内容は3枚切れのペン七で手の内に一盃口という役もあるのだ。確実にこのリーチは展開をコントロールするためだけにかけたリーチだったのである。
佐藤ユウの麻雀は賢者のいざない。後の世で佐藤ユウはこう呼ばれることになる。
【いざないの女賢王】と。
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