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第三章【一日一度はメンタンピン編】
十六打目◉ prayers high
しおりを挟むナナローは麻雀がわかってるようでそうでもなかった。というか、この店のレートやルールに適していなかった。多分競技麻雀ならうまくいく。そう思ってたら彼自身それは感じてて次の競技麻雀プロ試験はもう受けるように申し込みを完了していた。競技の試合に行きやすいようにという理由も込みで北九州から出てきたのだと言う。
※その後、ナナローは競技麻雀の世界で才能を開花させるがその話はまた別の機会に。
とにかく、彼は競技麻雀のプロになったくせに阿佐田哲夜すら知らないのです!
◆◇◆◇
さて、ナナローの話ばかりしてるとちょっと気が狂ってしまいそうになるので別の日の場面に移します。
その日はメタが中番で久しぶりにコテツとメタは直接対決をしていた。それもあってかコテツはいつもよりハイな気分になっていたかもしれない。
メタは親で6巡目先制リーチを打っていた。ドラの北を頭に使ったペン⑦待ちの7700。充分な勝負手でリーチをしたのだが、そこにコテツが立ち向かう。
ビシ! バシ! ドカン!
コテツの切る牌からそんな効果音が聞こえるような。そんな幻聴すらする勝負牌の連打。(実際にはすごくソフトに捨てている)
先制したのはメタなはずだったがさすがのメタも珍しく恐れた
「おい、親がリーチしてんだぞ、ブレーキってのはねえのかよ」
「生憎だがこの局のおれにはアクセルしか搭載されてなくてな!」
「この狂人め」
「生まれつきの麻雀狂なのさ」
「そのうち事故るぞ!」
「そんときは
♪来世でまた会おうってな。
やっと追いついたぜ。リーチ!」
(ひい)
一発で引かされたのは赤5だった。
危険牌──
「ロン!!」
コテツの手が開かれる。
コテツ手牌
2233344466888 5
「一応安めだが、一発赤なら三倍満だな。24000!」
「くそお、飛びだ!」
「うわー、さすが南上さんだなあ。捲られたよ」
「すご、コテツさんは本当に芸術的なの作りますよね」
「ハハハ! ついてたよ」
普段反対番で対決する機会がない2人は久しぶりの戦いを心から楽しんだ。
そんな激しい戦いに巻き込まれるお客さんもスリルを存分に味わっていた。
雀荘とはスリルこそが売り物だ。この2人の接客はある意味最もお客さんが求めている接客態度と言えるのだった。
同卓者にスリルと感動を。危険を乗り越え勝ちをもぎ取った時のハイな気分を味わってもらえる麻雀を。
それがメタやコテツの仕事の流儀。どこまでも価値観の似ている2人はお互いに信頼し、分かり合える理解者なのであった。
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