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第三章【一日一度はメンタンピン編】
二打目◉あしたのメタ
しおりを挟む雷神が8位メタが5位と2人ともパッとしない成績のまま大会は終わり、近くの居酒屋で反省会という名の宴会が始まった。
「雷神ンン」
酔っ払いが近づいてきた。メタだ。
「雷神はァ普段も雀荘でメンバーやってるんだろ? いつも仕事でも麻雀してるのに休みの日にまでよく麻雀打ちに来ようって思えるなァ、おい」
と、メタがビール片手に絡んでくる。
「ん…… まあな。気まぐれだ。いつもと違う麻雀をしたら何か発見があるかもしれないしな」
「フーン。そんなもんかね。ところで何で雷神ってハンネにしたんだ? 本名か?」
「本名なわけねーだろ。本名は南上だ。かすりもしねーよ。この名前の理由か。…ちょっとこれを見てみろ」と言って雷神はケータイの写真を見せてきた。
それは通信対戦型リアル麻雀ゲーム『麻雀闘技場3』の対戦成績表だった。
「なになに、ライジン(黄竜レベル3)トップ率40.01%…… は!? トップ率4割?!?」
麻雀とは4人で対戦するゲームである。つまり当然トップ率の基本数値は25%になる。30%トップとかになると驚異的数字だと言っていいし、ましてや40%なんていうのはあり得ない数値だ。
「見てほしいのはそこじゃなくてここ」
「ん? 平均打点8020!! なんだその打点力は! アガる度に落雷演出(ある程度の高い打点を出すと稲妻の落ちる演出がある)出るじゃねえかよそれ。あ! だから?」
「そう、アガる度に落雷級。気付いた時には雲の上の存在になってるという意味で付けられたアダ名でね。気に入っているんだ。他にも麻雀強化人間とか満貫大量生産ロボとか言われたけど雷神が1番いいかなって」
こんな信じられない成績を出すやつがいるのか。とメタは驚きを隠せなかった。
「雷神。おまえすごいなぁ」
「お前の麻雀だってたいしたものだったぜ」
「雷神はいま何歳なんだ?」
「24」
「へえ、同い年か。もっと若く見えるな。これから仲良くしようぜ」
「そうだな、それならおれにいい案がある」
「何が?」
「仲良くなる妙案があるって言ったんだ。メタ、お前もおれの職場で働けばいい。最近、うちの店流行っているから人が足らなくてな。丁度お前無職だろ」
「なぜそれを」
「知ってるに決まってるだろ。SNS繋がりなんだから、お前自分で今日からはきれいさっぱり無職トーメーってジョーみたいなこと呟いてたじゃねえか」
「よく見てんな」
「あしたのためにウチで働いとけ」
こうして、富士2号店にメタがやってきた。
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