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第二部
第二十伍報◉最後の対局
しおりを挟む麻雀アクアリウムグループは店舗数は縮小したし、不祥事騒ぎで評判も落としたしでここ数ヶ月で売り上げはガクンと下がった。しかし、それは仕方ないこと。変態や悪人を責任者としてしまったこと、それを見抜けなかったことが招いた結果だ。
「二度と同じ失敗はしないようにしよう。我々に今出来ることはそれしかない。そうだろ、上村」
「そうですね。数字の上ではひどいことになってしまいましたが。福岡天神の新店もありますし、また心機一転がんばりましょう」
「『どんな結果になったか』というのは重要な部分ではない。そう小林も言っていただろう? 重要なのは『どうしたか』だと。我々は我々の正義を行った。結果がどうあれ小林はこれでいいのだと言ってくれるだろ」
「言ってましたね。謎かけの日報のときでしたっけ」
「そうそう『最強雀士とかけて、長谷川雅史さんととく、そのこころは?』だったよな。あれは良かった」
◆◇◆◇
上村率いる渋谷組は福岡天神店オープンに向けて引っ越しを開始していた。
小林と渡辺が同卓するチャンスは結局ないまま今日をむかえていた。
最終日、小林は休みを取って渡辺の引っ越し手伝いをしに渋谷1号店へ来た。
「わざわざ悪いね。もうほとんど出来てるから手伝ってくれなくても大丈夫だったのに」
「いいんだ。……しばらく会うこともなくなるからな。お別れを言いに来るくらいの仲ではあるつもりだ」
「それはそうだけど。貴重な休みに悪い気がしちゃって」
「気にしないでいい。こっちが勝手にやってることだ」
「あれぇー? 小林くんがいるー」「お久しぶりです」
渡辺の手伝いをしていたら蘭と緋呂斗も店に来た。2人とも今日は休みだが渡辺を手伝いに来たのである。あと、この店とのさよならをしにきたというのもある。
4人になったのであっという間に引っ越しの準備は終わった。
「ねぇ、まだ時間があるし。せっかくこの4人が揃ったんだから最後に東風で1回打たなぁい? 立ち番は今は暇だし、宴がいるから大丈夫でしょ」と蘭が提案した。
「「いいね!」」
こうして、渡辺、蘭、緋呂斗の3名は小林と最後の対局をすることにした。
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