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トワ 二周目
しおりを挟む授業が全て終わった放課後。学院の図書室。ここは司書さんがいるから遅くまで利用できる。俺の他にもたくさん学院生は居てそこそこ座席は埋まっている。
貴族御用達学校だけあって潤沢な寄付金と寄贈書によって王立図書館並に蔵書は豊富だ。俺は歴史などの分厚い専門書の並ぶ書架の前で目当ての本を探している途中。
歴史・年代記の棚から大陸史を取り出しその場でページをパラパラめくる。
俺が何故放課後の図書室でこんなことをしているのかと言えば、アスターの事を調べにきたからだ。
異国の地で最後の生き残りとなったアスター。けれどこの国の言葉を覚えだしてから語ってくれた祖国のこと。
どうやらアスターを連れてこの国へ辿り着いたのは、部族のごく一部の者達だ。
何かのきっかけで祖国と袂を分ったその一部が新天地を求めてこの国に移住してきたという事で、残念な結果になってはしまったけど、アスターには祖国がありまだ仲間がいる。
俺はそこへアスターを連れて行ってあげたかった。
俺は今後の計画としてアスターの故郷巡りを予定している。
自分の事だけに精一杯で前回はアスターの事を何も労わってやらなかった。
ずっと俺とロゼアラに仕えてくれた。結婚もしなかった。
アスターなら気立てのいいお嫁さんを貰って幸せな家庭を築くことも出来ただろうに、俺と関わったばかりに生涯を独り身で送ることになった。俺の記憶はルサ王家の衰退までだからその後もしかして結婚なりなんなりしたのかも知れない。けど、アスターは俺の死に際を間近に経験して、その後はロゼアラの護衛として叛逆者の烙印を押された。アスターの性格から自分一人の幸せを選択するような気はしない。想像だけど、俺の記憶のその先は寂寥の人生を送ったんじゃないかな…。
今度はそんな人生にならないよう俺が手を尽くすつもり。
俺は誰とも結婚しないし一生子供を持たないから、アスターが俺の都合に人生を左右されずにすむからね。
それに、これは俺の為でもある。前回とは違う未来を進むから、心機一転、過去を断ち切って前向きになろうって決めたんだ。少なくとも今現在の俺は罪を犯した訳じゃない。これからだって犯すつもりはない。いつまでも巻き戻し前の事に捉われてくよくよ悩み続けるのも建設的じゃないし切り替えようと思ってるんだ。
まずはアスターの祖国を巡る旅。
自分の産まれや流れる血の事を知るって大切な事だと思う。
俺が学院を卒業したらアスターの故郷を巡る旅に二人で出ようと計画してる。さすがにすぐにと言うわけにはいかない。俺とまだ子供のアスターじゃ長旅をするにはいろいろ心許ないからアスターがもっと成長してからの長期計画。でも今後の目的ができたことは、今回の人生の張り合いになって、ちょっとワクワクしてる。
祖国を後にしたという原因がどこにあるか知らないけど大人同士のそんなしがらみ、当時幼かったアスターには関係のない事だ。歓迎されなくても、自分が生まれ育った土地のことは知っておきたいのじゃ無いかな。別にそこへ戻らなくてもいい。一目見ておくだけで気持ちの上での何かの糧になるんじゃ無いかなと思うんだ。独りよがりかもしれないけど、全身全霊で俺に人生を捧げてくれたアスターへ、今度は俺が恩返しをする番。
今日はその一歩。アスターの故郷の手掛かりを探してこの書架へ来たってわけ。
アスターの小さい頃の記憶や当時使っていた言語から大陸西方系っぽいって大まかには特定できてる。だからもう少し詳しく出身民族の事を調べる為に普段見ないような本を手に取っているんだ。
ただ、不慣れだけあって闇雲にそれらしいタイトルの物を片っ端から引き抜いて本をぱらぱら捲って戻すといった当てずっぽうな作業を繰り返している。
「ふむふむ。東方系部族形態。成り立ちは南方の始祖が大移動して興った文明で、分派により数多くの民族がそれぞれの地に根付き今日の大陸東方の礎となった、と。イルート、ミシャラ、ファンガス等少数民族があり宗教的職能者を頂点にする神秘性の高い部族で…」
さすが専門書。初めて聞く単語や固有名詞が多い。けど、違うな。アスターは西方系。方角的に正反対側で、こっちじゃない。
それにしても宗教は土着信仰から派生したものなのは知ってるけど、こうやって改めて調べると奥が深い。
ルサ国は多神教国で大小様々な宗教が乱立してる。公爵家はルサ国で一番有名な宗教を信仰してる。懐が深い神様で、あんまり禁忌がないし、他所の神様とも仲良くお付き合いが出来る素晴らしく柔軟性のある神様だ。堅苦しくないから信仰も気楽で信者からの支持も高い人気の神様だ。
それに比べて、ロゼアラが引き連れていた一団はかなり排他的だったなぁ…。
神様繋がりで何となく連想してしまったけど、あの集団は一種異様な独特の宗教観を持っていると思う。
記憶の中の映像から得た知識だけど、みんなお揃いの布を頭に巻いて、教義の一文を唱えあっていた。頭に巻いた布には教団のシンボルらしき徴があしらわれていたな。花を意匠化したような徽、それをみんながみんな団結したみたいに頭から垂れ下げてさ。熱心と言うか熱狂的というか、ごめん、狂信者が妥当。
信じる神だけを唯一のものとして他を排斥する、心の狭そうな神柱様だ。
どこでロゼアラはあの集団と繋がったのかな…。
ラゼルの大公家は無宗教だ。国の官僚機構を支配する国王やその血族は特定の宗教に肩入れしてはならないという政教分離の不文律がこの国にあるからね。
ロゼアラは大公家の子供だから、宗教なんて信仰するはずも無い。側仕えをしていたアスターが目を光らせていたから怪しげな布教活動を受ける事も無かった。
破滅を回避する為に未来を変える努力している最中で、あの教団のことを気にしても意味は無いんだけど、ロゼアラとあの集団の接点がなんだったのかやっぱり未来を知ってしまっている立場からすると気になるんだ。
「熱心だな」
図書室の本棚の前で当初の目的からかなり脱線したロゼアラの事を一人ぶつぶつ考えていたら、頭上から声がかかった。
「ラゼル…」
人一人が通れる幅しかない棚と棚に挟まれた通路。通せんぼするみたいに立ち塞がっている。
「何をしている」
「何って、見ての通り調べ物…」
いや、それってこっちのセリフ。こんな所へ何の用かな。歴史教養本の棚は利用者も少なく滅多に学院生も立ち入らない人気の無い場所。
「土着民族と信仰の起源…。お前がこんな分野に興味があるとは初めて知ったな」
俺が広げているページへ視線を落とす。気持ち、目つきが鋭くなった?
「…何か気づいたのか?」
俺から本を取り上げると了承も得ずに勝手に閉じてしまった。どうしてこんな横暴な真似するんだろう…。
最近のラゼルは掴みどころがなくて、戸惑うことばかりだ。
「あれからお前はおかしくなったな。いつもはうざったい程俺の周りに纏わりついていたのに今は打って変わったようにそれが無い。気になってきてみればこんな物を読んだりして。……からくりに気付いたか?」
何、言ってるの?
でも冷えた眼差し。
背筋がぶるっと震えた。
冷気を醸し出さないで。
「い、意味わからないよ。どうしたの、ラゼル。俺、何かラゼルの気に障るような事した?」
それでもどうにか問いかけてみた。身に覚えのない扱いは納得できない。
「したと言えばしたな」
けどラゼルは感情を押し殺したような声で答えた。ちらりとこちらを一瞥。あ、機嫌が悪い…。
「!」
ラゼルはおもむろに俺を本棚と自分との間に押し込めた。左右はラゼルの両手。これじゃ逃げれそうじゃない。
「ラゼル⁈」
俺は挟まれた圧迫感に声をあげた。
「大きな声を出すな。ここは静かにしていないといけない場所だろう」
仄暗く笑いながら耳元で囁かれた。
「で、でもっ」
近いっ!
「ね、退いて? 息が苦しいよ…」
ほとんど隙間のない距離。未だかつてラゼルの方からこんなに距離を詰めたことがあっただろうか。
「従者も付けずフリュウと出かけていたと聞いた。噂になっているぞ。随分仲良くなったみたいだ」
皮肉げに笑ったままそんな事を口にする。昨日の事だとわかって俺は頭を横に振った。
「たまたま偶然出くわしただけ。俺は昨日は一人だったよ」
なんで弁解しなきゃいけないんだろう。今までみたいに無関心でいてくれたらいいのに。そう思うのに俺は問われるままそう説明をする。
「一人で街へ? 何の用だったんだ」
「アスターへの贈り物を買いに行ってたんだ。本人を驚かせたかったからその日は俺一人で行動してたの」
居心地が悪くて背後の棚の方へ逃げを打ちながら顔を逸らした。
「他に使用人がいるだろう。何故彼らに付き添いを頼まなかった? 単独行動をするなといつも言っていたが?」
その件については反省中だ。俺は迂闊すぎる。ラゼルに守られていて自覚が育たなかったかも。
あと、近い。ラゼルの香りの濃度が高くなって、俺の鼻を直撃してくる。
やめてくれ。また変な気分になっちゃう…。俺、この香りに弱いんだってば。
実はさっきから、深刻な雰囲気にも関わらず俺の身体の奥深い場所がそわそわと騒ぎ出している。これって……。
「俺、もう帰らないと…」
調べ物はまた今度だ。今はこの状況を一刻も早くどうにかしないと、また取り返しのつかない失敗をしてしまいそう。
「お前は本当に変わったな。いつもなら一緒に帰ると言って聞かなかったのに」
「や、だって、一緒に帰るって言っても門の外までじゃない。よく考えたら効率的じゃないよね」
教室から門の外まで。お互い迎えの馬車があるからそれまでのたいして長くない距離。でもその距離を歩く時間すら貴重なものだと俺は飽きる事なくラゼルを毎日誘いに行った。
それは気持ちの問題の話。理屈じゃない。だからわざと論点をすり替えるような返事で応酬。感情論でのやり取りは自分の首を絞めるだけの気がする。
「その非効率を今までお前はしてきたんだ。どうして今になって普段とは違う行動を取るんだ。理由はなんだ?」
「…大人にならないとって前に説明したよ。いつまでもラゼルに迷惑かけちゃ駄目だろ」
「トワ。お前はもう俺の事を好きじゃなくなったか?」
は?
そんなの好きに決まってんだろ!
自分で嫌になるくらい!
食い下がるラゼルの言葉に一瞬にして感情が昂った。キッと睨みつける。歯を食いしばっておかないと余計な事を口走りそう。
「あいつと堂々と抱き合っていたって?」
けどラゼルのそんな脈絡の無い言葉に威勢を削がれた。毒気を抜かれてしまったと言った方が近いかも。
「え?」
「お前達は目立つ。学院の奴達が目撃したそうだ。お前の方からフリュウに抱きついたと聞いた」
「誤解だ!」
野良犬に驚いて慌てふためいた時のことを言われてるんだろう。
あの時の状況、角度によればそう見えなくもない。
一体何なんだ。
ラゼルの意図が分からない。
どうしてそんな事を聞くのだろう? フリュウが言ったように俺が態度を変えた事で焦っている? 嫉妬してくれてるって言うんなら嬉しいけど、そんな風にも見えない淡々とした口調。状況を確認する作業をしてるみたいな事務的な顔だ。
でもこれは俺にとって好都合な展開。ラゼルの思惑がどこにあるのかなんて関係ない。肯定しておけばラゼルとの未来が変わる。
そう思うのに。
「あれは、野良犬が俺の方に近寄ってきて、びっくりしちゃって慌てて逃げようとしたんだ。けど階段で躓いちゃって、転びそうなところをフリュウが助けてくれて、犬も追い払ってくれて……。勢い余ってしがみつくような体勢になっただけ。だから噂は出鱈目!」
それを聞いてラゼルはムッとした顔をした。何が気に入らないのかわからないけど、初めて感情らしきものを宿らせた。
「こんな事になるから独り歩きはするなと言っているんだ! お前は警戒心が無さすぎる」
厳しい口調。頭ごなしに怒鳴られるけど事実だから反論もできない。
「う…、わかってる…。フリュウからも指摘された。これからは気をつける…」
気まずい沈黙が落ちる。
「あの、ラゼル。そこ退いて?」
この空気耐えれない…。俺は憐れっぽく上目遣いでお願いする。絆されてくれるといいけど。
「駄目だ。まだ答えを聞いてない。お前は俺の事を何とも思わなくなったか?」
駄目だった。ラゼルは俺を解放する気はなさそう。
それにしてもおかしな問いかけ。何故そんな事を聞きたがるの?
「……ん」
微かに首を縦に振る。とてもじゃないけど顔なんか見れないから視線を外して。
けどラゼルが強い力で俺の顎を掴んで上向かせた。強引に視線を合わせられる。
「目を見て言え」
唇が触れ合いそうなほどの至近距離で顔を覗き込まれる。
「あ…」
目を見て嘘なんかつけないよ!
「や…、もぅ、許して…」
尻すぼみに俺は降参する。
ラゼルの追求は止まらない。
「俺の事を何とも思っていなければ言えるはずだ」
なんで今更そんなこと言うの? 今まで散々俺を蔑ろにしてきたのはラゼルの方じゃないか。
「き、きらい…だ…」
ラゼルへの不満を勇気に変えて嘘をつく。
「俺の目を見て言えと言っている」
「嫌いって言ってるっ!」
「トワ、本当にか? お前は俺の事が憎いか?」
嫌いと憎い、意味が釣り合う言葉じゃない。不自然なラゼルの言い回しが引っかかるけど、でももうそれどころじゃない。
ラゼルの方は無意識なのだろうが身体はほとんど密着。この状況、あり得ない!
「トワ、答えるんだ」
更に距離を詰められて限界!
「嫌いだよ! お、俺は、もう二度とラゼルと子供は作らないって決めたんだーーーーーーーーーーーっ‼︎」
俺は勢い任せに絶叫した。
ここが何処だとか、周りに誰がいるのかだとか、構わずに。
やけだったんだ。
けど言葉を間違えた。
だって、顎掴まれて至近距離で見つめられて、正気でいられる訳がない! また発情するよ⁈ いいの? いいのか、ラゼル! さっきからうずうずしてるの我慢してるんだからな! 俺、ラゼルの体臭に反応して発情したあの時から身体の方はそれなりに準備が整い出して、ラゼル相手だとちょっとした事でもその気になっちゃう成熟期に入ったみたいなんだからな!
責任とってくれるのか⁈
「…は? 子供⁈」
俺の顎を掴んだままポカンとした顔をするラゼルを振り切って俺は全速力で逃げ出した。
「あの二人、子供がいるんだって!」
と、学院内に噂が駆け巡るのはそれほど時間は掛からなかった。
その後、俺が学院からお叱りを受けたのは言うまでもない。
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