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66.ラウ&シャル
しおりを挟む「もうやめとけよ~」
「まらたりません!」
なんで休みに男と飲まなきゃならないんだよ。悲しすぎる。
「きいてくださいよぉ」
町の小汚ない酒場で俺の隣に明らかに場違いなガキがとぐろを巻いている。
「本当に好きらったんです」
ヴィラスの影にはバーグ家ありと言われている次期当主がこれとは我が国は大丈夫かね。
お兄さんは、心配だよ。
国が潰れたら給料もらえないじゃん。
「オヤジ、もう一杯。隣は水でいいから」
「あいよ」
グシグシと泣くガキを横目にチビりと飲む。
「水じゃらいですかっ!」
あ~、煩い。
「そもそもな、あのお姫様はいつか帰るんだろ?」
「…そうれすけど」
ぐいっと飲むシャル坊やに水で酔えたら金使わなくていいよな。
まあ、こいつは金の心配なんてしたこともないだろうが。
「カエデは、僕そのものをみてくれるんれす。みんら、まず家しかみらいじゃないですか。…駄目な事はらめとカエデは言うんれすよ」
涙を腕でふきながら話す姿は、ただの見た目がいいガキにしか見えない。
「じゃあ~、好きでいいじゃん」
緑の目がこちらを向く。
「だから~、別に好きなままでいいだろ。相手に迷惑をかけなければ思うのは自由だろ?」
俺は間抜けだ。城に忘れ物をしても寄らなければよかったんだ。宿舎にいれば、こいつに捕まることもなかったはずだ。
「ラウはムカつくけど、剣の腕と考え方は尊敬しれます」
なんか前半引っ掛かるが、まぁいいか。
「……俺もお前の事嫌いじゃねーょ」
「ぐぅ」
寝てんのかよ!
「はぁ~。オヤジ、悪いけど閉店だろうがもう少しいさせて」
「あいよ」
仕方ねーな。少し寝かせてやるか。
「それより、シャル坊やは気づいていないのか。カエデちゃん、最近は特に変なんだよなぁ」
ルークは堅物で機微に疎いから論外だ。
「とりあえず静かになったし飲も。オヤジ、もう一杯~」
「あいよっ」
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