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29.初めての攻撃魔法は
しおりを挟む「暗くて何も見えないじゃない!」
再び扉が勢いよく開くと同時に部屋が先程よりずっと明るくなった。
「あなたなの? 使者様とかいう胡散臭い女は!」
「はぁ」
だから眩しいんですよ。いきなり明るいって凶器になるわ。少しすると慣れてきて見えるようになり。
「ちゃんと話なさいよ!どんくさいわね!」
座っていた私はその声の主を見上げた。
やはり最初に目がいくのは髪。ツインテールの明るいピンクの髪にラズベリー色の大きな瞳。
13、14歳くらいだろうか。お人形みたいに可愛い。
なんとなく分かったぞ。
「あー、噂のローズ嬢ですかね。そんな感じだなぁ。思ってたより幼いかな」
つい口から出た。
「ごちゃごちゃ煩いですわ!それより貴方、ルーク様のなんなんですの?!」
キンキン声が耳に響く。父親といい、騒がしいなぁ。ぼーっとして見えたのだろうか彼女の怒りメーターが上がる一方のようだ。
「聞いてらっしゃる?! まぁ!」
ローズ嬢が興奮して私の服を引っ張り、そのせいで首迄覆っていた服のボタンが外れ、昨日ルークさんに付けられた跡が丸見えになった。
「こ、これはどうゆう事ですの?」
わなわなと彼女は体を震わせている。
どうって。
「不可抗力です」
「嘘おっしゃい!」
……力を使い硬い床に転がされ、お腹も空いてきて私も苛ついてきた。
埃ほこりを払って立ち少女を見下ろす。
「ここへ来た事、お父さんにバレて良いんですかね? かなり大声で話をしていますけど。勝手に来たんですよね?」
そうだ!一番聞かなければいけない事が!
「ここ、何処ですか?」
「…あなた、本当になんですの!?」
またプルプルしてるよ。
こんな状況でなければ着せ替え人形をしたいくらい可愛いい子だ。
さて、そろそろ私の疲労も限界だ。会話も成り立たないし、これだけ騒げば誰かくる。
腕輪に触れて。
「あなた、何を」
怯えるローズちゃんを無視。
今、真剣だからね。
「私とローズちゃんに防御、特に瓦礫に対して。ついでに近くにいる人達を死なない程度に」
次、ルークさんの真似をして私は両手を合わせ中心に力を溜める。そして…そのまま上に放つ!
「えぃっ!」
恥ずかしいけど、つい声が出る。
直後に派手な音と悲鳴がした。大量の瓦礫と衝撃からか舞う埃で何も見えない。しばらくすると。
加減したつもりだったんだけど。
初めて攻撃魔法的な事をしたら、真上に満天の星空が見えた。
「えっと、他に人いたかな?生きてる?」
たとえ異世界でも殺人はちょっと重すぎる。
「あっ!カエデ様!」
「いたぞ!」
名が呼ばれ再び上を見上げると
「シャル君!」
「俺達もいるよー?」
シャル君やラウさんにルークさん、他にも沢山の騎士さん達が私があけた穴から見えた。
「大丈夫~? あれ? 足元の子は~?」
ラウさんが聞いてくる。
「噂のローズ嬢です。びっくりして気を失ってます。怪我は防御かけたのでないです!」
「了解~、今そっち行くから待っててね」
「はい!」
他の人は生きてるかな?
夜空を見上げる。
「もう夜かぁ」
女子会、楽しみにしてなのになぁ。
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