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ウチの子たち~家族が増えました~

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先日、野良だった親子の猫を2匹、家族に迎えました。


反対する人も居るでしょうが、北国在住の私達は、
極寒の冬に、食べ物が無いのは可哀想とウチに来る自由猫達、
オス3匹とメス2匹に、自宅の庭で、カリカリをあげていました。

3年前、16歳で虹の橋を渡った、愛犬(ラブラドール)が
居ない寂しさもあって、何かしら生き物が近くに居てくれて
家の周りをウロウロしてる、姿を見る事が楽しみだった。

今まで、猫は30年近くの間、入れ替わり立ち代わり
10匹位が家に居ましたが、家族が、半病人だらけになって、
誰かが入院の度に獣医さんに預かってもらうのは、申し訳ないので、
動物を飼うのはもう諦めよう、そう思って、動物を迎える事を
諦めていた。

懐く事は無かったけれど、嬉しそうに食べてる姿を見てると
今までいた猫達を思い出して、幸せな気分になった。

保護した子もそうで無い子も、今、ウチに来てる子は以下の通り。

オスで、一番長くウチに来てる子を「じいじ」と呼んでいた。
グレーの茶トラで、長いステキな尻尾の持ち主、ケンカが大好き。
近隣のオス猫と毎日の様に、テリトリー問題でケンカしてる。
いつも、何処かしら怪我して、ボロボロ。
たぶん、血統書の付いた子では無いかと思う。
彼はウチを、自分のテリトリーと思っている。
自分の巣は持っていないもよう。
たぶん、他でもお世話になってる気がする。

もう1匹のオスは、耳がカットされているので、去勢されてる子。
真っ黒な大きい猫、でも超が付くビビりで、ケンカなんて大嫌い
誰かと鉢合わせようものなら、脱兎の如く姿を消した。
上手に逃げ回っているせいか、毛並みがとてもキレイ。
ひょっとしたら、何処かでお世話になってる家があるかも知れない。
名前は「クロちゃん」と、便宜上呼んでいる。

さらに、もう1匹は、小柄で全身茶トラ。
「ちー太郎」と呼んでるが、これまたビビり。
小さいから「ちび」と名付けると、大きくなるという
定説だったので、大きくなるよう願って、名付けた。
でも、3年近く見てるが、子供時代の栄養不足からか
何時まで経っても、小柄なままだった。
この子は、遠くからわざわざウチに来てる、という事位しか解らない。

3匹とも、全然懐かない男の子だったが、構わなかった。
元気で居てくれたら、もうそれで充分。

懐かない男の子に反し、女の子は2匹とも甘え上手。

白毛多めの茶トラ女子の「しっぽちゃん」は、
「なでて~」って頭をグイグイしてくる。
お顔は残念だか、愛嬌があってカワイイ。
しっぽが特徴的だったので「しっぽちゃん」と呼んでいた。
この子が、この度保護した子。

もう1匹の女子は、全身が茶色の短毛・・・名前を付ける前に、
容姿の良さからか(アビシニアンみたいな子だった)
すぐに、何処かの家の子になったようで、首輪を付けて
おやつをねだりに来ていた。
この子は、抱っこも出来る子だった。
首輪をつけて、何回か遊びに来ていたが、そのうち来なくなった。
天然のお嬢様で、可愛かった。

最終的に、4匹(男子3匹、女子1匹)が入れ替わりながら、
毎日ご飯やおやつを食べに来ていた。

もう、かれこれ2年くらい経つ。


今年6月下旬、母猫(しっぽちゃん)が子猫を2匹連れて来た。
子猫も白毛多めの茶トラだったが、親に似ず、
とても愛らしい、お顔をしていた。
子猫を見せに来てくれたと、私達は感激した。

本当の所は、良い餌場だったから、来たんだと思う。
でも、良いように取っておいた方が幸せなので、見せに来たって
思う事にしている。

容姿が全てではない、と思っていいるが、可愛いものは可愛い。
2匹とも、とても良く似た子猫なので、見分けがつかなかった。

ものすごく活発で、好奇心の強い子と、
大人しくて、母猫の近くから離れない子。
そっくりな2匹が、庭で、追いかけっこしている姿を、
見ているのは、ほっこりとした、幸せな時間だった。

裏庭に、3匹で身を隠せる丁度いい場所があった、
雨風もしのげるし、涼しい風が吹く、過ごしやすい場所で
お腹がすいたら、ウチに来ればいい。

眠くなるまで、庭で遊んで、ご飯を食べて、裏庭に帰る。
そんな毎日が続いて、子猫が大人になって、
好きな所へ行くならそれでいいと思った。

保護猫活動してる人は、怒るかもしれないけど
自由に生きて行く子が居ても良いと、私は思っている。

子猫は全然、人慣れしてないが、変な人間に捕まるより
逃げるのが上手になった方が良いと思っていたので
出来るだけ構わないようにしつつも、何かあったら
助けられるよう、付かず離れず、暇さえあれば
庭に出て、遊びに夢中な可愛い姿を見守った。

それから2~3日経った、ある暑い日、
活発で好奇心の塊の子猫が、姿を消した。
母猫が、ちょっと目を離した時の事だった。

遊びに夢中になって、はぐれたのかも・・・
その子は、前々から、母猫の目を盗んでは、驚くような所に
行くので、今回も・・・と、親と私で、あちこち見て回った。
何より、暑い時期で、まだ体温調節が難しい頃なので
それだけが心配だった。

母猫は、居なくなった子猫を心配して、大人しい子猫を庭に置いて、
短時間探し回っては、庭に戻って、残った1匹の子猫の安否を見て、
母乳を飲ませては、また探しに出かけた。

子猫は、離乳食になり始めた頃で、ウェットの猫缶は食べる事が
出来始めた頃だったので、時間を見ては、食事を与えた。

それから何日か、必死で探していたが、とうとう諦めたようだった。
私達は、近くの家の誰かが、拾っていてくれたらいいのに・・・
そう思っていた。

可能性はかなり低そうだったけど、奇跡が起きるって事も
あるワケだし、行方不明の子猫が大きくなって、
誰かに甘えてる姿を想像して、そうなる事を、強く願った。

そして気持ちを切り替えて、残った1匹だけでも、何とか
ちゃんと育ってもらおうと見回りの強化を図った。

毎年カルガモ親子を、見守る番組やらニュースで
必死で見守る人たちを見て、よく頑張ってるなぁ、
なんて思ったけど、今、自分そうだわ!って笑った。

子猫が慣れてくれたら、母猫不在の時に、家に入れて
保護してあげられるんだけど、なかなか上手くは行かない。

そうこうしてるうちに、残った大人しい子猫も
活発に動き始め、好奇心が強くなってきた。

母猫に、たしなめられても、遊びに夢中になると、
じっとはしていなくなり、あちこちビュンビュン走り回る
子猫について回るので、母猫は、かなり疲れている様だった。

気付けば、また、母猫のお腹が大きくなっていた。

走り回る子猫に付き合って、1日中ウロウロして
夜と朝のご飯を食べて、裏庭で眠っていた。

私は、ちょっと、母猫の体調が気になった。
身重で、子猫のペースで走り回っていいんだろうか・・・

雨の日、濡れて戻った母猫は、風邪をひいていた。
夏でも、朝晩が寒い日があった頃。

始め大丈夫だった子猫も、追っかけ風邪をひいていて
母猫の夏風邪は、なかなか治らなった。

なんとなく、不調そうな母猫・・・

しっぽちゃんは、触らせてくれるので、捕まえる事は可能。
但し、失敗したら2度目は無いかもしれない・・・
子猫の方は、全然捕まらない。

親と、母猫を獣医に連れて行こうか・・・と話していたが、
子猫が捕まらないと、また、行方不明になってしまう。
それでは意味が無い。

ある日、残った子猫が居なくなった。

いつも通り、子猫を追って、親子で出かけたのに
数時間後に、母猫だけが戻ってきたのだ。
はぐれたんだと、思った。

日中、暑いので車の下で、子猫が戻るのを待って、
ご飯も食べずに、また、子猫を探しに行った。

前の子がはぐれた時より、子猫は大きくなっていた、
だけど、まだまだ、経験値が足らない。
なんとか無事、母猫に会える事を祈った。

・・・そしたら、入れ替わるように、子猫が戻って来た。
すれ違ってしまったようで、子猫も母猫を探していた。
がんばって、ひとりで戻って来たのだ。
迷子になったのではなかった。よかった。

そしたら、今度は探しに行った母猫が戻らない。
夜になっても戻らない。
「まだ探してるのかな・・・大丈夫かな」
言葉が通じるなら、子猫に
「ママは、必ず戻って来るから、ここでじっとしてて」
そう教えてあげるんだけど・・・

子猫がまた出かけないように、ご飯をあげたりしながら
見張っていたら、20時過ぎにやっと、母猫が戻って来た。

もう、クタクタだったろう、お腹もすいてたろうに
ウチで待って居た子猫と、会えた事を喜ぶように
鳴きながら、頭をこすりつけていた。

甘えるように鳴く子猫と、何も言わずに頭を舐める母猫を見て、
本当に安心した。

子猫は、ウチに戻る事を覚えたようだったけど
こんな事が続いたら、しっぽちゃんが大変だ。

どうにかならないかと、策を練っていたら、チャンスは
あっけなく、いきなりやってきた。

翌日、まず、子猫が風除室(雪が降った時の為の玄関の外の空間)に
入り込んだ、その後、母猫も風除室に入ってきた。
スキを狙って、風除室の扉を閉められたら、保護完成。

いつも、どちらかに逃げられるんだけど、その時は恐ろしい程
上手く行った。
なんと、2匹とも保護できたのだ。
ラッキーだ。

暫くは、家に閉じ込められた恐怖で、大暴れしていたが
疲れたのか、2匹で身を寄せ合って、隅で眠っていた。

もうちょっと落ち着かせようと、そーっとしておいた。

だけど、その時、獣医に連れて行く事を、私はまだ迷っていた。

何故って、このまま手術をして、お腹の子猫を無事に産ませて、
母猫の避妊手術も同時にしてもらったら、今いる子猫や、
生まれた子猫の面倒を見なくなるかも知れない。

避妊手術をしたとたん、母性が無くなってしまった
と言う話を聞いた事があったから。

ご存じの方も居るでしょうが、子猫の世話は大変だ。
まぁ、赤ちゃんはみんなそうだけど、ウッカリしてると
死なせてしまう。

生まれた子猫のお世話をして、里子に出せるくらいまで
大きくしてから、貰い手探し・・・何だか気が遠くなりそうだった。
でも、やらない訳に行かない。

「腹をくくるか・・・」なんて考えていたら
親も、こんなチャンスはもう無いから、行きつけの
獣医さんにお願いしようと言ってきた。

うちの子達(2代目チビとラブ)がお世話になった
獣医さんは、名医で有名だった。

最悪、里子の事も、ちょっと相談しようかな・・・
なんて思ったりして・・・頼りすぎちゃダメか。

とにかく、そうと決まれば、暴れる母猫を何とか捕まえて、
洗濯ネットに入れ、2代目チビが使っていた、
キャリーバッグに入れて、獣医に電話してから連れて行った。

一応、ウチの飼い猫では、まだなかったので
野良猫の手術として、お願いした。
ちょっとだけ割引してもらった・・・と思う。

その時は「全部終わったら、また自由にしてやろうか」
なんて、のんきに思っていた。

そうしたら、母猫のレントゲンを見て先生が言った。
「お腹に子猫は居ると思うが、生きてない可能性が高い」と。
「これは、少し大きな手術になる・・・」という事だった。

生まれた子猫の里子計画まで考えてたのに、
目の前が、暗くなった。

見せてもらったレントゲンは、大きなお腹が
まるで虚無空間のようだった。

普通、子猫が白っぽく見えるんだそう・・・

暗い中、ボヤっと、白っぽい物が、なんとなく
1つ2つ見えた程度だった。

血液検査の、データーを見ながら
「原因は解らないが、かなり貧血状態」とも言われた。
他にも何か言ってたような気がするが、全然頭に入ってこなかった。

「ともかく、明日緊急手術をするので、一旦連れて帰って下さい、
お腹は開いてみないと、どうなっているかが解らない」
という事だった。
手術費用は、避妊手術の3倍ちょい位になるらしい。

最悪、お腹の中の子供が既に腐っていたら、母猫の命も危ない
という事で、覚悟するようにとも言われた。

お腹の子猫が死んでいる・・・
もしかしたら、何匹かでも、生きてるかも知れない・・・
そうじゃないかも知れない・・・
母猫を、連れ帰ってから、色々考えて、心配で眠れなかった。

家で、ずっと母猫を待ってた、子猫は、再会するなり
キャリーバッグの中の母猫の横で、眠っていた。

本当は、明日まで、自由にしとこうかと思ったが
朝にまた、捕まえて、洗濯ネットに入れて・・・って
けっこう暴れて、大変だったのと、
夜ご飯が終わったら、何も食べさせないようにと、言われてたので
可哀想だったけど、キャリーバッグの中に居てもらった。

もしかすると、この子猫が母猫の最後の子かも知れない・・・
キャリバーバッグの横で眠る、小さい子猫を
しっかり守らないと・・・

こうなったのは、私達のせいではないし
しっぽちゃんのせいでもない・・・何だか切なかった。

この子達は、ウチに来ていたから、病院に行けたけど
誰にも世話にもならず、野生のまま生きていたら
最悪、この2匹も虹の橋を渡ってしまうのだ。

そういえば、獣医さんがボソッと言っていたんだけど
この母猫は、飼い猫だった可能性が高いとか・・・
恐らく、捨てられたのではないかと言っていた。
そして、若い猫だと思っていたら、結構年取っているらしい。

なんで、捨てちゃうんだろうね。

思ったように育たないとか
言う事を聞かないとか
悪戯がすごいとか
大きくなりすぎたとか
しつけが出来ないとか
そんなの関係ないだろうに。

人間だって、他の人と完全に分かり合えるワケが無いのだから
動物相手なら、尚更。

可愛いからって、何の覚悟もなく、飼ってはいけないと思う。

躾けに関しても、信頼関係をゆっくり築いて、
気長に躾ければいい、そんなに難しい事ではない。

むしろ、それは楽しい事だと、私は思っている。

知らなかった事を、ひとつひとつ覚えてくれる。
ゆっくりでいい、ちょっとづつでいい。

それぞれの個性を見極めて、伸ばすのは楽しい。

ひとつを、覚えてくれたら、嬉しい。
誉めてあげたら、喜んでいる、その顔がとても可愛い。
まぁ、これは犬の話だけど。
猫だって、習性が解ると、躾けはかなり楽になる。

愛情をこめて、話しかけると、解ろうとする姿が愛しい。

私たちを、信じて解ろうとしている、そう気が付いたら
もう、喜びと愛情しかないと思うんだけど。

自分がもし、誰かに、ああしろ、こうしろって厳しく言われて、
言葉も解らない、自分の置かれた状況も解らない、
どうしたらいいか解らないのに、何の説明もないまま、
ポイと捨てられたら、どう思うんだろう。

いきなり捨てられて、他の猫や犬やカラスに追われて
人にも追われて、怖かったろうと思う。
お腹がすく、ちょっと休んでいると、テリトリーの主に
脅される、だから休む暇も何もない。

必死に生きて来た子達に、これ以上辛い思いはさせたくない。

でも、全部は助けられない。ジレンマだ。

自分は、無力だと、本当に思う。
でも、自分が何もかもできるって思う事は、傲慢なのだとも思う。
目の前の命だけでも、助けられるなら、それでいいと思った。

翌日、獣医さんに連れて行って、手術の順番を待つ間
母猫は、何かあきらめた風だった。

大人しく、じっとして何処かを見つめていた。

順番が回って来て、母猫は麻酔の注射を打たれた。

「静かに抱っこしててください、数分で麻酔が効き始めます」
と、洗濯ネットに入った、しっぽちゃんを、渡された。

その時初めて、しっぽちゃんを抱っこした。
今まで、抱っこした事が無かった。

15年ぶりに猫を抱っこした事に気が付いた。
前日に測った体重が、3.6キロ・・・
抱き続ける腕が、ちょっとだけ辛かったけど、がんばった。

「大丈夫だからね、子猫ちゃんの所に、必ず連れて戻るからね」と
話しかけながら、お尻をポンポンと優しくなでていたら
「あっ、静かにしないといけないんだった」と、思い出して
慌てて、声をかけるのと、お尻ポンポンをやめた。

15年前に居たチビは、腎臓疾患で7歳の若さで死んでしまった。
その子が甘えん坊だったので、抱っこしたら、お尻ポンポンするのが
癖になっていた。
抱き癖が付いてたので、私にベッタリだった。

2代目チビ(白猫の黒ブチ女子)も、保護猫で
当時勤めていた会社の裏で、親とはぐれたのか、
捨てられたのか、解らないが、ガリガリに痩せて、
ノミだらけで、そのくせ捕まえようとすると
「シャー」って、いっちょ前に言っていた。

逃げ回る子猫を、やっと捕まえた時、片手で握れる小ささだった。
白い毛がフワフワだけど、片手の中の小さい体は、肋骨が異様に
浮いていた。

たぶん、あと半日遅れたら、死んでいたと思う。

これまた怒られるかも知れないけど、ノミが本当にすごかったので
ぬるま湯に、台所用中性洗剤を薄めたもので、子猫の体を洗った。
暴れるから、何とか数分そのまま押さえつけから、ぬるま湯で
洗剤が取れるまで、しっかり濯いだ。

ノミをほぼほぼ退治して、タオルでよーく拭いた時、子猫は
私にしがみついて来た。今まで威嚇しまくっていたのにね。

チビは、私を保護者であると、小さいなりに悟ったんだと思う。
もう絶対助けるしかない、そう思った。

当時勤めてた会社は、上司ひとり、部下(私)ひとりで
その日上司は、会社に戻らなかったので、猫にかまけてられた。
やるべき事をやっていれば、文句を言われない会社だったので
ラッキーだった。

乗って来た自転車を会社に置いて、子猫を段ボールに入れて
バスで実家に戻った。

昔いた、初代チビ(茶トラ男子)が、引っ越しの時に
スポーツバッグに入れて、連れて行こうとしたら、バッグを
ぶっ壊して、逃げた事があったので、子猫にその力は無いとは
解っていたが、念の為段ボールに入れて、抱きかかえるようにして
連れ帰った・・・しかし、静かなバスの中で、カサコソカサコソ
動く音が響いて、とても恥ずかしかった。

当時、私はアパートに一人暮らしをしてたので、猫が飼えなかった。
実家に戻って、子猫を見せたら、親がびっくりしてた。
(実家は3DKで、手狭になったから、近くにアパートを
借りて住んでいたのでした、その時は東京在住)

あの時は、みーちゃんとウリ(キジトラ女子)が居たなぁ・・・
ウチの猫は、それぞれ仲が良くなかったので、いじめられないかが
心配だった。

親は、子猫にメロメロになり、面倒見てくれた。
先住猫は、いじめもしなかったが、育児にも参加しなかった。

獣医さんに連れて行って、診察、点滴、注射してもらった時に、
聞いた話では、もう離乳出来る頃だったらしい・・・でも
体は、恐ろしい程小さかった。

結果、栄養が足りない以外の病気は、無かった。

余談ではありますが、2代目チビは、その獣医さんに行くと
その可愛さで、待合室のアイドルになったのだそう・・・
ちょっと、親バカ。


しっぽちゃんを抱っこしていて、色んな事を思い出した。
また、猫を抱っこする日が来るとは思いもしなかった。

でも、昔使っていた、猫トイレや砂、キャリーバッグは
「もしかしたら」と、取って置いたものだった。
もう飼う事は無い、と思いつつも取って置いて良かった。
猫トイレなんか、もう1つ新品があった。

そうこうするうちに、麻酔が効いてきて、言われた通り
しっぽちゃんは、食べた物をもどしたので、
看護師さんに伝えたら、そのまま手術室に連れて行かれた。
(麻酔が効くと、吐いちゃうんだって)

手術は1時間ちょっとで終わった。

お腹の中の子は、7匹。
すべての子が、やはり死産だった。

「この子達がお腹の中に居たんです」と
銀色のバットの様な物に入れて、先生は見せてくれた。

薄い膜に包まれた、小さくて黒っぽい子猫。
この子達が、そのままお腹に居て、2~3日放置してたら
母猫は助からなかった、と言われた。
ホントにギリギリ。

子猫の毛色を見ていたら、ひょっとしたら、この子達は
じいじの子供だったのかも知れないと言う気がした。

じいじと、しっぽちゃんは仲が良かった。
子猫と3匹で居ると、まるで親子の用だった。

今いる子猫はたぶん、じいじの子供ではないと思う。
でも、長くなって寝ころんだ、じいじの長い尻尾で、
子猫を遊ばせていた姿を何回も見た。
ご飯時間に、バッタリ会っても、先に親子がご飯を食べるよう
暖かく見守っていた。

子猫の事は残念だったけど、しっぽちゃんが助かったのなら
今はそれで充分。そう思う事にした。

子猫の元にしっぽちゃんを連れて帰る事を喜んだ。

その日は、獣医さんの所に泊まって、経過を見てから
明日お迎えに来る事になった。
今は、そんなに早いんだ・・・ちょっと驚いた。

その翌日、エリザベスカラーを付けて、すっかり大人しい
洗濯ネットの中の、しっぽちゃんに会えた。

その日は、家に戻った時の事も考えて、これまた昔からあった
ケージに、しっぽちゃんを入れ、抜糸までの2週間の
注意事項を聞いてから、家に戻った。

家の駐車場に戻ったら、いきなり暴れ出して、ビックリ。
出られる訳ないのに、ケージに体当たりして、大変だった。
エリザベスカラーが、ちょっと変形していて
「ま、まぁ、元気で良かった」と、苦笑いした。

家に戻ると、子猫が母猫から離れない。
まぁ、これは、想定内。

お腹の傷は、しっぽちゃんは舐める事は出来ない
だけど、子猫は絶対剥がしにかかる。
それを防止するのと、キャリーバッグの中だと
元気な姿を見られないだろうって事で、ケージに入れたのだった。

それから2週間が大変だった。

ウチにご飯を食べにくる子は、皆、風除室で食べてたんだけど
親子が居るので、皆外でご飯を食べる事になったから。
モタモタしたり、油断してると、子猫が脱走する。

たぶん、しっぽちゃんを置いては行かないと思うけど
パニックになったら、何が起こるか解らない。

保護した親子の危機管理をいろいろ考えながらの2週間だった。

子猫はフリーだったので、危ない事しないか、変な物食べないか
毎日ヒヤヒヤした。

危なそうな物を、出来るだけ置きっぱなしにしないように
高い所から落ちたりしないように、ホントに注意した。

でも、やっぱり想定の斜め上を行く。

最終的に、150㎝の高さから飛び降りられるようになっていて
心配しつつも、子猫の成長が嬉しかった。
初めてウチに来た時は、まだ歩くのもやっとで、ヨロヨロしてた。
いつの間にか、走られるようになって、高い所にも上れた。

ちょっと泣けた。

他の猫達は、風除室の親子を、恨めしげに見ていた。
でも、家の中には絶対入って来ない。
退路を断たれる事が、心底怖いようだ。
仕方ない事だけど。

親子と仲の良かった、じいじだけは、室内の親子を
いつも心配そうに見ていた。
風除室の扉の外で、長くなって、親子を見守っていた。

ご飯の時、母猫をケージから出して、洗濯ネットを半分着せたまま
食べさせて、少しの間ネット越しに子猫と一緒に自由にさせた。

そしたら、ネットの中の母猫を守ろうとしてるのか、様子を見てた
私と母猫の間に立ちふさがり、子猫はじっと私を睨んでた。
すっかり、親子からの信頼を失ってしまった・・・

親子にとって、人間は敵だったんだろう。
痛い事をする、怖い事をする。

君達の為だからと・・・言っても解からないだろうが、
必死で母猫を守ろうとする子猫の姿が、とてもいじらしかった。

やっと2週間が過ぎ、抜糸の為に獣医さんに行った。

経過は良好、とてもきれいに治ったと獣医さんに褒められたが
この2週間の苦労を思ったら、治ってもらわないと困る。

2週間前の心配が嘘のようだった。

抜糸を済ませて、エリザベスカラーから解放された
しっぽちゃんは、とてもスッキリしてた。
獣医さんでも、車の中でもとても大人しかったけど
また、駐車場で暴れるかな・・・って思ったら
ずーっと、大人しくて助かった。
何とか、元気で家に戻って来る事ができたのだ。

昔、猫部屋として使っていた、オヤジの作業小屋(と言う名の物置)
を、また使えるように、掃除と危ない物の移動も、この2週間で、
同時進行でやっていた。

最終的に、必要な物とかの移動をさせて、確認をしてから
親子を猫部屋に移動させた。

その頃には、子猫も何とか捕まるようになっていたので楽だった
・・・と言うのも、子猫は優しい性格なのか、爪をほとんど
出さない子だった。
攻撃する事も知らない様で、絶対爪を出さない。
引っかかれる事があったとしたら、偶然当たったレベル。
本当に良い子。
ただ、生まれた時から、自由猫だったので、感情が無い。
見るもの全てが、初めてで、目を見開いて、色んなものを見てる。
(母猫は大暴れした時、すっごい攻撃されて、私は血だらけだった)

細長い3~4畳ほどの広さの、半お手製の作業小屋で、
家に馴染むまで、住ませる事にした。
これ以上、人に慣れなかった時でも、寒さ対策をキチンとして
時間がかかっても、いつか猫部屋から、家の中に入れる計画を立てた。

何事も無く、避妊手術した程度だったら、今まで通り外猫でも
良かったと思う・・・でも、心配だった事もあるが、
2匹とも可愛くて仕方なくなってしまったってのが、本根。

雨に降り込められ、暑さから逃れ、雪に震える事の無いよう
この親子を、見守って行きたいと思った。

そうそう、心配していた、母性は無くなる事は無かった。

子猫はとっくに離乳しているのに、未だに母猫のおっぱいを
モミモミしながら、吸っている・・・何も出ないだろうに。
それを嫌がる事もなく、優しく見守るしっぽちゃん。
子猫は、すっごい甘えん坊。
この子も小さいので、大きくなるように「ちび」と命名。

「ちび」も、とうとう3代目になった。

あの7匹が助かっていたら、なんて思ったりもするけど
考えても、どうしようもない事は、忘れる。
それが一番だと思う。

いつか、何処かで生まれ変わって、今度は幸せになるように
祈っていよう。

しっぽちゃんは、お腹の傷も無くなり、毛刈りした所も
キレイに生えそろってきた。
子猫を追って、神経をすり減らす事も無く、攻撃してくる脅威も
無くなって、のーんびり子猫と、ゆっくりしてたせいか
なんか、太って来た。
これ以上、ぷくぷくにならないようにしないといけない。

最後になりますが、実はこれが、今回の一連の出来事で、
一番感動した事を、書き加えます。

消えた親子を心配してじいじが、風除室の中、隅々まで見回って
親子を探している。

毎回ご飯を食べに来て、たいして広くない風除室に入って来ては、
今までいたであろう所や臭いの残っている所を、グルグル回った。
4~5日は探してたような気がする。

オス猫って、もっとあっさりしてるのかと思ってた。
来るたび、探してるから、たぶん外でも探してると思う。

心配しすぎて、食が細くなってきた(気のせいかな?)

こんなに情の深い子が居るんだなって、思ったら、外猫だけど
この子も大切にしてやらないといけないなって、思った。

親子はやっと、家と人に慣れつつあるから、会わせてあげられない。
元の木阿弥になる・・・けど、ご縁があって、会えたこの子達を、
出来る限り見守って行こうと思った。

そして、じいじは、とうとう親子の居場所を嗅ぎつけたようだ。
表の庭に面した所に、猫部屋があって、注意していれば
まぁ、何かが居るって事は解る作りになっているから。

猫部屋で、親子は滅多に鳴かないのだか、バレましたね。
食欲が戻っているし、ご飯を食べに来てはいつもは通らない、
庭の方を明るいうちは、必ず通って帰る。

愛だな。

なんか、意地悪してるみたいで、落ち着かないので
今度、ちゅーるをおごろう。

猫達の為にも、20年は健康保って行かないといけない
と思うのでありました。

以上です。
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『仮想通貨2024年最新の動向』は、仮想通貨の急速な進化とその社会への影響を包括的に解説する一冊です。2024年の最新の市場動向、技術の発展、法規制の現状を深く掘り下げ、新興企業と既存企業の市場への参入や、投資家と消費者の行動変化に焦点を当てています。この書籍は、ブロックチェーン技術の進歩、分散型金融(DeFi)の台頭、そしてこれらが経済や社会に与える広範な効果を詳細に分析します。読者は、仮想通貨の普及がもたらす新たな投資機会、市場の透明性の向上、そしてデジタル経済の将来についての深い理解を得ることができます。法規制の不確実性、市場の変動性、そして技術の進化に適応する方法についても考察しており、投資家、消費者、政策立案者にとって貴重な情報源となります。

平々凡々 2021

るい
エッセイ・ノンフィクション
毎日、何かを考えてる。   日々の出来事。 人間は、いつも“何か“を考えている。 そんな「考え事」を吐き出しております。

次の風が吹いたら

みるく♪
エッセイ・ノンフィクション
詩集です。 (思い出のアルバム)

平々凡々。2022.3

るい
エッセイ・ノンフィクション
「世の中、いろいろなことがあるよ」をテーマに、日常を綴っています。

大学受験生の推薦入試実録

七色
エッセイ・ノンフィクション
ほぼ作者の日記的な、記録。大学受かるまでの話。ノンフィクションでお送りします。AO入室で大学受かる話。ご不明な点やご質問があればコメントでお願いします。まとめて本編でお返事予定。コメント来るかな……

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