ケモ耳女性達とハーレムライフ

錏陀羅龍

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第六章 ハーレムライフ(仮)

王妃様の治療とエアコンの取り付け

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 全員がカレーを食べ終わったので、お皿に「洗浄」をかけて収納し、ファプール強炭酸ジュースを出した。

ティアナ「昨夜も飲みましたが、ファプールが実る時期でもないので、貴重なのではないですか?」

「ファプールの人工栽培に成功したので、年中ファプールが採れるのです」

ティアナ「ファ、ファプールを人工栽培!? かなり痛みやすい果実ですのに⋯。タカシ様は本当に凄いお方なのですね!」

「いえ、農業が好きな獣人の知り合いが凄いのです」

 魔薄膜ハウスはジョーイ社長達が作ったし、ファプールの栽培はマミさんやビーフさんに丸投げだからな。

 ファプール強炭酸ジュースを飲みながら、今後の事を姫様達と話していく。

ティアナ「ミケ達から話は聞きました。タカシ様のおっしゃる通り、私は呪いが掛かっている振りをしていた方がいいようですね」

「はい。宰相様とも話して、今後の事を考えていきましょう」

ミケ「えっ⋯?」

ティアナ「マードックに知られては、いけないのでは?」

 しまった。
 マードックの呪いを解いた事を言ってなかったな。

「その事なのですが、実は宰相様も『呪い魔法』を掛けられていたのです。調べてみないと分からないですが、宰相様に『呪い魔法』を掛けた別の黒幕が居ると思います」

ティアナ「そ、そうなのですか!?」

「はい。私も驚いたのですが、宰相様も操られていました。それに『呪い魔法』というのが、どの魔法種なのかも分かりません。ハイエルフの魔法使いは、この城に居ますか?」

ミカン「ハイエルフ族は、深い森に住んでいる種族ですから、王都には居ないと思います」

 そういう種族なのか。

「姫様が掛けられていたのは『催眠ヒプノシス』という魔法なのですが、エルフの魔法使いに聞いても、人を操る魔法など聞いた事がないと言っていたそうなので、もしそんな魔法が使えるなら、魔法に長けたハイエルフ族ではないかと⋯。兎に角、黒幕が誰か分からないので、姫様達には操られている振りをしていてもらった方がいいと思います。宰相様の呪いは解いたのですが、姫様のように眠っていると思いますので、今から魔法で回復させてきます」

ティアナ「マードックと話した方がいいと思いますので、私も一緒に行きますわ」

 宰相が正気に戻ったら、姫様から俺の事を説明してもらった方がいいな。
 でも「回復」を掛けても、姫様同様すぐに目を覚ます訳じゃないだろうから、宰相が起きてからの方がいいな。

「宰相様も、自然に目が覚めるまでは寝かせていた方がいいと思いますから、それから一緒にお願い致します」

ティアナ「あっ、それもそうですね。それとタカシ様。私に掛けられた呪いを光魔法で解いてくださったと聞いたのですが、お母様の病気も治していただけませんか?」

「はい。光魔法なら治せると思いますが、王妃様にお会いできますか?」

ファム「王妃様のお世話も私達の仕事ですし、軍隊の者も王妃様の寝室には来ないので大丈夫です」

 病気の後遺症で寝た切りみたいだから、ファムさん達がお世話をしているんだな。
 それに病気の王妃様を監視する必要もないから、軍隊の奴等も近付かないという事か。
 なら軍隊の奴等は、王様の監視をしているだけなのかな?
 しかしそうなると、王様に会うのは難しそうだ。

 俺は宰相の部屋へ「転移」して、「回復」を掛けてから、また姫様の寝室へ戻った。

 姫様には「催眠」が掛かった演技をしてもらい、俺は「透明」になってファムさん達に付いて行き、王妃様の寝室に案内してもらう。
 途中で軍隊のヤツに出会でくわしたが、目が虚ろな姫様を見て去って行った。
 姫様を怖がっているような感じだな。
 失礼ながら演技が大根だったらどうしようかと思っていたが、姫様は操られていた時の自分の様子をミケさん達から詳しく聞いていたみたいで、催眠術を掛けられた人のような様子だった。

 城の奥にある部屋へ着くと、ファムさんがドアをノックし、声を掛けてから中へ入ったので、俺と姫様達も中へ入った。

ファム「王妃様。ティアナ姫様が来られました♪」

王妃「え⋯? ティアナが来てくれたの? あぁ、ティアナ! 会いたかったのよ。こっちへ来て、私の手を握ってちょうだい!」

 王妃様は目が見えないから、娘に手を握ってもらいたいみたいだ。
 姫様が呪いを掛けられて奇怪しくなったのを知らないのかな?
 知っていたら、姫様を怖がるような様子があるはずだ。
 母親である王妃様に心配を掛けまいと、ミケさん達が内緒にしていたのかも知れない。
 なら王妃様は、物凄く寂しかっただろうな。
 病気で寝た切りになった自分は、娘に見放されたと思ったかも知れない。

 姫様は泣きながらベッドへ向かい、王妃様の胸に飛び込んだ。
 姫様が爆乳だから予想していたが、王妃様も爆乳で、姫様は爆乳に顔を埋めて泣いている。

ティアナ「ああっ、お母様! 長く来れなくて申し訳ありません。うぅっ、ひっくっ、私もお会いしたかったのですが⋯ううっ、お母様ぁ!」

王妃「あらあら⋯。やはり何か事情があったのね。母は信じていましたから、大丈夫よティアナ」

 胸に顔を埋めて泣く姫様を、優しく抱き締めて頭を撫でる王妃様。
 微笑ましい対面だな。

ティアナ「うぅっ⋯あっ、お母様! 詳しい事は後でお話しますが、光魔法の使い手で、私の恩人である人が来てくれて、お母様の病気を治してくださるのです!」

王妃様「え? えぇっ? あの⋯ティアナ? 光魔法は使えなくなっていたのでは⋯?」

ティアナ「使える人が見付かったのです! お母様、少し楽にしてください♪」

 まだ病気を治していないのに、姫様は俺を信じて嬉しそうだ。
 これで治せなかったら、めちゃくちゃ糠喜びさせてしまうな。
 俺は王妃様に手を翳し、「難病の治癒」と念じてから「回復」も念じた。
 手から発現した光が、王妃様に吸い込まれていく。

王妃様「あっ、あらあら⋯これは⋯! 足が⋯えっ? 目が⋯目が見えるわ! ああっ、ティアナ! 私、貴方が見えるわ! 凄い⋯」

ティアナ「お母様ぁ!!」

 姫様が再び王妃様の爆乳に飛び込んだ。
 他に異常がないか王妃様を「鑑定」してみると、『リリス・ルイース・ガイント 夜魔族 女 654歳 魔法種水魔法』と出た。
 他に状態異常は無いみたいだ。
 先に「鑑定」しないと、何の病気だったか分からないな。

リリス「ティアナ、こちらの人間男性は⋯」

ティアナ「あっ、そうでした! この御方はタカシ様。私の呪いを解いてくださった恩人です!」

リリス「の、呪い!?」

 姫様は操られていたから、王妃様に呪いの事を言っていないのを知らない。

ファム「姫様。王妃様は、姫様が呪われていた事をお知りになりません。魔王様に、王妃様には伝えないよう言われていたので⋯」

 病気の王妃様に心配を掛けまいと思ったのだろう。

リリス「ファム、詳しく説明を⋯。あっ、失礼致しました、タカシ様。私の病気を治してくださり、娘の呪いも解いてくださって、ありがとうございます」

 俺を放置してしまったと思い、王妃様が慌ててお礼を言ってきた。
 と言うか、王妃様にまで様付けで呼ばれていいんだろうか?

「いえいえ! 勿体ないお言葉です。王妃様の御病気を治せて嬉しく思います」

 床に片膝を突いて頭を下げる。
 いくら恩人でも、王族に対して失礼があっては印象が悪い。
 でも作法とか、合っているのかな?
 中世のヨーロッパみたいな世界だから、こんな印象しかない。

リリス「タカシ様は私と娘の恩人。どうか頭をお上げください」

 お許しが出たので、片膝を突いたまま顔を上げて王妃様を見る。
 エルフほどでは無いが、魔族も年齢より遥かに若く見える。
 654歳なのに、30代後半くらいな見た目で、サキュバスだからなのか大人の色気が漂っている。
 はやりサキュバスからは何かフェロモンが出ているんじゃないか?と思ってしまうな。

リリス「はぁぁ♡ まるでペル様みたいな⋯。あっ、いえ、失礼しました」

 ──グゥゥゥゥ~

 やはり俺の第一印象はペルセウスなんだな。
 そう思っていると、王妃様のお腹が鳴った。
 病気を治して「回復」も掛けたから、姫様と同じでお腹が空いたみたいだ。

ティアナ「あっ、タカシ様」

「はい。御病気は魔法で治りましたが、食事から栄養を摂る事が大事ですので、お腹が空くのは自然な事です。宜しければ、姫様もお気に召された美味しい料理がありますので、是非召し上がってください」

 長い間の寝た切り生活で足の筋力が弱っていて、まだ立ち上がるのは無理そうなので、ファムさんがベッドに固定出来るテーブルを設置した。
 王妃様が上半身を起こしたので、お皿にご飯を大盛り入れ、ビーフカツとハンバーグを乗せてカレーをかけ、ベッドのテーブルへ置いた。

リリス「あはぁぁ♪ 凄く美味しそうな匂い。匂いだけで、こんなに食べたくなってしまう料理は初めてだわ♪」

ティアナ「私も先ほど召し上がりましたが、凄く美味しくてスプーンが止まりませんでした♪」

「病気を光魔法で治した後は、お腹が空きますから、たくさんお召し上がりください」

 そう言うと、我慢できないとばかりに王妃様がカレーを掬って食べた。
 
リリス「んん~♪ ティアナの言う通り、これは食べる手が止まりませんわ!」

 王妃様もカレーを飲むように食べている。
 次に来る時は、辛いカレーを作って持って来よう。
 ファプール強炭酸ジュースとチキンバンバンの唐揚げも山盛り出しておく。
 
ティアナ「タカシ様、これは?」

「唐揚げという、鶏肉を揚げた料理です」

 王妃様の為に出したが、姫様が我慢できずに唐揚げを1つ食べた。
 病み上がりなのは分かるが、かなり食いしん坊なんだな。

ティアナ「ん~♪ これはお酒に合いそうなお料理ですね!」

 姫様が感想を言うと、王妃様もファムさん達も1つ食べて同じ感想を言ったので、マヨネーズも出して小皿に盛った。

「マヨネーズを付けても美味しいですよ」

 俺が唐揚げにマヨネーズを付けて食べると、王妃様達も真似をして食べた。
 唐揚げにはマヨネーズ、レモン、後は柚子醤油だな。

リリス「んん!」

ティアナ「んっ、ん~♪ 凄く美味しいです、タカシ様!」

ミケ「マヨネーズは凄い調味料ですね!」

 マヨネーズを初めて食べた人は、みんな同じリアクションだな。
 マヨラーが現れるのも時間の問題だろう。

 王妃様がカレーを食べ終わり、みんなで唐揚げも食べ終わった。

「「「ご馳走様でした♪」」」

 皿に「洗浄」を掛けて収納して、王妃様のベッドの近くへテーブルと椅子を移動させてジュースを全員分出した。
 王妃様にいろいろ説明しないとな。

リリス「大変美味しかったですわ、タカシ様」

「お気に召して頂けて嬉しく思います」

リリス「ティアナ、先ほど言っていた、呪われていたというのは、どういう事なの?」

ティアナ「はい。お母様も覚えていらっしゃると思いますが、何年か前に宰相のマードックが、他国への侵略を提言しました。そんな事は許せないので、私はマードックを説得しに向かったのですが、その時マードックに呪いを掛けられて、操られていたようなのです。そのせいで国民は苦しい生活を余儀なくされ、獣人差別も酷くなってしまったみたいです」

リリス「なんて事! で、でも、今のあなたは大丈夫なのね?」

ティアナ「はい。こちらのタカシ様が、私に掛けられた呪いを解いてくださいました」

リリス「そうだったの。私と娘を救ってくださって、本当にありがとうございます」

「いえ。冒険者として当然の事ですから、お気になさらないでください。それで私も宰相様の所へ行ったのですが、宰相様も呪いで操られていたのです」

リリス「そ、そうなのですか?」

「はい。姫様が呪いを掛けられて、急に人が変わったようになられたと聞いていますから、宰相様も呪いを掛けられて、他国への侵略を進言したと思われます」

ティアナ「確かに他国への侵略なんて、マードックが考えるとは思えません」

リリス「では、マードックに呪いを掛けた者が居るという事ですね?」

「はい。間違いなく居ると思いますが、『呪い魔法』なんて使える者が居るのかも分かりませんし、『呪い魔法』自体が何の魔法種なのかも分かりません」

リリス「呪いの魔法⋯。私も聞いた事がありませんが、ハイエルフ族の魔法使いなら、何か知っているかも知れません。ファム、ファベルチェのフィリストゥーネに、アグラレス様に連絡を取ってほしいと言ってちょうだい」

 アグラレス様は誰か知らないが、ファベルチェのフィリストゥーネって、フィリスさんだよな。

ファム「は、はい!」

「あっ、ファムさん。宝石商のフィリストゥーネさんには、『テレパシー』の魔道具を渡してあるので、連絡してみてください」

ファム「はい」

ティアナ「フィリスと知り合いなのですか?」

「はい。魔物が持っていた宝石を売ったり、部屋を涼しくする魔道具を買ってもらったりした事があります」

全員「「「部屋を涼しく!?」」」

 部屋に居る全員がハモった。
 この部屋も暑いから、部屋を涼しくする魔道具と聞いて驚いたみたいだ。
 お湯の出るお風呂の魔道具はあるんだから、王城なら冷たい風が出る魔道具くらいありそうなのにな。

 俺は収納から、リモコン付きの大きいエアコンを1台出した。

「これはエアコンといって、魔力を込めると冷たい風が出て、部屋を涼しくする魔道具です」

 リモコンの運転ボタンを押して起動する。

ティアナ「ああ、冷たい風が⋯!」

リリス「これは気持ちいいですね!」

ミケ「私達は暑さに弱いので⋯」

 世話係の3人は、尻尾がモフモフだから暑さに特別弱いだろうな。

ティアナ「そうでしたわ! タカシ様。尻尾の毛が長いこの子達は暑さに弱いので、この魔道具を売って頂けませんか?」

リリス「この寝室にも1台欲しいですわ」

 エアコンの食い付きが凄いな。
 2人には呪われた振りをしていてもらわないといけないし、ミケさん達が熱中症になったら大変だ。

「はい。ただエアコンは、部屋の壁のなるべく高い位置に取り付けないといけないので、知り合いの建築屋に言って取り付けてもらいます」

 ジョーイさん達なら、姫様達の呪いが解けた事を内緒にしてくれるだろう。
 とりあえずタンスの上に置いて、王妃様のベッドへ風が来るように羽を調節した。

リリス「ああ~、これは涼しいわ♪」

ティアナ「こんな魔道具があるなんて⋯」

ミケ「私の妹を匿っている村では、お風呂屋の脱衣場にも付いていて、お風呂上がりに涼む事が出来て気持ちいいみたいです♪」

ティアナ「なんて素敵な⋯♡」

 姫様が俺を欲情した目で見てくる。
 王妃様である母親の前で、そんな目で見ないでください。

ファム「タカシ様。フィリスさんが、王妃様とお話したいと言っています」

 姫様の視線に気まずくなっていると、フィリスさんと「念話」をしていたファムさんが話し掛けてきた。
 王妃様と姫様にも「念話」を付与したフローライトを渡しておこう。

「これは『テレパシー』を付与したフローライトです。詠唱しなくても念じると使えますし、持ち主しか使えないようになっていますから、今後の連絡用に持っていてください」

 2人にフローライトを渡しながら使い方を説明した。
 王妃様は早速フィリスさんに「念話」しているようだ。

ティアナ「凄い魔道具ばかりですわ。タカシ様は人間族なのに、魔法や付与も凄いのですね♡」

「魔法の事は、自分の事なのに自分でよく分からないので、この事は内密にしていただけると助かります」

 いつもの都合のいい言い訳をすると、部屋に居るみんなが納得したように頷いてくれた。

「知り合いの建築会社の者を連れて来ても大丈夫ですか?」

 エアコンを取り付けてもらおう。

ティアナ「はい。お願いします。ミカン、タカシ様に、エアコンとフローライトのお代をお支払いして」

 代金か⋯。
 念話のフローライトは、みんなに無料で渡しているが、エアコンはジョーイ建築会社の為に受け取るべきだな。

「フローライトのお代は、誰からも受け取っていないので、エアコンの代金だけで結構です」

ティアナ「そ、そうなのですか? こんなに綺麗なフローライトですし、魔道具にもなっているのに⋯」

 姫様は、何故かフローライトを見てニヤニヤしている。
 宝石をプレゼントしたみたいになっているのかも知れないな。


 王妃様がフィリスさんと「念話」している間に、俺は姫様に断ってから、ジョーイ社長の家に「転移」して事情を話した。

「え⋯? あ、あの、もう1度言ってもらえますか?」

 ジョーイ社長は、俺の言った事が自分の中で整理出来ないようだ。
 そりゃそうだろう。
 いきなり姫様と王妃様の寝室にエアコンを取り付ける仕事を取って来たと言ったら、誰でもパニックになるよな。

「ビックリさせてすみません。とりあえずベンさんを連れて来るので、エアコン2台の取り付けをお願いします」

「⋯⋯⋯はっ! はい! 今まで生きてきて、1番ビックリしましたよ。まさか王城から仕事を取ってくるなんて⋯。いや、でも⋯タカシさんの魔道具なら⋯」

 ジョーイ社長がブツブツ言っている間に、俺はベンさんに「念話」して居場所を聞き、孤児院へ「転移」した。


 孤児院の前に「転移」してくると、コリンさんとベンさんが子供達とブランコで遊んでいて、砂場に立派な砂のお城と、砂の山のトンネルがいくつもあって水が流れていた。
 砂場にはラルフさんとニールさんが居るから、砂の城を造ったのは間違いなくニールさんだろう。
 子供より楽しんでるな。

ニール「ああ、タカシさん。この砂場というのは、素晴らしい遊び場ですね! ついつい本気で遊んじゃいましたよ」

ラルフ「こういう遊びを子供の頃にすれば、大人になってから仕事の役に立つと思います」

 確かに教育の役に立つかも知れないな。
 いや、立つか?

コリン「子供達にブランコの遊び方を教えていたんですが、みんな凄く喜んでいますよ」

ベン「私が乗っても大丈夫だったので、壊れる心配は無いです」

 この2人もブランコで遊んでいたようだ。
 大柄な象族のベンさんが乗って大丈夫なら、壊れる事は無いだろう。

「みんな楽しそうで良かったです。それよりベンさん。エアコンを王城の部屋に取り付ける仕事を受けたので、今から俺とジョーイ社長と一緒に取り付けをお願いします」

ベン「はい。エアコンの取り付けならお任せください!」

 俺はベンさんの肩を掴んでジョーイ社長の家に「転移」した。



 残されたコリン達は⋯⋯。

コリン「な、なあ? 俺の聞き間違いか?」

ラルフ「いや、俺にも聞こえたぞ!」

ニール「タカシさん、エアコンを『王城の部屋に』って言ったよな?」

コリン「ベンのヤツ、行き先をよく分かってないな」

 3人は益々タカシを神様扱いした反面、エアコンを取り付けに行くのが自分じゃなくて良かったと思ったのであった。



 ジョーイ社長の家にベンさんと「転移」して、2人に「洗浄」を掛け、緊張したジョーイ社長と、いつも通りのベンさんと王妃様の寝室へ「転移」した。


ミカン「あっ、タカシ様。お帰りなさいませ♪」

 俺が「転移」して帰って来ると、世話係の3人が嬉しそうに迎えてくれたが、姫様と王妃様は驚いた様子だった。
「転移」の事は説明していなかったから当たり前だが、「転移」でこの部屋から消えたから、だいたい察してくれていると思うのだが⋯。

「建築会社の人に来てもらったので、エアコンを取り付けてもらいますね」

リリス「は、はい。よろしくお願いします」

ティアナ「えっと⋯タカシ様。急に消えられて、また人を連れて現れられたのですが、どういう魔法ですか?」

「説明が遅れて申し訳ありません。『転移』という魔法で移動しました。この人はジョーイさんで、知り合いの建築会社の社長です。こっちはエアコンの取り付けが上手なベンさんです」

 そう紹介すると、ジョーイ社長がベンさんの頭を掴んで一緒に床に膝を突いた。

ジョーイ「ジョ、ジョーイと申します。この度は、エアコンの取り付けの仕事を頂き、ありがとうございます!」

ベン「⋯⋯はっ!! あ、ありがとうございます!」

 ベンさんが状況を察して、丁寧な言葉で対応した。

リリス「タカシ様の知り合いなのですから、 頭を上げてください。部屋が涼しくなる魔道具を取り付けてほしいので、よろしくお願いしますね」

ジョーイ「は、はいぃ! お任せくださって、ありがとうございます。エアコンは暑い時に涼しく過ごせる魔道具ですが、そのまま寝られると身体が冷える事もありますから、寝られる時は風を弱めてくださいませ」

ティアナ「はい、わかりましたわ。そんなに緊張なさらず、お気を楽にしてください」

 あまりにジョーイ社長が緊張しているので、姫様が助け船を出してくれた。
 しかしジョーイ社長は緊張しっぱなしだし、ベンさんはちょっとパニックになっている。
 いきなり王妃様と姫様の前に連れて来たのは失敗だったな。
 俺でもちょっと緊張しているしな。

 ジョーイ社長が王妃様の寝室全体を見て、ベッドに風が当たる高い位置の壁にエアコンを持ち上げ、ベンさんがエアコンを取り付ける。
 ベンさんは違う世界に旅立ったままだが、そのまま姫様の寝室にもエアコンを取り付け、また王妃様の寝室へ「転移」で帰ってきた。

ティアナ「代金はミケから受け取ってください」

 エアコンの取り付け代金を要求されたので、俺はジョーイ社長に「念話」でお金を貰うよう伝えた。
 いくらもらうかは、ジョーイ社長に任せる。

 ジョーイ社長がミケさんから代金を受け取ったようなので、俺はジョーイ社長とベンさんを東区に「転移」させた。
 あまりに緊張していたから、早く帰してあげた方がいいだろう。

リリス「便利な魔道具をありがとうございました」

「いえ、王妃様のお役に立てて光栄です」

ティアナ「ミカン。お父様に会う事は出来ますか?」

ミカン「魔王様の側には軍隊の者が居るので、難しいと思います」

 やはり軍隊のヤツは、魔王様の監視役か。

ティアナ「お母様が元気になられたのに⋯」

「姫様。宰相様が目を覚まされたら、今後の事を相談してみては如何ですか?」

 今まで操られていたとは言え、この国の宰相なんだから、何か良い知恵を出してくれるかも知れないし、城の事情に詳しくない俺よりいいだろう。
 今後は宰相と話し合って行動した方がいいな。

ティアナ「確かにそうですね。マードックなら、何か良い策を考えられると思います」

 姫様も、俺と同じ考えに至ったようだ。

「では、私はそろそろ帰ります。ミケさん、宰相様が目覚められたら、連絡をお願いします」

ミケ「はい♪」

ティアナ「あ、あの⋯タカシ様。その⋯またタカシ様のお料理を食べたいのですが、ハンバーガーの屋台は何処で出されているのですか?」

 姫様が頬を赤くしながら、申し訳なさそうに言ってきた。
 姫様や王妃様は、回復魔法の影響でしばらくお腹が空くだろう。
 でも明日はミーシャとデートだし、俺が料理だけ持って来るのは正直面倒臭い。

「ハンバーガーは、南区の広場で毎週金曜、土曜、日曜の昼くらいに屋台を出しています。姫様や王妃様が私の料理を食べたいとおっしゃるなら、セドム村の料理屋に行けるよう、姫様の部屋に魔法を付与いたしましょうか?」

 料理はリカさんに任せよう。
 
ティアナ「まぁ! それは素敵ですわ! それに私も、助け出された獣人女性達に会って、心の傷を少しでも癒してあげたいです」

 元々姫様は獣人差別が嫌いだし、獣人女性の耳や尻尾が好きな人だから、拐われた獣人女性の事が心配なんだろう。
 それに操られている振りをしていなければいけないから、部屋に引き籠りがちになってしまう。
 エマちゃんみたいに、セドム村なら自由に行動できるだろう。
 しかし⋯⋯。

「ただ姫様。姫様が姫様である事は、拐われていた獣人女性達以外には言わない方がいいかも知れません。その⋯みんな緊張してしまいますから⋯」

 エリダさん達には、姫様が元に戻ったと知ってもらった方がいいと思うが、セドム村にいきなり王族が来たら、村長の寿命が縮まりそうだ。

ティアナ「うっ⋯私は気にしないのですが、その方がよろしいですわね。わかりました」

 姫様と王妃様の部屋を「転移」で繋げ、姫様の寝室とセドム村のリカさんの料理屋も「転移」で繋げ、姫様と王妃様と世話係だけが使えるように「設定」した。
 リカさん達には、俺から先に言っておいた方がいいな。

 姫様達に断ってから、俺はセドム村へ「転移」した。


 そのままリカさんの飲食店に行くと、昼食時を過ぎているので客は居なく、リカさんとエマちゃんがお皿などを洗っていた。
 だがリカさんは可愛い浴衣を着ているし、エマちゃんはメイド服姿だ。

エマ「あっ、いらっしゃいませ、ごしゅ⋯タカシさん♪」

リカ「いらっしゃいませ♪」

 メイド服を着ているから、エマちゃんが俺を御主人様と呼びかけたが、慌てて訂正した。
 ここはいつからコスプレ喫茶になったんだ。
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スランプになってしまい、更新が遅れております。必ず更新しますので、今しばらくお待ちください。
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