ケモ耳女性達とハーレムライフ

錏陀羅龍

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第五章 姫様と宰相

お米の収穫と精子の効果

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 ユナが作ってくれたコーンスープを飲みながら甘いパンを食べ、エマちゃんが初めて作ってくれたベーコンエッグを食べて、楽しい朝食を終えた。
 愛しいケモ耳女性達との朝食は、いつもに増して美味しいな。

 だがエマちゃんは、可愛い狐耳を伏せて落ち込んでいる感じだ。
 エマちゃんは初めて俺の為に料理を作ってくれたが、料理が得意なユナがたまたまこの国には無かったコーンスープを作ってしまったから、エマちゃんのベーコンエッグが劣ってしまった感じになったからだろう。
 でも料理は愛情だと、元の世界の料理人が言っていたし、俺もこの世界に来て、ユナの料理以外を食べて思った。
 愛情が籠っていると、食べさせたい相手の事を考えて作るから、自然と真剣に作る。
 少しでも焦げたり、試食して美味しくなかったら、愛しい相手に食べさせたくない。
 本当に美味しかったから、後でちゃんとフォローしておこう。


 アイリとミーシャは、1度家に帰ってからギルドへ依頼を受けに行く予定で、ユーリも本屋へ仕事に行くと言うので、3人をそれぞれの家に「転移」させた。
 ユーリは本屋の仕事が好きだから解るが、アイリとミーシャは冒険者だし、俺がまとまったお金を渡しているから、月曜だからって別に依頼を受けに行かなくてもいいんじゃないか?
 ちょっとそう思ったので聞いてみると、昨日のバーベキューで初めて食べたバッカローの肉が美味しくて食べ過ぎたので、魔物討伐に行って身体を動かさないと太ってしまうという理由だった。
 今日くらい俺と一緒に居たい気持ちもあるが、太って嫌われたくないのと、俺が興奮するスタイルを維持したいというのが本音だそうだ。
 それにキャロ達の事もあるし、魔物や盗賊に困っている人も居るので、2日に1回は依頼を受けるようにしているらしい。
 まあ「防壁」が自動で発動するように魔法を付与し直したから心配ないだろう。

「俺は、とりあえず寺院の様子を見に行ってくるよ」

エマ「あっ、私も行きます」

「うん、じゃあ一緒に行こう。ユナは家に居てくれる? ハンバーガーの屋台をするサムさんを連れて来るから、味の薄いパンの作り方を教えてあげて」

ユナ「はい♪ 小麦粉や野菜もたくさん買っておいたので任せてください! あっ、ポップコーン用のトウモロコシをお願いしてもいいですか?」

 流石ユナ。
 また不思議な直感が働いたのか、俺の用意して欲しかった物をすでに買っておいてくれている。
 トウモロコシは、もうポップコーンの作り置きがないし、昨日演劇を観ながら食べたからだろう

「ありがとう。ポップコーン用のトウモロコシも貰ってくるよ。じゃあ行ってくるね」

ユナ「はい、行ってらっしゃ~い♪」

 エマちゃんが俺の腕に抱き付いたので、ユナに手を振りながら寺院の少し手前の森の中に「転移」した。


 エマちゃんの手を優しく握り、寺院に向かって歩いていると、俺が予想していた通りエマちゃんが申し訳なさそうに話し掛けてきた。

「私、もっとお料理頑張りますから、また食べてもらえますか?」

 耳を伏せたまま言ってくる。
 やっぱり落ち込んでいるんだな。
 コーンスープがこの世界に無かったなら、ユナは以前から試行錯誤して今朝のコーンスープを完成させたんだろうから、ユナに悪気は無い。
 今朝のコーンスープはトウモロコシを煮込んだだけじゃなく、牛乳や生クリームを入れないと出ない、元の世界で俺が飲んでいたコーンスープの味だ。
 嫉妬しやすいが、可愛い妹の気持ちを察しないユナではないだろう。

「もちろん! またエマちゃんの作ってくれた料理を食べたい。俺の居た所の料理人が言ってたんだけど、料理は愛情なんだ。自分が作った料理を食べて、相手に喜んで欲しいって気持ちが味に出る。今朝エマちゃんが作ってくれたベーコンエッグは、お世辞じゃなく愛情が籠っていて凄く美味しかった。本当だよ? だからエマちゃんが作ってくれた料理をもっと食べたい」

「あはぁぁぁ、タカシ様♡ エマ、お姉ちゃんみたいに料理が上手になって、大好きなタカシさんに食べもらいたいです♪ それに将来、料理を作る仕事がしたくなったんです」

 料理人になりたいのか。
 エマちゃんはもう15歳だし、18歳くらいで親元を離れて自立するのが普通なこの世界では、将来の事を真剣に考える時期なんだろう。
 エマちゃんが冒険者になって、魔物を倒す姿は想像できないしな。

「リカさんがセドム村で料理屋をする予定だし、サムさんのハンバーガー屋台も忙しくなると思う。それに他の屋台も考えているから、料理の手伝いをしながら練習する?」

「はい♪」

 エマちゃんも仕事がしたかったみたいで、凄く嬉しそうに返事をしてくれた。
 とりあえずサムさんのハンバーガー屋台の人手が足りないから、丁度良かったな。
 ハンバーガーの具を作るだけなら、接客をする訳じゃないから大丈夫だし。

 可愛い狐耳を伏せたままだったエマちゃんが、耳をピンと立ててピクピクさせながら、モフモフの尻尾を振っている。
 何度も言うが、本当にいちいち可愛過ぎる美少女だ。
 ほんの1時間くらい前に中出ししたばかりなのに、エマちゃんが愛しくて仕方ない。
 俺は無意識に、可愛いエマちゃんを抱き締めてしまった。

「あっ⋯⋯んっ、あんっ、タカシさまぁ♡」

「エマちゃんが笑顔になってくれて良かったけど、可愛過ぎて⋯⋯」

「タカシ様⋯⋯♡ 」

 可愛すぎる美少女をギュッと抱き締めて狐耳を撫で、そのままイチャイチャしたキスをした。
 

 元気になったエマちゃんと手を繋いで寺院まで来ると、寺院を囲うように足場が組まれ、作業員達が朝から忙しそうに外壁を直しているのが見えた。
 お風呂の建物も柱がすでに組み上がっている。

 エマちゃんと2人で寺院の中へ入ると、子供達が笹籠を作ってくれていた。

「おはよう~」

エマ「おはよう、みんな♪」

みんな「「「おはようございま~す♪」」」

 みんな挨拶がちゃんと出来て偉いな。

ミラン「おはようございます、タカシさん♪」

「おはようございます。朝からご苦労様です」

ハル「エマ姉ちゃん!」

 ハルくんがエマちゃんの手を引っ張って、そのまま笹籠を作っている机まで連れて行った。
 ハルくんは、エマちゃんに凄く懐いているな。

ミラン「ラルフさんが笹を綺麗に裂く道具を作ってくださったので、凄く助かっています」

 子供達が笹籠を編んでいる机の上に、いろいろ便利そうな道具が並んでいた。
 流石は宮大工のラルフさんだな。

 作業を見てみると、笹を細く裂く作業をしている子と、その笹を綺麗に削っている子、その笹を道具に固定して編んでいる子に分かれて、かなり効率良く笹籠を作ってくれていた。
 しかもかなり器用に、結構な速さで笹籠を作っている。
 まだ10歳前後の子供ばかりなのに凄いな。
 元の世界の子供とは環境や生活が違うからだろうけど⋯。

「みんな頑張ってくれてありがとう。疲れたら休憩もしてね。お昼に美味しい料理を差し入れてあげるよ」

みんな「「「ありがとう~、タカシさん♪」」」

 子供達が可愛い声でお礼を言ってくれた。
 子供達とはあまり話してないのに、みんな俺に好意的な表情なので安心する。
 サムさんにハンバーガーの作り方を教えるから、いろんなハンバーガーを差し入れしてあげよう。
 グーテンベルクの従業員にも差し入れしたいし、サムさんの練習がてら、大量に作るだろうしな。

エマ「ハルくんもみんなも、凄く上手だね!」

ハル「へへ⋯そうでしょ? 僕、昔から笹細工が得意なんだ!」

 昔からって、まだ11歳でしょ?

 エマちゃんが子供達の相手をしていると、ミランさんが俺と少し話をしたいと言うので、2人で外へ出て話す事にした。

ミラン「本当にありがとうございます。子供達でも出来る仕事を頂いた上に、寺院の改装やお風呂、それに子供達の服まで⋯。ユナさんに、タカシさんは遠慮をされると困ってしまうと伺っているのですが、お礼だけは言わせてください」

 そう言えばミランさんもだが、子供達も綺麗な服を着ていたな。
 ユナに、寺院に必要な物を買ってきて欲しいとお願いしたから、みんなの服も買ってきてくれたんだろう。

「はい。でも本当に笹籠を作ってもらって助かりますから、お互い様ですよ。建築会社の人達には言ってあるんですが、無理をする必要はありませんし、2~3時間置きの休憩と、週に2日は休みを取ってください」

ミラン「はい。ユナさんや建築会社の人に聞いているので大丈夫です」

 ユナやジョーイさん達が上手く言ってくれていたようだ。
 子供に無理をさせるつもりはないし、まだ遊びたい盛りだろう。
 本当は子供らしく走り回って遊んでて欲しいが、この世界ではそうもいかない。
 トランプやジェンガ、後は子供向けの本なんかも差し入れしてあげよう。
 演劇も観られるように、大画面タブレットも⋯⋯あっ!
 大画面タブレットをラルフさん達に作ってもらうのを忘れるところだった。

「探索魔法」でラルフさんとニールさんを探してみたが、寺院には居ないようなので、セドム村かカルシェ村だな。
 ミランさんに断ってから、エマちゃんに「念話」をする。

『エマちゃん、ちょっとセドム村に行ってくるよ。サムさんを家に連れて来たらまた連絡するから、それまで寺院に居る?』

エマ『はい、もう少しみんなの作業を手伝っています。タカシさん、行ってらっしゃ~い♪』

 エマちゃんに行ってらっしゃいを言われると顔がニヤニヤしてしまったが、俺はセドム村に「転移」した。


 いつものように休憩所の前に「転移」してくると、ラルフさんが換気扇を作っていた。

「おはようございます、ラルフさん」

「おはようございます」

 換気扇が大量にあるな。

「また作って欲しい物があるんですが、いいですか?」

「もちろん、お任せください!」

 とりあえずエリダさん達の家屋とアミさん達の家屋、ユナの家、寺院の分で4台だな。
 許可を貰っているとはいえ、いろんな所に設置して演劇を観せるのは、お金を取っていなくても権利侵害な気がする。

「前に作って貰ったタブレットの、かなり大きな物を4台作って欲しいんです」

「はい。具体的な大きさは分かりますか?」

 昨日リビングで演劇を見た感じだと、60インチより50インチくらいが丁度いいだろうから、画面を横長で16:9のサイズ。
 1インチが2.56cmだったはずだから⋯⋯。

 絵を描きながら説明すると、この世界でも建築業界とかでは、インチという単位が存在するみたいだった。

「横長で16:9になる形で、対角線上が50インチになるように作ってもらえますか?」

 そう言うと、ラルフさんが少し驚いた感じになった。

「今の説明が専門的でビックリしましたが、凄く解りやすかったのでお任せください」

 確かにちょっと専門的かもな。

 ラルフさんがタブレットの木枠をあっと言う間に作ってから、王都のガラス業者に50インチのガラスの板を作ってもらう必要があると言ってきた。
 この世界のガラス事情がよく分からないが、紙が高価な代わりにガラス製品は凄く豊富な気がする。

「ガラスって、この国では高価じゃないんですか?」

「え? あぁ、ガラスの素材は安いですから、ガラス製品を作る職人も多いんですよ」

 素材が安く手に入るのか。
 あまり考えた事もなかったから、ガラスの素材が何かは知らない。
 ガラスの素材はガラス⋯⋯って、そんな訳ないか。
 
 素材が安いといっても、流石に50インチのガラス板となると、1枚で金貨1枚はするらしいので、ラルフさんに一応金貨5枚渡した。

「素材は安く手に入るんですが、高温で熱して溶かす魔道具が高価ですし、手間もかかります。それに職人の腕次第でガラスの質が変わってしまうんです」

 なるほど。
 素材を溶かす魔道具が高価だけど、1台買ってしまえば、後は職人の頑張り次第で儲けが出るから、ガラス職人も多いんだな。

 ラルフさんが休憩所の柱から「転移」して行ったので、大量に作ってあった換気扇に魔法を付与しておいた。

 サムさんを「探索魔法」で探したが、セドム村には居ないようだ。
 セドム村の復興工事は完了しているから、社員や臨時の作業員達は、俺が付与した「転移」を辿っていろんな所にバラけて仕事をしてくれているんだろう。
 王都東区からセドム村、セドム村のお風呂屋からはカルシェ村へ「転移」できるし、寺院から東区に「転移」できる。

 ビニールハウスの様子を見に行こうと畑へ歩いていると、ビーフさん⋯いや、トールさんかな?
 どっちか解らないが、俺を見付けて慌てて走ってきた。
「鑑定」すると、弟のトールさんだ。

「はぁ⋯はぁ⋯た、タカシさん! おはよう⋯ございます! んっ、はぁ⋯はぁ⋯」

 めちゃくちゃ慌てているが、どうしたんだろう。

「おはようございます。どうしたんですか?」

「はぁ⋯うっ、はぁ⋯今朝起きて田んぼに行ったら⋯はぁ⋯はぁ⋯」

 とりあえず深呼吸をして欲しい。

「稲穂が垂れていて⋯はぁ⋯その⋯つまり⋯⋯お米が出来ていたんです! 昨日まで苗が緑色だったのに、今朝には薄茶色になっていて、その⋯とにかく刈り取らないといけないくらい実ってて⋯」

 はぁ?
 米の刈り取りは、この世界では秋じゃないのか?
 よく解らないが、トールさんの慌てようからして普通じゃないんだろう。

 トールさんと走って田んぼへ向かうと、金色の田んぼが広がっていた。
 垂れた稲穂には、パンパンに膨れたお米がギッシリ実っている。
 なんだ?
 トールさんの話からして、一晩で実ったのだろうか?

「兄さんが慌てて水を抜いているから、やっぱり刈り取りしなといけないみたいです」

 田んぼを見ると、ビーフさんが水を塞き止めていた板を外して水を抜いていた。
 早く水を抜いて刈り取りしないと、お米が傷んでしまうからだろうな。
 しかしこれは大変だ。

「お米って、秋に収穫するんじゃないんですか?」

「普通はそうですし、昨日の夕方に見た時は、まだお米が実るどころか、稲も緑色だったのに⋯。こんな事は初めてですが、早く刈り取らないとお米が駄目になってしまいます」

 と言っても、25メートルプールくらいの田んぼが5枚以上ある。
 手伝ってくれる人が何人居るか分からないが、トールさんの慌てようからして、今日中に刈り取らないとダメみたいだな。
 コンバインとかがある訳ないし、いくら俺がいろんな魔法を使えるからといって、魔法の付与でコンバインみたいな魔道具は、すぐには作れない。

「なら、とりあえず俺の魔法で、お米だけ収穫してしまいましょうか?」

「はぁ? えっ、あの⋯そんな魔法があるんですか!?」

 お米を対象指定して「転移」させれば出来るだろう。
 しかし何処に「転移」させるか⋯。

「俺の魔法でお米だけ集められるんですが、何処に置きましょうか?」

 米だけを対象指定すれば、ついでに精米も出来るだろう。

「そんな事が⋯!? な、なら、ちょっと待っててください!」

 かなり驚いた後、トールさんが畑の方へ走って行った。
 田んぼを見ていると、水が少しずつ抜けていき、俺を見つけたビーフさんが走ってきた。

「ああ、おはようございます、タカシさん」

「おはようございます。さっきトールさんに聞いたんですが、一晩でお米が実ってしまったとか⋯」

「そうなんですよ! 私も田んぼに来てビックリしました」

「とりあえず、今日中にお米を収穫しないといけないなら、俺の魔法でお米だけ『転移』させます。何処に移そうかトールさんに聞いたら、畑の方へ走って行きました」

「えぇ!? ま、魔法でお米を⋯収穫!? そんな事が出来るなんて凄く助かりますよ! たぶんトールは、お米を入れる袋を取りに行ったんだと思います」

 ああ、米袋を取りに行ったのか。

「お米1袋は、この田んぼのどのくらいの範囲でいっぱいになりますか?」

 1袋分ずつ「転移」させよう。

「そうですねぇ⋯。田んぼ1枚で、精米すると100キロくらいなんですが、米粒が大きくてたくさん実ってますから、130キロくらいになると思います。トールが取りに行った袋は、1袋15キロ入ります」

 一晩で実ってしまっただけじゃなく、粒が大きい上にたくさん実っているのか。
 かなり気になるが、悪い事ではないから原因は後で考えよう。
 130キロ収穫出来て、袋が15キロだから⋯⋯田んぼを8つに割ったくらいの範囲だな。

トール「タカシさん。魔法でこの袋に移せますか?」

 トールさんが袋の束を抱えて戻ってきた。

ビーフ「それだけじゃ足りないぞ」

トール「タカシさんが作ってくれた収納箱に入れて、全部持ってきたよ」

 収納箱を活用してくれているようだ。
 採れたての新鮮な野菜も、収納しておけばいつでも採れたて新鮮だから、収納箱もたくさん作ってあげよう。

「じゃあお米だけ『転移』させますから、袋の口を開けて構えていてください」

トール「は、はい!」

 トールさんが袋を構えると、ビーフさんも隣に並んで袋を構えた。
 同じポーズで並ばれると、どっちがどっちか分からなくなるな。

 俺は「転移」と念じて、対象指定を「目の前の田んぼの8分割した範囲のお米だけ」にし、転移先を「トールさんが持っている袋の中」にした。

トール「うわっ! おっとと⋯⋯え?」

 トールさんが驚いているが、次にビーフさんの持っている袋にも「転移」させる。
 この調子でガンガン収穫してしまおう。

ビーフ「おおっ! わっとと⋯⋯え?」

 流石双子。
 同じリアクションでちょっと面白い。

トール「兄さん、これ⋯」

ビーフ「ああ。これ、精米済みですか?」

 精米されている事に驚いているのか。

「はい。お米だけを『転移』させたので、糠も着いていないです。だから洗う時は優しく10回くらいかき混ぜるだけで大丈夫です」

ビーフ、トール「「す⋯凄いですよ、それ!」」

 またシンクロしたな。
 精米がしっかりしていれば、米は優しく洗うだけでいい。
 強く洗ってしまうと米粒が潰れ、大きさがバラバラになって炊き上がりが悪くなるし、水が透明になるまで洗うと旨味まで流れてしまう。

 それから2人に交互に袋を構えてもらい、次々とお米を収穫していった。
 途中で村の人やニーナさん達が手伝いに来てくれたので、いっぱいになった袋を閉じてもらい、次々と収納箱に収納してもらった。

「ふぅ~。これで全部収穫出来ました」

ビーフ「ありがとうございます!」

トール「あっと言う間でしたね!」

 約束していた俺用のお米は100キロほど収納したので、遠慮するビーフさんに金貨10枚を無理矢理受け取らせた。
 ついでに収納から大きな空き瓶を出して、糠だけを「転移」させる。

ビーフ「それは⋯糠ですか?」

「はい。ちょっとこれで、美味しい料理を作ろうと思いまして。貰っていいですか?」

ビーフ「もちろん構いませんが、糠が料理になるんですか?」

「ええ。糠を食べる訳では無いですが、料理に使えるんです」

 無農薬の糠が手に入ったから、糠漬けを作ろう。
 きっと草食の獣人が喜んでくれる。

 稲の刈り取りも大変だろうから、斬撃で一気に刈ろうかと思ったが、斬撃の力加減を間違えて田んぼごと吹っ飛んだら困るので止めておいた。
 まあ刈り取りは急がなくても大丈夫だろう。

ビーフ「一晩で実ってしまいましたが、凄く美味しそうです」

 確かにパンパンに膨れていて美味しそうだ。
 早速今晩食べてみよう。

「一晩で出来てしまった事に心当たりはありますか?」

ビーフ「う~ん⋯⋯こんな事は初めてなんで。でもお米だけ一晩で実っただけで、畑は普通⋯⋯いや!」

トール「畑の野菜も凄く美味しそうに出来てるんですが、タカシさんに貰ったシャワーで水を撒いてからです。たまたまかも知れませんが⋯」

 俺が魔法を付与した水撒き用のシャワーで水を撒いてから?
 確かにたまたまかも知れないが、俺が魔法を付与したからという可能性はある。
 俺の魔法はちょっと違うみたいだしな。
 田んぼだけ一晩で実ったという事は、水が原因かな?
 田んぼの水だけは川から引いているし、気になるから後で川の様子を見に行こう。

「ちょっと調べてみます。それと、ポップコーン用のトウモロコシをまた頂けませんか?」

ビーフ「もちろんいいですよ。あのトウモロコシなら、納屋の収納箱にたくさんあります」

 ビーフさんと納屋へ行き、収納箱からトウモロコシを出して、お米を入れる袋にトウモロコシの実だけ「転移」させて収納した。
 10キロくらいはあるから十分だな。

 ビーフさん達は残っている稲を刈り取ると言うので、俺は川へ向かって飛んだ。

 田んぼの土手を越えて川に降りると、特に変わった様子は無い感じだった。
 ついでにフローライトを「探察魔法」で探してみると、まだ30個ほどあったので回収しておく。
 
 もう1度飛んで、川の様子を見ながら上流へ登って行くと⋯⋯ん?
 サイズが大きいが、あれはヤマメだよな?
 あんなにデカくなるんだっけ?
 一瞬ニジマスかと思ったが、模様がヤマメだ。
 だんだん嫌な予感が⋯⋯。
 うわっ! 10キロくらいのニジマスがいる!

 モヤモヤしながら上流に飛んで、昨日みんなでバーベキューをした場所に降りた。
 アイリが友釣りでツレナイを釣りまくり、みんなで川遊びをした場所を恐る恐る覗くと、5キロくらいのツレナイがたくさん居た。
 密集し過ぎてヤバいくらいだ。
 昨日アイリが50匹くらい釣ったから数は増えていないようだが、サイズが大きくなって密集し、酸欠なのか水面に口を出してパクパクしている。

 苦しそうなので、足元に落ちていた石に昨日覚えた「酸素」の魔法を付与して起動し、そのまま水が流れ込んでいる所へ放り投げた。
 すると予想通り、名前は知らないが水槽に入れるブクブクのような泡が発生して、しばらくすると苦しそうだったツレナイが普通に泳ぎだした。
 ブクブクを「酸素」にして育てると、普通の金魚がめちゃくちゃデカくなるというのはテレビで観た事がある。
 でもこの川の魚が大きくなったのは、昨日みんなとここでセックスしたからだろう。
 確信を得る為にちょっと上流へ飛んでみると、ここから上流の魚は普通サイズだった。
 あぁ、やっぱり俺の精子の影響か⋯。
 何なんだ俺の精子は。
 悪影響はないが、何だかなぁ。

 メグちゃんが喜んでくれるだろうから、大きなツレナイを10匹捕獲して収納した。
 俺の精子の効果はそのうち無くなるだろうけど、「酸素」を付与した石をたくさん沈ませておけば大きな川魚が捕れそうなので、石を20個ほど拾って「酸素」の魔法を付与し、上流から川に落としながら村に戻った。

 ビーフさん達が稲の刈り取りをしていたが、俺の精子の影響だとは言えないので黙っておく。

 休憩所に戻ると、ラルフさんが帰って来ていて、50インチのガラスは夕方に出来上がるという事だった。

「サムさんは、今日は何処に居ますか?」

「サムは東区に居ます。今日は自分の職場になるキッチンを作っていて、凄く張り切っていましたよ」

 東区にキッチンを作っているなら、ついでに様子を見に行こう。
 エリダさん達の家屋へ寄って、大きなツレナイを2匹差し入れすると、凄く驚いてから喜んでくれた。


 東区の広場に「転移」してくると、ジャックさん達が忙しく働いていた。
 また建物を建てているみたいだな。

「おはようございます、ジャックさん」

「え? ああ、タカシさん。おはようございます。僕の事はジャックと呼んでください」

 ん?

「いいですけど、どうしてですか?」

「僕は建築の修行中ですし、あまり“さん”付けで呼ばれる事もないので、なんだか擽ったくって⋯」

 ああ、そういう事か。
 俺も欲情したエマちゃん以外に“様”付けで呼ばれると擽ったいし、ジャックさんは俺と同じ歳だから、敬語も止めて仲良くなっておこう。
 ジャックさんはジョーイさんに弟子入りしたばかりで、会社では失礼ながら下っ端だ。
 だが周りに頼りになる凄腕職人がたくさん居るから、毎日学ぶ事が多くて大変だろう。
 仲良くなっていろいろ相談やらストレス発散に付き合ってあげるのも必要だな。

「わ、わかったよ、ジャック」

「ありがとうございます」

 凄く嬉しそうに返事をしてくれた。
 ジャックにも敬語を止めてもらうよう言ったが、俺はジョーイ社長よりも上司になってしまうので、流石にタメ口は無理ですと断られた。
 まあ仕方ないか。
 新入社員が会長にタメ口でしゃべるようなものだしな。

「今は何を作ってるんだ?」

「これはサムさんがハンバーガーを作る建物です。ああ、中でサムさんも作業をしているんですが、いろいろタカシさんに相談してから構造を決めようって話していたんですよ」

 建物の大きさは十分だから、後は中のキッチンだな。
 ハンバーガーの具を焼く鉄板と、カツやポテトを揚げるフライヤーとか、大きめの換気扇、ジュースを冷やす魔道具なんかも必要だ。
 ユナに相談して、ユナが作ったコーンスープの権利を取って販売してもいい。
 
 建築中の建物の中へ入ると、嬉しそうに仕事をしているサムさんが居た。

「おはようございます、サムさん」

「ああ、タカシさん! おはようございます」

「ハンバーガーの作り方を教えたいんですが、その前にここの構造や必要な物を決めましょうか?」

「はい!」

 紙に簡単な図面と必要な物を書き出しながらサムさんと話していると、ジョーイさんが様子を見に来た。

「ああ、タカシさん。おはようございます」

「おはようございます」

 丁度いいのでジョーイ社長も交えてキッチンの構造を話していると、ジャックも来て話に加わった。

 そこからはスムーズに構造が決まっていき、ジョーイさんがあっという間に図面を描いてくれた。

ジョーイ「こんな感じで大丈夫でしょう。コリンを呼んで作業してもらうから、サムはタカシさんと必要な物を仕入れに行ってくれ」

サム「は、はい!」

 コリンさんが来てくれるなら、サムさんをそのままユナの家に連れて行こう。

「サムさんにハンバーガーの作り方を教えたいので、必要な物を買って来た後に連れて行っていいですか?」

ジョーイ「はい。コリンとジャックが居るから大丈夫です」

 ジョーイさんがコリンさんを「念話」で呼んで、しばらくするとコリンさんが来てくれたので、俺はサムさんと材料屋へ向かった。

 鉄板だけあれば、後は火力調整出来るように魔法を付与するだけだし、フライヤーも丈夫なステンレスの箱さえあればいいので、すぐに必要な物は揃った。
 後はサムさんの制服だな。
 申し訳ないが、ちょっと可愛い感じにした方が客受けいいと思ったので、ジョーイさん達が会社の制服を作ってもらった服屋へ行き、サムさんと相談しながら可愛い猿の絵が描いてあるエプロンなんかをオーダーする。
 ケイトさんの服屋は俺のオーダーしたコスプレ衣装作りで忙しいだろうし、仕事の制服だから職人の店の方がいいだろう。
 尻尾を出して欲しかったが、清潔感も大事なので、尻尾は腰に巻き付けて服の中へしまい、髪も出ないように帽子を被る事に決まった。
 デザイン的に恥ずかしがられると思ったが、サムさんも可愛い猿の絵が気に入ったらしく、嬉しそうに賛成してくれたので良かった。

 制服は明後日に完成すると言われたので、建築中のキッチンへ戻って買った物を置いて、そのままユナの家の玄関前にサムさんと「転移」した。
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スランプになってしまい、更新が遅れております。必ず更新しますので、今しばらくお待ちください。
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