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第三章 拐われた獣人女性の救出
資材の買い物とスクール水着
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東区の広場に一旦「転移」して、南区の人の居ない場所を「探索魔法」で探そうとしていると、ジョーイ社長が何か言いたそうだった。
ジョーイ「タカシさん。ここから南区には、歩いて行きませんか?」
「いいですよ。そうしましょうか」
そんなに距離がある訳じゃないし、歩いて行くか。ちょっと「転移」を使って楽し過ぎだしな。
ジョーイ「ジャックは南区の店に詳しいんですよ」
「そうなんですか?」
ジャック「はい。消耗品の買い出しを頼まれているんですよね? なら僕に任せてください!」
南区は裏通りとかがよくわからないし、消耗品を大量に購入できる店とかあれば助かる。俺が行ったのは酒場と飯屋、服屋、ラルロンドの骨董品屋、あとは娼館街くらいだ。
コレットの街の裏通りもあまり知らないんだよな。今度誰かに案内してもらおう。裏通りにはアダルトグッズの店まであるみたいだし、他にも俺の知らないこの世界の便利な道具が売っている店があるかも知れない。
「まずは資材を先に見に行きましょう。他にも建築に必要な物があれば、遠慮なく言ってください」
ジョーイ「ええ! いや、流石に仕事道具は自分で買いますよ。給料も頂きましたし⋯」
「セドム村の復興が終われば、ジョーイ社長は本格的に独立するんですから、俺からのプレゼントだと思って。でも困った事があったら、いつでも言ってください。俺もジョーイ社長に、これからも頼る事がたくさんあると思いますから、お互い遠慮は無しにしましょう?」
ジョーイ「タカシさん⋯⋯。私に出来る事なら、いつでも頼ってください!」
独立と言っても獣人差別がある王都では、なかなか仕事を受けるのが難しいだろうし、独立を薦めた俺にも責任がある。
仕事が無いなら、俺がお湯の出る魔道具を作ってあげて、「お風呂を格安で作ります!」と宣伝すれば、いくらでも注文が入るだろう。ユーリの家にもお風呂を作ってあげたいし。前に聞いたら、ユーリの家は借家だが、金貨150枚で買い取る事もできるらしい。ユーリは遠慮するだろうが、家賃を毎月払うのは勿体ないから、上手く説得して買い取って、お風呂を作ってあげよう。
あっ! シャワーの魔道具も作ろうかな。小さな穴がたくさん空いたシャワーヘッドさえ作れば、あとは魔法を付与するだけだ。ホースも要らない。うんうん、これはいいな。きっとユナ達も喜ぶ。
ジャック「何か嬉しそうですね、タカシさん。どうしたんですか?」
シャワーを作ってあげたら、ユナ達が凄く喜びそうだと思って、顔がニコニコしてしまっていた。
「お風呂で使う便利な魔道具を思い付いたんですよ。資材屋で説明するので、それも作って欲しいです。気に入ったら、みんなのお風呂にも付けましょう」
ジョーイ「また何か思い付いたんですね! タカシさんの発想には毎回驚かされますから、凄く楽しみですよ!」
シャワー付きの快適なお風呂を作れば、注文が殺到すると思う。とりあえずお風呂建築でしばらく食って行けそうだな。お風呂の出来が良ければ、家の建築や修繕の仕事も少しずつ入ってくるだろう。
「ちょっと気になったんですが、ジョーイ社長の事を『親方』と呼ぶ人と、『社長』と呼ぶ人が居ますが、何か理由があるんですか?」
ジョーイ「ああ、私の事を『社長』と呼ぶのは、社員じゃなくて手伝いの従業員なんです。『親方』と呼んでいるのが社員になります。社員はジャック、ベン、ラルフ、コリン、ニールの5人だけで、後はどうしてもセドム村の復興を手伝いたいと言ってきた、割りと手先が器用な東区の獣人男性です」
「そ、そうだったんですね!」
全員社員だと思っていた。社員が5人なら、会社として何とかやっていけそうだな。ニールさんというのは、例の石像を作った職人で、確か猿族っぽい獣人男性だ。
「手伝いの獣人男性達は、セドム村の復興が終わったら、何の仕事をするんですか?」
ジョーイ「いろいろですが、セドム村で農業をやりたい人や、家畜を育てて酪農をしたいと言ってる人も居ます。あとは工場勤めをしたい人とか⋯。しかし仕事には困ってますねぇ。うちで全員雇うのは流石に無理ですし」
酪農や工場か⋯。セドム村で酪農もやればいいんじゃないか? ホロリ鳥を育てれば、肉は美味しいし卵も採れる。それに工場なら、ポップコーンやポテトチップを製造する工場を建てればいい。ちょっと考えておこう。
ジョーイ「それよりタカシさん、娘の事なんですが⋯⋯」
ええぇぇ! な、なんだ? 俺、怒られる、いや殴られるんじゃないか? ミリアちゃんの話があるから、南区まで歩いて行きましょうと言ったのかも知れないな。
「は、はい! な、なんでしょうか? ミリアちゃんが⋯⋯何か?」
ジョーイ「どうしたんですか? そんなに慌てて⋯⋯」
「い、いえいえ! それで⋯⋯ミリアちゃんがどうかしましたか?」
焦り過ぎだ!俺。まだバレたと決まった訳じゃない。落ち着け!
ジョーイ「妻に聞いたんですが、ミリアに初めての発情期が来たら、タカシさんが終わらせてくれるって約束してくださったそうで⋯」
マイアさんが言ったのか! まあいつかはバレる事だから仕方ないが、この前おっぱいを触った事がバレたんじゃなくて良かった。いや、発情期に娘とセックス⋯⋯ヤバいな。
「あの⋯ジョーイ社長。か、勝手にそんな約束をして、申し訳ありません! 遠慮なく殴ってください!」
覚悟してそう言うと、2人は口を開けたまま固まっていた。
ジョーイ「ちょっと! 止めてください! 何でタカシさんが私に謝るんですか? それに殴ってくれなんて⋯⋯」
あれ? 何か反応がおかしいな? ⋯⋯⋯いや、忘れていたが、娘の初めての発情期を、人間の男性にセックスして終わらせてもらえるなら、親も感謝するとユーリ達が言っていた。人間の俺としては未だに半信半疑だが、ジョーイ社長の反応からして本当みたいだ。
「ああ、いや、俺は人間なので、獣人の文化とか感覚が未だによくわからなくて⋯⋯。大事な娘さんにそんなを事したら、親のジョーイさんに怒られるのかと⋯」
ジョーイ「そ、そういう事でしたか。ビックリしましたよ。タカシさんのような素晴らしい人間の男性に、娘の初めての発情期を終わらせてもらえるなら、親が怒るはず無いですよ。でも本当にいいんですか? ミリアが我儘を言っただけで、タカシさん凄く優しいから、無理をなさってるのでは⋯⋯」
凄い感覚だな。娘とセックスすると感謝される文化。知れば知るほど驚いてしまうが、とりあえず怒られなくて良かった。
「いえいえ、ジョーイ社長やマイアさんが良ければ大丈夫ですよ。この間知り合いの獣人女性の妹が、急に発情期になってしまった時にも、俺が終わらせましたから、別に無理をしている訳じゃないです」
ジョーイ「そ、そうなんですか!? タカシさんって獣人の私達にとって、もう⋯神様みたいな人ですね!」
また神様にされてしまった。エッチな事をすると、そこまで感謝されるなんて、ケモ耳好きのスケベな人間男性にとっては最高の世界だな。
獣人の文化や感覚を詳しく教えてもらいながら、歩いて南区の資材屋に着いた。ジョーイ社長とジャックさんの話では、妻のマイアさんとセックスしたとしても、妻の欲情を叶えてくれたと感謝するが、流石にそれは俺が相手だからと言う事らしい。理解に苦しむな。
とりあえず店の中に入って資材をいろいろ見ていく。
ジョーイ「タカシさん。この辺にあるのが錆びにくい金属で、ミルアとステンレスです」
ミルア? ああ、アルミか。このパターンはもう慣れたな。ビニールハウスってアルミ製だったかな? 軽くて風に飛ばされそうだから、ステンレスの方がいい気がする。
「ステンレスにしましょう。このパイプになっている物で作って欲しいです」
ジョーイ「テントの凄く大きな建物みたいな感じですね」
「そうです、そうです」
テントはあるみたいだな。ユナ達と今度山か森で泊まる約束をしているから、テントがあるなら買っておこう。みんなで一緒に寝るし、エッチもするだろうから、大きめの物を買った方がいいな。
ジョーイ社長が測量してくれた計算を元に、2メートルのステンレスパイプを100本ほど、パイプとパイプを繋ぐ金具を50個ほど買った。ステンレスパイプは1本金貨1枚、金具は2個で金貨1枚だった。
次に木材コーナーに行って、ビニールハウスの中に組む、ファプールのツルが絡まって伸びていく為の櫓(やぐら)の木材を買った。木はいくらでも生えているからなのか、50本で金貨12枚と銀貨50枚だった。まあまあ太い木材を選んだのに安いな。いや、1本5000円くらいだからそんな物か。金銭感覚が狂ってるな、俺。
資材を店員が外へ運び出している間に、俺はシャワーヘッドに良さそうな素材を探し、ジョーイ社長とジャックさんには、欲しい仕事道具を遠慮しないように言い聞かせて選んでもらった。
白くて軽い、シャワーヘッドに良さそうな素材があったので、ジョーイ社長に聞いてみると、魔物の骨を直方体に削り出した物で、魔骨(まこつ)という材料らしい。ジャックさんも知らなかったようで、ジョーイ社長の説明を真剣に聞いている。
「これって水やお湯に強いですか?」
ジョーイ「はい。魔骨は軽くて水に強いのに、加工しやすいのが特長です。しかしあまり大きな物はなかなか売ってなくて、タカシさんが今持ってるくらいの大きさが普通ですし、その大きさでも金貨2枚はします」
魔物の骨だから、収納魔法でもないと持って帰れない。だから小さい物しか売ってなくて、しかも高価なんだな。だが魔物の骨なら、俺の収納に魔物の死体ごとたくさんある。わざわざ買う必要もないが、試作にこれを1個だけ買おう。加工しやすいなら、シャワーヘッドの形に成形するくらい、ジョーイ社長達の腕なら大丈夫だろう。俺は収納から紙とペンを出して、シャワーヘッドの説明をする事にした。
「これを⋯⋯⋯こんな形に加工して欲しいんです。中を空洞にして⋯⋯この部分は外せて⋯⋯蓋みたいな作りで⋯⋯ここに小さな穴を無数に空けて⋯⋯⋯こんな感じです」
ジョーイ「ほうほう⋯⋯なるほどなるほど⋯⋯。魔骨なので中をくり貫いたり、穴を空けたりするのは簡単です」
ジャック「これ、何に使う物なんですか?」
「これはシャワーといって、お湯が出るように魔法を付与して、お風呂で使う物なんです。この小さな穴からお湯が出れば、身体を石鹸で洗った後、泡を流しやすいですし、これをお風呂の壁にセットすれば、上からお湯を浴びながら、両手で頭を洗ったりできます」
ジョーイ「なかなか便利な物ですねぇ」
ジャック「この穴からお湯が出る事に意味はあるんですか?」
2人ともシャワーの良さがあまり理解できないようだ。この世界にはシャワーが無いから、無数の小さい穴から水やお湯が出る感覚が想像つないんだろう。
「まあ1度この道具で頭からお湯浴びたら、良さがわかりますよ。髪が長い女性は特に喜んでくれるはずです」
とりあえず魔骨を1個だけ買った。2人は職人道具をプレゼントしたので、凄く喜んで感謝してくれた。ジャックさんはノミやカンナなどがセットになっている工具箱だったが、ジョーイ社長の選んだ物は、俺にはよくわからない、ハンドリフトみたいな道具だった。聞くと、魔道具になっていて、重い資材を簡単に運ぶ為の物らしい。
興味があるので「鑑定」してみようと思ったが、何でも俺が作ってしまうのも、ちょっと良くない気がしたので止めておいた。
外に出て、店の裏に山積みになっている資材を、周りに人が居ない事を確認してから「収納」した。
ジョーイ「タカシさん、ありがとうございました。建築会社をするなら、1台は欲しい物だったので助かります」
ジャック「私まで買って貰って、ありがとうございました。自分の道具が欲しかったんですよ」
「喜んで貰えて良かったです。実は王都の西区にある会社で、商品を作って販売する事になったので、売れたらお金が入ってくるんです。だから遠慮は要りませんよ。匿ってる獣人女性達にも、たくさん服を買ってあげましたから、獣人男性にも何か買ってあげたかったんです」
ジョーイ「そ、そうなんですね。タカシさんはSSランクの冒険者なのに、商売の知識まであって、本当に尊敬しますよ」
ジャック「あの、販売する商品って、どんな物なんですか?」
ジョーイさん達にはトランプを見せてなかったな。夜は暇だろうから、帰ったら教えて夜に遊んで貰ったら楽しんでくれそうだ。俺はトランプを「収納」から出して、2人に見せた。
「これはトランプと言って、遊びに使う物なんです。帰ったら遊び方を教えますから、夜にみんなで遊んでみてください」
ジャック「へぇ~、何か面白そうですね」
ジョーイ「なるほど⋯⋯。遊びに使う物ですか。娯楽はなかなか無いですから、絶対売れますよ」
2人とも興味津々だ。楽しんでくれたら嬉しいな。
他の社員さんにも、何か職人道具を買ってあげよう。
「ラルフさんとコリンさんとニールさんにも、何か仕事道具を買ってあげたいので、言っておいてもらえますか?」
ジョーイ「はい! 本当にありがとうございます」
魔薄膜を作る道具を買わなくていいのか聞くと、自分で作れるから大丈夫だと言われた。たぶん和紙を作る道具みたいなヤツだから、ジョーイ社長なら作れるんだな。
「ジャックさん。調味料や石鹸なんかが大量に買える店ってありますか?」
ジャック「業者向けの日用品の店が裏通りにあるので、案内しますよ」
詳しい人が居ると助かるな。調味料が売ってる店は知っているが、大量に買うと他の客が困ってしまう。業者向けの店なら大量に買っても大丈夫だろう。業務スーパーみたいな所かな?
ジャックさんに先導してもらい、資材屋の裏を抜けて裏通りに入っていく。小さいが見た事のない物が売ってる店が多い。
その中の1つに、スクール水着っぽい物が店頭に積まれている店があった。足ヒレや水中メガネみたいな物も売っている。
「あの店は何の店ですか?」
スクール水着っぽい物に興味があるので、ジャックさんに聞いてみた。エマちゃんに是非着てもらいたい。
ジャック「あれは海に潜って漁をする、浜さんの店ですね。王都の外に浜さん達の漁場があるんですよ」
浜さん? 一瞬誰の事かと思ったが、「海女さん」の事だな。海女さんが居るなら、ウニとかホタテとかも手に入るって事だ。海が近くに無いから、コレットの街では見かけなかったが、王都なら売っているんだろう。魚も手に入りそうだが、海があるなら自分で捕まえた方が早い。
いや、それより今はエマちゃんのスクール水着だ!
「ちょっと寄ってもいいですか?」
ジョーイ「はい、もちろん」
ジャック「魚を捕るんですか?」
いえ、スク水プレイをしたいんです!、とは答えられない。何て言い訳しようかな。
「し、知り合いに、川に潜って魚を捕りたがってる猫族の獣人女性が居まして、その人に買ってあげようかと⋯⋯」
どうだ! この苦しい言い訳は!
ジョーイ「そうでしたか。猫族の獣人は、魚が大好物ですからね」
よしよし、上手く言い訳できたようだ。
ジャック「珍しいですね。猫族の獣人は、冷たい水に入るのを嫌う人が多いんですが⋯⋯」
そうなのか!? 確かに猫は水に入るのを嫌う。あまり知らないのに、下手な言い訳をするもんじゃないな。
何とか誤魔化しながら、店頭のスクール水着を見てみる。手に取って広げると、完全にスクール水着だった。水抜き用の穴まである。絶対買わなければならないという使命感が湧いている。いや、もはや運命だな。
しかしサイズがわからない。SS、S、M、L、LLと表記があるが、横にA~Fまでのアルファベットが見える。実際はこの世界の文字だから、アルファベットではないが、俺にはそう見えている。やはり女性の服のサイズはよくわからないな。でも絶対買わなければ! 俺は迷わずユナに「念話」した。
『ユナ。タカシだけど、今ちょっといいかな?』
『あ、おはようございますタカシさん。もちろん大丈夫ですよ。どうしたんですか?』
『ああ、おはよう。ちょっと教えて欲しいんだけど、エマちゃんの水着のサイズってわかる?』
『エマに水着を買ってくださるんですか?』
『う、うん。どうしてもエマちゃんに着て欲しい水着があって⋯⋯』
『ふふっ。エマ、きっと喜びますよ。サイズはSのEと書いてあるので大丈夫だと思います』
『ありがとう。Eってどういう意味なの?』
『それは胸のサイズです。私ならSのFになります』
胸のサイズだったのか! ならユーリは何になるんだろう。このスクール水着はFまでしかない。海に潜るから、あまり胸の大きな女性は、海女さんになれないのかも知れないな。ユーリの爆乳は、温泉で浮いていたから、潜れないような気がするしな。
ユナにお礼を言って「念話」を切り、SのEのスクール水着を選んだ。ユナ用にSのFも買っておくか。会計してもらう為、スクール水着を2つ持って店に入ると、凄く綺麗な水色の髪をした女性が居た。
紺色の短パンに、お腹の見える短い白のタンクトップを着ている。胸はアイリスと同じくらいだが、かなりスタイルがいい。しかしよく見ると、手首と足首に虹色の綺麗な鱗のような物が着いていて、人間の耳と同じ場所から、魚のヒレを広げたような物が生えている。虹色で綺麗だが、耳なのかな?
「いらっしゃいませ。あら⋯⋯凄く素敵な人間男性♡」
はあ? いきなり何だ? あれが耳だとしたら、獣人なのかな? 頬が赤くなっているから、俺を見て欲情していたりして⋯。
「鑑定」してみると、『ルーシェ 海洋人 ♀ 28歳 魔法種水魔法 』と出た。海洋人? 初めて聞く種族だな。手首の鱗とかヒレのような耳? たぶん耳だろう。その感じからして、魚人みたいな種族かな? でもエラがある訳じゃなく、鱗とヒレ以外は人間と同じだし、何より美人だ。
「あ、あの、これをお願いします」
スクール水着を2着差し出して言うと、ルーシェさんは訝しげな顔をした。
「人間男性が、海洋人の女性用潜水着なんて買って、どうするんだい? 男性用なら、まだわからなくもないけど⋯⋯」
男性用? 海女さんって女性だけじゃなかったっけ? いや、世界が違うし、「浜さん」だから男性が居てもおかしくないな。
ルーシェさんが見ている方を見ると、スクール水着と同じ色、同じ素材の短パンみたいな水着があった。気になったので、手に取って見てみると、これは⋯⋯⋯! ブルマだった。俺は我を忘れて、1番小さいサイズを探した。SS⋯⋯あったー!
タカシは意図せずして、スクール水着とブルマを手に入れた! 体操着みたいなTシャツはあるから、これを組み合わせたら絶対たまらない。俺はユナの分も含めて2枚手に取った。
しかしタカシは忘れている。ルーシェさんに突っ込まれる事を⋯⋯。
「こ、これも一緒にお願いします!」
興奮しながら言ってしまった。
「これ⋯⋯お客さんのサイズに合ってないと思うけど、いいのかい?」
え? あっ⋯⋯しまったー!! また暴走していた。え、えーっと⋯⋯。
「ちょっと頼まれている物でして⋯⋯」
「浜さんの漁場で漁をするのは禁止だよ?」
「い、いえ。俺は王都の住人じゃないですし、川で魚を捕りたい知り合いが居るもんで⋯⋯」
苦しい言い訳をしたが⋯⋯大丈夫か? このスク水とブルマは、絶対購入しなければ!
「ああ、そういう事ね。えーっと⋯⋯全部で金貨1枚でいいわ。お兄さん素敵だから、ちょっとオマケしとく♪」
何かわからんが、まけて貰った。俺が金貨1枚を渡すと、俺の手を握りながら金貨を受け取られた。海洋人の女性も、人間の男性に欲情するのかな? 美人だから1度お相手していただきたい。
いや、何を考えているんだ俺は。ユナ達が許してくれたのは、辛い目に遭ってきた獣人女性とエッチする事だけだ。それに俺にはセックスする予定の、美人で巨乳な獣人女性がたくさんいる。あまり調子に乗らないでおこう。
店を出て、購入したスクール水着とブルマを収納する。海洋人という種族が気になったので、ジョーイ社長に聞いてみた。
「俺、初めて見たんですが、海洋人ってどんな種族なんですか?」
ジョーイ「ああ、タカシさんの住んでる街の近くには、海が無いんですね。海洋人は海辺に住む種族で、女性も男性も漁をして暮らしている種族です」
ジャック「海洋人はみんな海に潜るのが得意で、10分くらい潜ってられる人もいるとか。獣人と少し似てて、祖先は人間と魚の子供だと云われています」
魚と人間の子供!? 本当なら、どうやってセックスしたんだろう。いや、伝承みたいな話だから、深く考えるのは止めておこう。
ジョーイ「タカシさん。ここから南区には、歩いて行きませんか?」
「いいですよ。そうしましょうか」
そんなに距離がある訳じゃないし、歩いて行くか。ちょっと「転移」を使って楽し過ぎだしな。
ジョーイ「ジャックは南区の店に詳しいんですよ」
「そうなんですか?」
ジャック「はい。消耗品の買い出しを頼まれているんですよね? なら僕に任せてください!」
南区は裏通りとかがよくわからないし、消耗品を大量に購入できる店とかあれば助かる。俺が行ったのは酒場と飯屋、服屋、ラルロンドの骨董品屋、あとは娼館街くらいだ。
コレットの街の裏通りもあまり知らないんだよな。今度誰かに案内してもらおう。裏通りにはアダルトグッズの店まであるみたいだし、他にも俺の知らないこの世界の便利な道具が売っている店があるかも知れない。
「まずは資材を先に見に行きましょう。他にも建築に必要な物があれば、遠慮なく言ってください」
ジョーイ「ええ! いや、流石に仕事道具は自分で買いますよ。給料も頂きましたし⋯」
「セドム村の復興が終われば、ジョーイ社長は本格的に独立するんですから、俺からのプレゼントだと思って。でも困った事があったら、いつでも言ってください。俺もジョーイ社長に、これからも頼る事がたくさんあると思いますから、お互い遠慮は無しにしましょう?」
ジョーイ「タカシさん⋯⋯。私に出来る事なら、いつでも頼ってください!」
独立と言っても獣人差別がある王都では、なかなか仕事を受けるのが難しいだろうし、独立を薦めた俺にも責任がある。
仕事が無いなら、俺がお湯の出る魔道具を作ってあげて、「お風呂を格安で作ります!」と宣伝すれば、いくらでも注文が入るだろう。ユーリの家にもお風呂を作ってあげたいし。前に聞いたら、ユーリの家は借家だが、金貨150枚で買い取る事もできるらしい。ユーリは遠慮するだろうが、家賃を毎月払うのは勿体ないから、上手く説得して買い取って、お風呂を作ってあげよう。
あっ! シャワーの魔道具も作ろうかな。小さな穴がたくさん空いたシャワーヘッドさえ作れば、あとは魔法を付与するだけだ。ホースも要らない。うんうん、これはいいな。きっとユナ達も喜ぶ。
ジャック「何か嬉しそうですね、タカシさん。どうしたんですか?」
シャワーを作ってあげたら、ユナ達が凄く喜びそうだと思って、顔がニコニコしてしまっていた。
「お風呂で使う便利な魔道具を思い付いたんですよ。資材屋で説明するので、それも作って欲しいです。気に入ったら、みんなのお風呂にも付けましょう」
ジョーイ「また何か思い付いたんですね! タカシさんの発想には毎回驚かされますから、凄く楽しみですよ!」
シャワー付きの快適なお風呂を作れば、注文が殺到すると思う。とりあえずお風呂建築でしばらく食って行けそうだな。お風呂の出来が良ければ、家の建築や修繕の仕事も少しずつ入ってくるだろう。
「ちょっと気になったんですが、ジョーイ社長の事を『親方』と呼ぶ人と、『社長』と呼ぶ人が居ますが、何か理由があるんですか?」
ジョーイ「ああ、私の事を『社長』と呼ぶのは、社員じゃなくて手伝いの従業員なんです。『親方』と呼んでいるのが社員になります。社員はジャック、ベン、ラルフ、コリン、ニールの5人だけで、後はどうしてもセドム村の復興を手伝いたいと言ってきた、割りと手先が器用な東区の獣人男性です」
「そ、そうだったんですね!」
全員社員だと思っていた。社員が5人なら、会社として何とかやっていけそうだな。ニールさんというのは、例の石像を作った職人で、確か猿族っぽい獣人男性だ。
「手伝いの獣人男性達は、セドム村の復興が終わったら、何の仕事をするんですか?」
ジョーイ「いろいろですが、セドム村で農業をやりたい人や、家畜を育てて酪農をしたいと言ってる人も居ます。あとは工場勤めをしたい人とか⋯。しかし仕事には困ってますねぇ。うちで全員雇うのは流石に無理ですし」
酪農や工場か⋯。セドム村で酪農もやればいいんじゃないか? ホロリ鳥を育てれば、肉は美味しいし卵も採れる。それに工場なら、ポップコーンやポテトチップを製造する工場を建てればいい。ちょっと考えておこう。
ジョーイ「それよりタカシさん、娘の事なんですが⋯⋯」
ええぇぇ! な、なんだ? 俺、怒られる、いや殴られるんじゃないか? ミリアちゃんの話があるから、南区まで歩いて行きましょうと言ったのかも知れないな。
「は、はい! な、なんでしょうか? ミリアちゃんが⋯⋯何か?」
ジョーイ「どうしたんですか? そんなに慌てて⋯⋯」
「い、いえいえ! それで⋯⋯ミリアちゃんがどうかしましたか?」
焦り過ぎだ!俺。まだバレたと決まった訳じゃない。落ち着け!
ジョーイ「妻に聞いたんですが、ミリアに初めての発情期が来たら、タカシさんが終わらせてくれるって約束してくださったそうで⋯」
マイアさんが言ったのか! まあいつかはバレる事だから仕方ないが、この前おっぱいを触った事がバレたんじゃなくて良かった。いや、発情期に娘とセックス⋯⋯ヤバいな。
「あの⋯ジョーイ社長。か、勝手にそんな約束をして、申し訳ありません! 遠慮なく殴ってください!」
覚悟してそう言うと、2人は口を開けたまま固まっていた。
ジョーイ「ちょっと! 止めてください! 何でタカシさんが私に謝るんですか? それに殴ってくれなんて⋯⋯」
あれ? 何か反応がおかしいな? ⋯⋯⋯いや、忘れていたが、娘の初めての発情期を、人間の男性にセックスして終わらせてもらえるなら、親も感謝するとユーリ達が言っていた。人間の俺としては未だに半信半疑だが、ジョーイ社長の反応からして本当みたいだ。
「ああ、いや、俺は人間なので、獣人の文化とか感覚が未だによくわからなくて⋯⋯。大事な娘さんにそんなを事したら、親のジョーイさんに怒られるのかと⋯」
ジョーイ「そ、そういう事でしたか。ビックリしましたよ。タカシさんのような素晴らしい人間の男性に、娘の初めての発情期を終わらせてもらえるなら、親が怒るはず無いですよ。でも本当にいいんですか? ミリアが我儘を言っただけで、タカシさん凄く優しいから、無理をなさってるのでは⋯⋯」
凄い感覚だな。娘とセックスすると感謝される文化。知れば知るほど驚いてしまうが、とりあえず怒られなくて良かった。
「いえいえ、ジョーイ社長やマイアさんが良ければ大丈夫ですよ。この間知り合いの獣人女性の妹が、急に発情期になってしまった時にも、俺が終わらせましたから、別に無理をしている訳じゃないです」
ジョーイ「そ、そうなんですか!? タカシさんって獣人の私達にとって、もう⋯神様みたいな人ですね!」
また神様にされてしまった。エッチな事をすると、そこまで感謝されるなんて、ケモ耳好きのスケベな人間男性にとっては最高の世界だな。
獣人の文化や感覚を詳しく教えてもらいながら、歩いて南区の資材屋に着いた。ジョーイ社長とジャックさんの話では、妻のマイアさんとセックスしたとしても、妻の欲情を叶えてくれたと感謝するが、流石にそれは俺が相手だからと言う事らしい。理解に苦しむな。
とりあえず店の中に入って資材をいろいろ見ていく。
ジョーイ「タカシさん。この辺にあるのが錆びにくい金属で、ミルアとステンレスです」
ミルア? ああ、アルミか。このパターンはもう慣れたな。ビニールハウスってアルミ製だったかな? 軽くて風に飛ばされそうだから、ステンレスの方がいい気がする。
「ステンレスにしましょう。このパイプになっている物で作って欲しいです」
ジョーイ「テントの凄く大きな建物みたいな感じですね」
「そうです、そうです」
テントはあるみたいだな。ユナ達と今度山か森で泊まる約束をしているから、テントがあるなら買っておこう。みんなで一緒に寝るし、エッチもするだろうから、大きめの物を買った方がいいな。
ジョーイ社長が測量してくれた計算を元に、2メートルのステンレスパイプを100本ほど、パイプとパイプを繋ぐ金具を50個ほど買った。ステンレスパイプは1本金貨1枚、金具は2個で金貨1枚だった。
次に木材コーナーに行って、ビニールハウスの中に組む、ファプールのツルが絡まって伸びていく為の櫓(やぐら)の木材を買った。木はいくらでも生えているからなのか、50本で金貨12枚と銀貨50枚だった。まあまあ太い木材を選んだのに安いな。いや、1本5000円くらいだからそんな物か。金銭感覚が狂ってるな、俺。
資材を店員が外へ運び出している間に、俺はシャワーヘッドに良さそうな素材を探し、ジョーイ社長とジャックさんには、欲しい仕事道具を遠慮しないように言い聞かせて選んでもらった。
白くて軽い、シャワーヘッドに良さそうな素材があったので、ジョーイ社長に聞いてみると、魔物の骨を直方体に削り出した物で、魔骨(まこつ)という材料らしい。ジャックさんも知らなかったようで、ジョーイ社長の説明を真剣に聞いている。
「これって水やお湯に強いですか?」
ジョーイ「はい。魔骨は軽くて水に強いのに、加工しやすいのが特長です。しかしあまり大きな物はなかなか売ってなくて、タカシさんが今持ってるくらいの大きさが普通ですし、その大きさでも金貨2枚はします」
魔物の骨だから、収納魔法でもないと持って帰れない。だから小さい物しか売ってなくて、しかも高価なんだな。だが魔物の骨なら、俺の収納に魔物の死体ごとたくさんある。わざわざ買う必要もないが、試作にこれを1個だけ買おう。加工しやすいなら、シャワーヘッドの形に成形するくらい、ジョーイ社長達の腕なら大丈夫だろう。俺は収納から紙とペンを出して、シャワーヘッドの説明をする事にした。
「これを⋯⋯⋯こんな形に加工して欲しいんです。中を空洞にして⋯⋯この部分は外せて⋯⋯蓋みたいな作りで⋯⋯ここに小さな穴を無数に空けて⋯⋯⋯こんな感じです」
ジョーイ「ほうほう⋯⋯なるほどなるほど⋯⋯。魔骨なので中をくり貫いたり、穴を空けたりするのは簡単です」
ジャック「これ、何に使う物なんですか?」
「これはシャワーといって、お湯が出るように魔法を付与して、お風呂で使う物なんです。この小さな穴からお湯が出れば、身体を石鹸で洗った後、泡を流しやすいですし、これをお風呂の壁にセットすれば、上からお湯を浴びながら、両手で頭を洗ったりできます」
ジョーイ「なかなか便利な物ですねぇ」
ジャック「この穴からお湯が出る事に意味はあるんですか?」
2人ともシャワーの良さがあまり理解できないようだ。この世界にはシャワーが無いから、無数の小さい穴から水やお湯が出る感覚が想像つないんだろう。
「まあ1度この道具で頭からお湯浴びたら、良さがわかりますよ。髪が長い女性は特に喜んでくれるはずです」
とりあえず魔骨を1個だけ買った。2人は職人道具をプレゼントしたので、凄く喜んで感謝してくれた。ジャックさんはノミやカンナなどがセットになっている工具箱だったが、ジョーイ社長の選んだ物は、俺にはよくわからない、ハンドリフトみたいな道具だった。聞くと、魔道具になっていて、重い資材を簡単に運ぶ為の物らしい。
興味があるので「鑑定」してみようと思ったが、何でも俺が作ってしまうのも、ちょっと良くない気がしたので止めておいた。
外に出て、店の裏に山積みになっている資材を、周りに人が居ない事を確認してから「収納」した。
ジョーイ「タカシさん、ありがとうございました。建築会社をするなら、1台は欲しい物だったので助かります」
ジャック「私まで買って貰って、ありがとうございました。自分の道具が欲しかったんですよ」
「喜んで貰えて良かったです。実は王都の西区にある会社で、商品を作って販売する事になったので、売れたらお金が入ってくるんです。だから遠慮は要りませんよ。匿ってる獣人女性達にも、たくさん服を買ってあげましたから、獣人男性にも何か買ってあげたかったんです」
ジョーイ「そ、そうなんですね。タカシさんはSSランクの冒険者なのに、商売の知識まであって、本当に尊敬しますよ」
ジャック「あの、販売する商品って、どんな物なんですか?」
ジョーイさん達にはトランプを見せてなかったな。夜は暇だろうから、帰ったら教えて夜に遊んで貰ったら楽しんでくれそうだ。俺はトランプを「収納」から出して、2人に見せた。
「これはトランプと言って、遊びに使う物なんです。帰ったら遊び方を教えますから、夜にみんなで遊んでみてください」
ジャック「へぇ~、何か面白そうですね」
ジョーイ「なるほど⋯⋯。遊びに使う物ですか。娯楽はなかなか無いですから、絶対売れますよ」
2人とも興味津々だ。楽しんでくれたら嬉しいな。
他の社員さんにも、何か職人道具を買ってあげよう。
「ラルフさんとコリンさんとニールさんにも、何か仕事道具を買ってあげたいので、言っておいてもらえますか?」
ジョーイ「はい! 本当にありがとうございます」
魔薄膜を作る道具を買わなくていいのか聞くと、自分で作れるから大丈夫だと言われた。たぶん和紙を作る道具みたいなヤツだから、ジョーイ社長なら作れるんだな。
「ジャックさん。調味料や石鹸なんかが大量に買える店ってありますか?」
ジャック「業者向けの日用品の店が裏通りにあるので、案内しますよ」
詳しい人が居ると助かるな。調味料が売ってる店は知っているが、大量に買うと他の客が困ってしまう。業者向けの店なら大量に買っても大丈夫だろう。業務スーパーみたいな所かな?
ジャックさんに先導してもらい、資材屋の裏を抜けて裏通りに入っていく。小さいが見た事のない物が売ってる店が多い。
その中の1つに、スクール水着っぽい物が店頭に積まれている店があった。足ヒレや水中メガネみたいな物も売っている。
「あの店は何の店ですか?」
スクール水着っぽい物に興味があるので、ジャックさんに聞いてみた。エマちゃんに是非着てもらいたい。
ジャック「あれは海に潜って漁をする、浜さんの店ですね。王都の外に浜さん達の漁場があるんですよ」
浜さん? 一瞬誰の事かと思ったが、「海女さん」の事だな。海女さんが居るなら、ウニとかホタテとかも手に入るって事だ。海が近くに無いから、コレットの街では見かけなかったが、王都なら売っているんだろう。魚も手に入りそうだが、海があるなら自分で捕まえた方が早い。
いや、それより今はエマちゃんのスクール水着だ!
「ちょっと寄ってもいいですか?」
ジョーイ「はい、もちろん」
ジャック「魚を捕るんですか?」
いえ、スク水プレイをしたいんです!、とは答えられない。何て言い訳しようかな。
「し、知り合いに、川に潜って魚を捕りたがってる猫族の獣人女性が居まして、その人に買ってあげようかと⋯⋯」
どうだ! この苦しい言い訳は!
ジョーイ「そうでしたか。猫族の獣人は、魚が大好物ですからね」
よしよし、上手く言い訳できたようだ。
ジャック「珍しいですね。猫族の獣人は、冷たい水に入るのを嫌う人が多いんですが⋯⋯」
そうなのか!? 確かに猫は水に入るのを嫌う。あまり知らないのに、下手な言い訳をするもんじゃないな。
何とか誤魔化しながら、店頭のスクール水着を見てみる。手に取って広げると、完全にスクール水着だった。水抜き用の穴まである。絶対買わなければならないという使命感が湧いている。いや、もはや運命だな。
しかしサイズがわからない。SS、S、M、L、LLと表記があるが、横にA~Fまでのアルファベットが見える。実際はこの世界の文字だから、アルファベットではないが、俺にはそう見えている。やはり女性の服のサイズはよくわからないな。でも絶対買わなければ! 俺は迷わずユナに「念話」した。
『ユナ。タカシだけど、今ちょっといいかな?』
『あ、おはようございますタカシさん。もちろん大丈夫ですよ。どうしたんですか?』
『ああ、おはよう。ちょっと教えて欲しいんだけど、エマちゃんの水着のサイズってわかる?』
『エマに水着を買ってくださるんですか?』
『う、うん。どうしてもエマちゃんに着て欲しい水着があって⋯⋯』
『ふふっ。エマ、きっと喜びますよ。サイズはSのEと書いてあるので大丈夫だと思います』
『ありがとう。Eってどういう意味なの?』
『それは胸のサイズです。私ならSのFになります』
胸のサイズだったのか! ならユーリは何になるんだろう。このスクール水着はFまでしかない。海に潜るから、あまり胸の大きな女性は、海女さんになれないのかも知れないな。ユーリの爆乳は、温泉で浮いていたから、潜れないような気がするしな。
ユナにお礼を言って「念話」を切り、SのEのスクール水着を選んだ。ユナ用にSのFも買っておくか。会計してもらう為、スクール水着を2つ持って店に入ると、凄く綺麗な水色の髪をした女性が居た。
紺色の短パンに、お腹の見える短い白のタンクトップを着ている。胸はアイリスと同じくらいだが、かなりスタイルがいい。しかしよく見ると、手首と足首に虹色の綺麗な鱗のような物が着いていて、人間の耳と同じ場所から、魚のヒレを広げたような物が生えている。虹色で綺麗だが、耳なのかな?
「いらっしゃいませ。あら⋯⋯凄く素敵な人間男性♡」
はあ? いきなり何だ? あれが耳だとしたら、獣人なのかな? 頬が赤くなっているから、俺を見て欲情していたりして⋯。
「鑑定」してみると、『ルーシェ 海洋人 ♀ 28歳 魔法種水魔法 』と出た。海洋人? 初めて聞く種族だな。手首の鱗とかヒレのような耳? たぶん耳だろう。その感じからして、魚人みたいな種族かな? でもエラがある訳じゃなく、鱗とヒレ以外は人間と同じだし、何より美人だ。
「あ、あの、これをお願いします」
スクール水着を2着差し出して言うと、ルーシェさんは訝しげな顔をした。
「人間男性が、海洋人の女性用潜水着なんて買って、どうするんだい? 男性用なら、まだわからなくもないけど⋯⋯」
男性用? 海女さんって女性だけじゃなかったっけ? いや、世界が違うし、「浜さん」だから男性が居てもおかしくないな。
ルーシェさんが見ている方を見ると、スクール水着と同じ色、同じ素材の短パンみたいな水着があった。気になったので、手に取って見てみると、これは⋯⋯⋯! ブルマだった。俺は我を忘れて、1番小さいサイズを探した。SS⋯⋯あったー!
タカシは意図せずして、スクール水着とブルマを手に入れた! 体操着みたいなTシャツはあるから、これを組み合わせたら絶対たまらない。俺はユナの分も含めて2枚手に取った。
しかしタカシは忘れている。ルーシェさんに突っ込まれる事を⋯⋯。
「こ、これも一緒にお願いします!」
興奮しながら言ってしまった。
「これ⋯⋯お客さんのサイズに合ってないと思うけど、いいのかい?」
え? あっ⋯⋯しまったー!! また暴走していた。え、えーっと⋯⋯。
「ちょっと頼まれている物でして⋯⋯」
「浜さんの漁場で漁をするのは禁止だよ?」
「い、いえ。俺は王都の住人じゃないですし、川で魚を捕りたい知り合いが居るもんで⋯⋯」
苦しい言い訳をしたが⋯⋯大丈夫か? このスク水とブルマは、絶対購入しなければ!
「ああ、そういう事ね。えーっと⋯⋯全部で金貨1枚でいいわ。お兄さん素敵だから、ちょっとオマケしとく♪」
何かわからんが、まけて貰った。俺が金貨1枚を渡すと、俺の手を握りながら金貨を受け取られた。海洋人の女性も、人間の男性に欲情するのかな? 美人だから1度お相手していただきたい。
いや、何を考えているんだ俺は。ユナ達が許してくれたのは、辛い目に遭ってきた獣人女性とエッチする事だけだ。それに俺にはセックスする予定の、美人で巨乳な獣人女性がたくさんいる。あまり調子に乗らないでおこう。
店を出て、購入したスクール水着とブルマを収納する。海洋人という種族が気になったので、ジョーイ社長に聞いてみた。
「俺、初めて見たんですが、海洋人ってどんな種族なんですか?」
ジョーイ「ああ、タカシさんの住んでる街の近くには、海が無いんですね。海洋人は海辺に住む種族で、女性も男性も漁をして暮らしている種族です」
ジャック「海洋人はみんな海に潜るのが得意で、10分くらい潜ってられる人もいるとか。獣人と少し似てて、祖先は人間と魚の子供だと云われています」
魚と人間の子供!? 本当なら、どうやってセックスしたんだろう。いや、伝承みたいな話だから、深く考えるのは止めておこう。
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