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第一章 異世界の獣人女性

ギブ&テイク

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「ではこれが素材報酬の金貨150枚になります。ご確認ください」

 職員が金貨と布の巾着をトレーに乗せて差し出してきた。貨幣価値がよくわからないが、金だしそこそこの金額なんだろう。
 金貨を巾着に入れ、逃げるようにカウンターを離れる。査定してくれたハーフエルフのギルド職員が、終始獲物を狙うような目で俺を見ていたからだ。対応は丁寧だったのだが、目付きだけが気になった。

 足早にギルドの外へ出ると、待っていたユナが俺をチラリと見てから、森の方へ歩いていく。一定の距離を保ったまま付いて行くと、ユナが森の獣道にガサガサと分け入っていった。
 ユナ以外、人が周りに居ない事を確認して、収納魔法を使って仕込み刀を取り出した。そのまま獣道を進むと、キラキラとした水晶のような実がなった白い木が、一本だけ生えている開けた場所に出た。
 突然、背を向けていたユナが、振り向いて俺の胸に飛び込んできた。

「おっと⋯」

「す、すみません。あの⋯」

「どうした?」

「事前にもっと詳しく話しておくべきでした。先ほどギルドに行ってハーフエルフの職員を見た時に、やはりと思ったのであんな態度をとってしまいました。すみません」

 ユナが申し訳なさそうに落ち込みながら言ってきた。かわいい狐耳もペタンと倒れてしまっている。
 これもこれで可愛いのだが⋯。

「いや、事前にある程度聞いていたから問題ないよ。まあ、あそこまで避けなければいけないのは予想外だったけど、ユナに嫌われた訳じゃないなら良かったよ。もうエッチできないのかと思った」

「あっ⋯♡♡ そんな嫌うだなんて♡ それにエッチは⋯いつでも⋯♡ しかしギルド近くでの接触は避けた方がお互いの為のようです。ある程度、ギルドから離れてしまえば大丈夫ですから、街の中や森の方なら大丈夫だと思います」

 そうなのか? あの獲物を狙うような目付きが関係しているのか? しかし⋯⋯

「他の冒険者にも見られたら不味くないか?」

 ハーフエルフの耳に入るんじゃないのか?

「それは大丈夫です。他の冒険者がギルド職員に言ったりする事はないでしょう。他の種族もギルドのハーフエルフに対しては、良い印象は持ってないので」

「ハーフエルフは嫌われてるのか?」

「ハーフエルフがというより、ギルド職員のハーフエルフに警戒しているのです。あの職員たちは⋯王都のスパイ的な役割を持っていたりするので。ハーフエルフではない職員は大丈夫なのですが」

 いまいち理解できないな。ギルドに来る冒険者をスパイして何の得があるのか。この世界、いやこの国だけかも知れないが、常識をもっと知るべきだな。

「昨日の熊⋯ガイズベアーか。査定額が金貨150枚になったんだが、こんなもんなのか? この国の貨幣価値がよくわからないから、多いのか少ないのか⋯」

「えぇっ! そんなに? 私も詳しくないのですが、かなり多いと思います。金貨1枚でだいたい⋯お風呂の付いた中級の宿に5泊はできます」

「そ、そんなにか? あんな熊1匹持っていっただけで⋯」

 中級の宿に2年くらい泊まれるのか! いいのか?それで。あまり持ち込むと不味い気がする。

「スパイがいるようなギルドに、魔物を狩りまくって持っていかない方が良さそうだな。あんな簡単に狩れるなら、荒稼ぎしてやろうと思ったのだが」

「そうです。あまり目立つのはよくないでしょう。まあ普通は簡単に狩れないのですが、タカシさんが強すぎるのです。タカシさんの倒したガイズベアーは、亜種と呼ばれる群れのボスみたいな存在で、普通のガイズベアーより獰猛で、魔法使いのいるBランクの冒険者10人以上のパーティーに依頼される魔物です」

 えっ? そうなの? 刀一振りだったが⋯。

「私は魔物と戦ったりしないので詳しくは知らないのですが、冒険者の獣人の友達に聞いた話では、ガイズベアーは皮が厚く剣が通らないらしいのです。魔法を何発も打って弱ったところを、アックスなどの武器で叩くらしいです」

 そうなのか? 仕込み刀どれだけ切れるねん!

「俺ちょっと考えてたんだが、ユナは薬草採取や回復薬作成が得意なんだろ? なら俺とコンビで仕事しないか?」

「えっ? いやでも⋯」

「いや、わかってる。俺は素材買い取りだけで生活できそうだし、今は冒険者登録する気はない」

「はい」

「貴重な薬草とかって魔物がいる場所にあったりするんじゃないのか? 俺が魔物を倒すから、ユナは貴重な薬草を採取したらいい」

「でも⋯でも、それではタカシさんに悪いですよ。正直タカシさんに何の旨味もないですよ?」

「俺は魔物を倒して収納魔法でギルドに持ち込むにしても、魔物をまるごと持っていったら目をつけられるし、あまり持ち込むとインフレ、あぁ⋯と物の貴重さがなくなりそうだ。倒した魔物の薬になりそうな内臓はユナにあげるから、薬を作って売ればいい。俺は魔物の稀少部位だけ剥ぎ取ってギルドに持ち込む。まぁたまには魔物ごと持ち込むが⋯。ユナはギルドで依頼を受けてから、外で俺と合流すればいい。それにユナと一緒にいれば旨味もある」

「それは⋯?」

「ユナとエッチできる」

 ニヤリとスケベな顔で宣言する。

「いや、エッチは私の方がして欲しいのですが⋯♡」

「まあそういう事でよろしくな!」

「はい♡ 魔物の内臓から作る薬は、内臓が新鮮な内に処理しなければいけないので、ちょっと効率が難しいかもしれませんが」

「ああ、まだ確認してないけど、今日魔物の死体をギルドの剥ぎ取り場で出した感じだとたぶん大丈夫だ」

「それはどういう⋯?」

「俺の収納魔法は、収納した物の時間が止まるみたいなんだ。つまり出来立てのスープを収納したら、10日後に出してもスープは熱々出来立て」

「す、凄いです。だからガイズベアーの査定額が高かったのですね」

「まぁそういう事だ」

 それからはユナが、とりあえず依頼の薬草採取をして、他にも貴重な薬草がありそうだが、今まで魔物がいるので行けなかった場所へ行って、次々出てくる魔物を俺が倒しユナが薬草を採取するという事を夕方まで繰り返していった。

 3時間ほどで100匹近くの魔物を狩り、ユナに教えてもらいながら、貴重な素材と内臓を収納していく。
 魔物を狩りながら斬れ過ぎる仕込み刀の加減の仕方を練習したので、夕方には扱えるようになった。
 ユナは戦闘はできないが薬学の知識が凄く、魔物の倒し方とかは知らなくても、魔物の稀少部位やどの魔物のどの内臓が薬になるか的確に教えてくれる。
 適材適所。できる事をできるヤツがやればいいんだ。
 いい時間になったので今日は切り上げて帰る。
 ユナだけがギルドに入り依頼完了の報告と、貴重な薬草の買い取りをしてもらう。俺の素材買い取りは、量が多すぎるので小出しに持っていく予定だ。

 ユナがホクホク顔でギルドから出てくる。よほど金になったのだろう。しかし目をつけられるかもしれないな。まあその内、俺が解決策をみつけてやろう。
 根拠はないが、チート能力のある俺なら何とかなるような気がする。

 俺のおかげでかなり稼げたお礼に、今日はご馳走を作ってくれるというので、街で買い物をしてユナの家に帰る。ギルドの近くでなければ一緒に歩くくらいは大丈夫らしい。基準がわからんが、なにせギルドの近くがダメらしい。
 もちろん、お礼はご馳走だけじゃないらしいが⋯。ユナが言うには、獣人の女性が人間の男とエッチするのは、ご褒美ではあってもお礼にはならないらしい。

 ユナの家が近づくにつれ、俺の股間に血が集まっていく。昨日実感したが、やはり精力が強化されてるな。動く度に胸がプルプル揺れる半裸のユナと一日いたせいで、待てをされた犬のような気分だ。家に入ったら、とりあえずおっぱいを触らせてもらおう。
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