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第六十四闘:決別
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翌朝、陽菜は自宅にやってきた極闘一家5名に連れられて一家のアジトへ向かう。
どうにも巽さんが私を呼んでいる・・・ということらしい。
「近々あなたの極闘一家四代目としての正式な継承式が行われるとのことです。
今日はその日をお伝えすることと、話したいことがあるそうで・・・。」
そんな説明だけを受け、ひたすらに歩くこと20分・・・
陽菜は極闘一家のアジトへと辿り着いた。
外ではすでに大勢の一家のメンバーがずらっと二列に
並んで人で道を作るように待ち構えていた。
一人ずつがしっかりと陽菜に頭を下げる。
「お待ちしておりました四代目・・・。」
「我らが新しいボス・・・どうぞ中へ・・・。」
陽菜はそんな状況を少し窮屈に考えながらもゆっくりと進んでいく。
しかし伝統ある極闘一家というだけのことはある。
これだけの大勢のメンバーを収容するアジト・・・
見た目はまるで和風の旅館かと思うほどに美しく大きい・・・。
こればかりは紫炎とは比べものにならなかった。
中に入ると、陽菜はそのままゆっくりと二階へ進む・・・。
廊下の壁には一家の創設時のメンバーの写真などが飾られていた。
「こちらです、どうぞ・・・。」
そんな言葉と共に足を止めた四人。
「三代目、四代目をお連れしました。」
「ああ・・・入れてくれ。」
ガラララ・・・と両サイドから引き戸を開く男達。
中には椅子に座る巽の姿が。
「ここから先は私達は進めませんので、どうぞ・・・。」
陽菜はそっと中に入り、巽に案内されるまま巽の正面の椅子に座った。
「ようこそ、極闘一家へ・・・まぁじきにここも君の部屋になる訳だが・・・。
まず、昨日は大変だったな・・・お疲れ様。」
どことなく疲れ切った様子の巽。目の下にはクマができている。
「えっと・・・それで私はどうしてここに・・・?」
「ああ・・・極闘一家四代目継承式の話だ・・・。
一週間後、それをここで正式に執り行う、準備しておくように。」
準備?そんなことは聞いていない・・・何を準備すればよいのだろうか。
「えっと・・・準備って何を・・・?」
「継承式とはいってもそんな堅苦しいものではない、案ずるな。
とりあえずメンバー全員に伝えるコメントを用意しておいてくれ。
なに、難しく考えなくていい・・・一家の四代目として何がしたいか、
どうしていきたいか・・・そんなことでいい・・・。」
「わ、分かりました・・・。」
用意してきたメモ帳に言われた内容を書き記していく陽菜。
「それと、この一週間のうちに紫炎ともしっかり決別をしておくことだ・・・。
継承式を終えれば正式に一家のボスになる、自由は利かなくなる。」
その時だった。
『失礼してもよろしいでしょうか!』
部屋の外から大勢の声が聞こえる。
「なんだ・・・・?まぁいい、入れ。」
突如入って来たのは15名ほどのメンバーだった。
「何の用だ、今重要な話をしていたところなんだが・・・?」
メンバー達を睨む巽。
「三代目と四代目のお話中に申し訳ございません・・・。
しかし、はやりメンバー内からも未だ疑問の声が絶えず
我々が代表として・・・この場に・・・。」
「さっさと要件を話せ。」
「畏れ多くも進言させていただきます・・・。
四代目が女性であるという問題についてです・・・。」
それを聞いた瞬間、巽は一気に立ち上がり男の胸ぐらを掴む。
「貴様ら・・・まだそんなくだらないことを言っているのか!!」
「し・・・しかしこれは今まで前例が一つもありません!
ボスが女性ともなれば一家の畏怖に関わると・・・!!」
「宮澤様の力は皆が認めておりますがやはり前例がない以上こういったことも!」
「辞退しろとまではいいません!しかしここは代役を立てるべきでは!?」
「このままでは一家を抜ける者も相当数出て来るかと・・・!!」
押し掛けてきたメンバーが一斉に話し出し収拾がつかなくなる。
「このような問題もあると覚悟はしていました・・・。」
陽菜が話し出すと、全員がピタリと止まった。
「で、でしたら・・・四代目はどのようにお考えでしょうか・・・。」
「私は、女だからと何か対策を打つよりもこのまま進みたいと考えています。
確かにメンバーに抜けられるのは困ります。でも昨日も言いましたよね。
離れたい方は離れて結構ですと・・・そしてここまで積み上げてきたものも
一度壊して新たな一歩を踏み出すことで大きなものも得られると・・・。」
「答えになっておられませんね・・・具体的にどうなさるおつもりで?」
「今は納得できずとも、いずれ必ず納得させます。
女は男より力が弱い、そんな時代は終わったと私が証明して見せます!!
何なら今・・・全員まとめてかかってきてもいいんですよ・・・?」
身構える陽菜に昨日の陽菜の戦闘を見ていた一同はゾッとし、一気に退く。
「四代目の覚悟、しかと受け止めました。これを皆に伝えます・・・。」
この言葉を最後に、入ってきたメンバー全員は部屋を去った。
「ふん・・・あの小娘がここまで来るとは・・・立派になったもんだ。」
「いえいえ・・・これから先、こういった問題はいくらでも出てくるでしょうから。」
ふと、ここで巽は何かを思い出したように話し出す。
「ああ、そうだ・・・継承式は伝統に則った服装で行う。
それは今回異例ではあるがお前のために紫炎と協力して作っている。
本来これはしきたりとして一家だけで作成するものだが今回は特例だ。
まぁ楽しみにしておけ・・・。」
こうして、この日の会談は終えた・・・。
どうにも巽さんが私を呼んでいる・・・ということらしい。
「近々あなたの極闘一家四代目としての正式な継承式が行われるとのことです。
今日はその日をお伝えすることと、話したいことがあるそうで・・・。」
そんな説明だけを受け、ひたすらに歩くこと20分・・・
陽菜は極闘一家のアジトへと辿り着いた。
外ではすでに大勢の一家のメンバーがずらっと二列に
並んで人で道を作るように待ち構えていた。
一人ずつがしっかりと陽菜に頭を下げる。
「お待ちしておりました四代目・・・。」
「我らが新しいボス・・・どうぞ中へ・・・。」
陽菜はそんな状況を少し窮屈に考えながらもゆっくりと進んでいく。
しかし伝統ある極闘一家というだけのことはある。
これだけの大勢のメンバーを収容するアジト・・・
見た目はまるで和風の旅館かと思うほどに美しく大きい・・・。
こればかりは紫炎とは比べものにならなかった。
中に入ると、陽菜はそのままゆっくりと二階へ進む・・・。
廊下の壁には一家の創設時のメンバーの写真などが飾られていた。
「こちらです、どうぞ・・・。」
そんな言葉と共に足を止めた四人。
「三代目、四代目をお連れしました。」
「ああ・・・入れてくれ。」
ガラララ・・・と両サイドから引き戸を開く男達。
中には椅子に座る巽の姿が。
「ここから先は私達は進めませんので、どうぞ・・・。」
陽菜はそっと中に入り、巽に案内されるまま巽の正面の椅子に座った。
「ようこそ、極闘一家へ・・・まぁじきにここも君の部屋になる訳だが・・・。
まず、昨日は大変だったな・・・お疲れ様。」
どことなく疲れ切った様子の巽。目の下にはクマができている。
「えっと・・・それで私はどうしてここに・・・?」
「ああ・・・極闘一家四代目継承式の話だ・・・。
一週間後、それをここで正式に執り行う、準備しておくように。」
準備?そんなことは聞いていない・・・何を準備すればよいのだろうか。
「えっと・・・準備って何を・・・?」
「継承式とはいってもそんな堅苦しいものではない、案ずるな。
とりあえずメンバー全員に伝えるコメントを用意しておいてくれ。
なに、難しく考えなくていい・・・一家の四代目として何がしたいか、
どうしていきたいか・・・そんなことでいい・・・。」
「わ、分かりました・・・。」
用意してきたメモ帳に言われた内容を書き記していく陽菜。
「それと、この一週間のうちに紫炎ともしっかり決別をしておくことだ・・・。
継承式を終えれば正式に一家のボスになる、自由は利かなくなる。」
その時だった。
『失礼してもよろしいでしょうか!』
部屋の外から大勢の声が聞こえる。
「なんだ・・・・?まぁいい、入れ。」
突如入って来たのは15名ほどのメンバーだった。
「何の用だ、今重要な話をしていたところなんだが・・・?」
メンバー達を睨む巽。
「三代目と四代目のお話中に申し訳ございません・・・。
しかし、はやりメンバー内からも未だ疑問の声が絶えず
我々が代表として・・・この場に・・・。」
「さっさと要件を話せ。」
「畏れ多くも進言させていただきます・・・。
四代目が女性であるという問題についてです・・・。」
それを聞いた瞬間、巽は一気に立ち上がり男の胸ぐらを掴む。
「貴様ら・・・まだそんなくだらないことを言っているのか!!」
「し・・・しかしこれは今まで前例が一つもありません!
ボスが女性ともなれば一家の畏怖に関わると・・・!!」
「宮澤様の力は皆が認めておりますがやはり前例がない以上こういったことも!」
「辞退しろとまではいいません!しかしここは代役を立てるべきでは!?」
「このままでは一家を抜ける者も相当数出て来るかと・・・!!」
押し掛けてきたメンバーが一斉に話し出し収拾がつかなくなる。
「このような問題もあると覚悟はしていました・・・。」
陽菜が話し出すと、全員がピタリと止まった。
「で、でしたら・・・四代目はどのようにお考えでしょうか・・・。」
「私は、女だからと何か対策を打つよりもこのまま進みたいと考えています。
確かにメンバーに抜けられるのは困ります。でも昨日も言いましたよね。
離れたい方は離れて結構ですと・・・そしてここまで積み上げてきたものも
一度壊して新たな一歩を踏み出すことで大きなものも得られると・・・。」
「答えになっておられませんね・・・具体的にどうなさるおつもりで?」
「今は納得できずとも、いずれ必ず納得させます。
女は男より力が弱い、そんな時代は終わったと私が証明して見せます!!
何なら今・・・全員まとめてかかってきてもいいんですよ・・・?」
身構える陽菜に昨日の陽菜の戦闘を見ていた一同はゾッとし、一気に退く。
「四代目の覚悟、しかと受け止めました。これを皆に伝えます・・・。」
この言葉を最後に、入ってきたメンバー全員は部屋を去った。
「ふん・・・あの小娘がここまで来るとは・・・立派になったもんだ。」
「いえいえ・・・これから先、こういった問題はいくらでも出てくるでしょうから。」
ふと、ここで巽は何かを思い出したように話し出す。
「ああ、そうだ・・・継承式は伝統に則った服装で行う。
それは今回異例ではあるがお前のために紫炎と協力して作っている。
本来これはしきたりとして一家だけで作成するものだが今回は特例だ。
まぁ楽しみにしておけ・・・。」
こうして、この日の会談は終えた・・・。
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