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第五十九闘:私の歩く道
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強い恐怖と共に抵抗する術はないと分かっていても身構える椿と陽菜。
「・・・・どうしましょう・・・!!」
「考えうる最悪の展開は想定すべきだね・・・!」
荒木は静かに立ち上がり、近くのテーブルに置かれたペットボトルを手に取り
それを一気にごくごくと飲んだかと思うと、
空になったペットボトルをその場で投げ捨て話し出す。
「ぷはっ・・・!よくもまぁこんな所まで来たもんだな・・・
いい度胸してるよお前ら・・・。何が狙いかは分からねぇが・・・
こっちとしては好都合、きっちり利用させてもらうぞ四代目。」
“四代目”その言葉にその場にいた全員が反応しざわざわと騒がしくなる。
「あんなひょろっこい奴が四代目・・・?」
「いや待て女だって話じゃなかったか・・・?」
「おいおい!女にこの極闘一家の看板背負わせるのかよ!?」
「どう考えたってあのひょろい男だろ?もう一人は黒銅の制服着てるし・・・。」
「ガタガタ騒いでんじゃねぇよ静かにしやがれクソ野郎ども!!!」
激しい荒木の一喝が飛び、辺りはピタッと静寂に戻った。
コツコツと陽菜と椿の方へ歩き出す荒木。
「まぁまずは・・・邪魔な奴を排除しようじゃねえか・・・。
誰でもいい、その三人の中の黒銅の制服を着てる奴はいらん・・・殺れ。」
その瞬間、近くにいた荒木の兵たちが一斉に坂本に飛び掛かる!
「なっ・・・!?くそっ・・・!ぐはっ・・・!!」
「あっ・・・嘘・・・坂本さん!!(ここまで連れてきてくれたのに・・・!!)」
陽菜は坂本を助けようとするもあまりの数に何もできない。
その姿はまさに地面に落ちた飴玉に群がる蟻のようであった。
それから一分程が経った頃、兵たちが一斉に退く。
そこに残ったのは滅多打ちにされ意識を失い血だらけの坂本だけ・・・。
「どうしてこんなことを!!!」
陽菜は怒りに震え、涙を流す。
「いらねぇ奴は消すだけだ・・・そのまま外に帰して余計なことを
べらべらと話されても困るんでな、ここで消した方が得策ってだけだ・・・!」
氷のように冷たい目で陽菜を見つめる荒木。
「酷い・・・!!」
ぎゅっと倒れた坂本の上半身を抱き抱える陽菜。
「さて本題だ、とりあえずお前ら・・・ここに来た度胸を評価して聞いてやる。
一家はなくなるべきだと思うか?それとも今後も存続していくべきだと思うか?」
思いがけない問いに固まる陽菜と椿。
「そ、そんなこと一家でもない私達が言えるわけ・・・!」
それを言った瞬間、荒木の怒声が響く。
「何言ってやがんだお前は四代目候補だぞ!!今一番力を持っている重要な意見だ!
知っての通り初代は一家をどうにも潰してぇらしい・・・
だが俺はそれを拒んでいる。それがこの喧嘩の発端。
だが、俺と初代だけじゃ話はまとまらねぇ・・・。
だから三代目のボス、巽雄吾も第三者としてとしてここに呼んでいる・・・。
第三者さえいればこの喧嘩の結果はどうあれ2-1で確実に結果は出るんだ。
しかし突如現れたのは四代目候補、いや四代目としてほぼ確定しているお前。
万一意見が2-2で判れてしまった場合またややこしいことになる・・・。
だからよぉとりあえずのお前の意見を聞かせろ四代目宮澤陽菜!!!
いや・・・そもそもお前、一家を継ぐ気はあるのか?まずそこを聞かせろ!!」
「陽菜ちゃん・・・選ぶのは君だ、紫炎を抜けたって構わない・・・。
だからしっかり考えて答えるんだよ・・・。」
椿はやさしく耳打ちをした。
頭に浮かぶのは短い時間でありながら共に過ごしてきた紫炎での仲間達。
紫炎を抜けたくない、陽菜は心からそう思った。
でも、ここで断れば紫炎に多大な迷惑をかけるかも知れない。
もし仮にここに今いる人達が一斉に紫炎に攻めてきたら対抗できる人はいる?
どんなに頑張っても一瞬で紫炎の陥落は目に見えている・・・誰も守れない。
“じゃあ私が大好きな紫炎を私が今ここで守らなきゃ・・・!!!”
そう思った時、言葉は自然と出ていた。
「継ぎます!!この宮澤陽菜が・・・一家を新たな一歩に導きます・・・!!!」
にやりと笑う荒木。
「よく言った・・・覚悟はできてるんだな・・・?」
「はいっ!覚悟はできてます!!」
陽菜はポケットから紫炎所属を証明するナイフを取り出した。
「これは・・・私にとって何よりも大切な物でした・・・。
私が紫炎に所属していると証明される物です。
初めて誰かに認められたみたいですごく嬉しかったから・・・!
大切に大切に・・・いつもポケットの中にしまっていました。
でも、今ここでこれとはお別れします・・・、炎・・・・。」
《いいのか・・・・?》
「いいから・・・早く・・・お願い・・・。」
炎の力の供給を経て、陽菜は思い切りそのナイフの柄を地面に叩きつけた。
バキャ・・・という悲しい音と共に、
刻み込まれた宮澤陽菜という名前は真っ二つに割れた・・・。
「裏切って申し訳ありません椿さん・・・
でも・・・私はずっと紫炎が大好きです・・・。」
俯いたまま椿が言葉を返すことはなかった・・・。
「いいねぇ・・・最高だ・・・お前の覚悟は受け取ったぞ宮澤陽菜!!
俺は二代目としてお前を四代目に相応しいと今ここに認める!!
今の言葉でさっきの質問も一家は存続すべきと考えていると解釈する。
さぁてめぇら・・・これはただの喧嘩からたった今四代目の就任式になった!!
俺らでしっかり勝利を収めて四代目の輝かしい第一歩を飾るぞォ!!!」
『うぉおおおおおおおおおおおおおお!!』
大歓声の中、改めて一家への道を歩く覚悟を決めた陽菜。
そしてこれから始まる大喧嘩・・・。
辿り着く先は・・・・?
「・・・・どうしましょう・・・!!」
「考えうる最悪の展開は想定すべきだね・・・!」
荒木は静かに立ち上がり、近くのテーブルに置かれたペットボトルを手に取り
それを一気にごくごくと飲んだかと思うと、
空になったペットボトルをその場で投げ捨て話し出す。
「ぷはっ・・・!よくもまぁこんな所まで来たもんだな・・・
いい度胸してるよお前ら・・・。何が狙いかは分からねぇが・・・
こっちとしては好都合、きっちり利用させてもらうぞ四代目。」
“四代目”その言葉にその場にいた全員が反応しざわざわと騒がしくなる。
「あんなひょろっこい奴が四代目・・・?」
「いや待て女だって話じゃなかったか・・・?」
「おいおい!女にこの極闘一家の看板背負わせるのかよ!?」
「どう考えたってあのひょろい男だろ?もう一人は黒銅の制服着てるし・・・。」
「ガタガタ騒いでんじゃねぇよ静かにしやがれクソ野郎ども!!!」
激しい荒木の一喝が飛び、辺りはピタッと静寂に戻った。
コツコツと陽菜と椿の方へ歩き出す荒木。
「まぁまずは・・・邪魔な奴を排除しようじゃねえか・・・。
誰でもいい、その三人の中の黒銅の制服を着てる奴はいらん・・・殺れ。」
その瞬間、近くにいた荒木の兵たちが一斉に坂本に飛び掛かる!
「なっ・・・!?くそっ・・・!ぐはっ・・・!!」
「あっ・・・嘘・・・坂本さん!!(ここまで連れてきてくれたのに・・・!!)」
陽菜は坂本を助けようとするもあまりの数に何もできない。
その姿はまさに地面に落ちた飴玉に群がる蟻のようであった。
それから一分程が経った頃、兵たちが一斉に退く。
そこに残ったのは滅多打ちにされ意識を失い血だらけの坂本だけ・・・。
「どうしてこんなことを!!!」
陽菜は怒りに震え、涙を流す。
「いらねぇ奴は消すだけだ・・・そのまま外に帰して余計なことを
べらべらと話されても困るんでな、ここで消した方が得策ってだけだ・・・!」
氷のように冷たい目で陽菜を見つめる荒木。
「酷い・・・!!」
ぎゅっと倒れた坂本の上半身を抱き抱える陽菜。
「さて本題だ、とりあえずお前ら・・・ここに来た度胸を評価して聞いてやる。
一家はなくなるべきだと思うか?それとも今後も存続していくべきだと思うか?」
思いがけない問いに固まる陽菜と椿。
「そ、そんなこと一家でもない私達が言えるわけ・・・!」
それを言った瞬間、荒木の怒声が響く。
「何言ってやがんだお前は四代目候補だぞ!!今一番力を持っている重要な意見だ!
知っての通り初代は一家をどうにも潰してぇらしい・・・
だが俺はそれを拒んでいる。それがこの喧嘩の発端。
だが、俺と初代だけじゃ話はまとまらねぇ・・・。
だから三代目のボス、巽雄吾も第三者としてとしてここに呼んでいる・・・。
第三者さえいればこの喧嘩の結果はどうあれ2-1で確実に結果は出るんだ。
しかし突如現れたのは四代目候補、いや四代目としてほぼ確定しているお前。
万一意見が2-2で判れてしまった場合またややこしいことになる・・・。
だからよぉとりあえずのお前の意見を聞かせろ四代目宮澤陽菜!!!
いや・・・そもそもお前、一家を継ぐ気はあるのか?まずそこを聞かせろ!!」
「陽菜ちゃん・・・選ぶのは君だ、紫炎を抜けたって構わない・・・。
だからしっかり考えて答えるんだよ・・・。」
椿はやさしく耳打ちをした。
頭に浮かぶのは短い時間でありながら共に過ごしてきた紫炎での仲間達。
紫炎を抜けたくない、陽菜は心からそう思った。
でも、ここで断れば紫炎に多大な迷惑をかけるかも知れない。
もし仮にここに今いる人達が一斉に紫炎に攻めてきたら対抗できる人はいる?
どんなに頑張っても一瞬で紫炎の陥落は目に見えている・・・誰も守れない。
“じゃあ私が大好きな紫炎を私が今ここで守らなきゃ・・・!!!”
そう思った時、言葉は自然と出ていた。
「継ぎます!!この宮澤陽菜が・・・一家を新たな一歩に導きます・・・!!!」
にやりと笑う荒木。
「よく言った・・・覚悟はできてるんだな・・・?」
「はいっ!覚悟はできてます!!」
陽菜はポケットから紫炎所属を証明するナイフを取り出した。
「これは・・・私にとって何よりも大切な物でした・・・。
私が紫炎に所属していると証明される物です。
初めて誰かに認められたみたいですごく嬉しかったから・・・!
大切に大切に・・・いつもポケットの中にしまっていました。
でも、今ここでこれとはお別れします・・・、炎・・・・。」
《いいのか・・・・?》
「いいから・・・早く・・・お願い・・・。」
炎の力の供給を経て、陽菜は思い切りそのナイフの柄を地面に叩きつけた。
バキャ・・・という悲しい音と共に、
刻み込まれた宮澤陽菜という名前は真っ二つに割れた・・・。
「裏切って申し訳ありません椿さん・・・
でも・・・私はずっと紫炎が大好きです・・・。」
俯いたまま椿が言葉を返すことはなかった・・・。
「いいねぇ・・・最高だ・・・お前の覚悟は受け取ったぞ宮澤陽菜!!
俺は二代目としてお前を四代目に相応しいと今ここに認める!!
今の言葉でさっきの質問も一家は存続すべきと考えていると解釈する。
さぁてめぇら・・・これはただの喧嘩からたった今四代目の就任式になった!!
俺らでしっかり勝利を収めて四代目の輝かしい第一歩を飾るぞォ!!!」
『うぉおおおおおおおおおおおおおお!!』
大歓声の中、改めて一家への道を歩く覚悟を決めた陽菜。
そしてこれから始まる大喧嘩・・・。
辿り着く先は・・・・?
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