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第五十八闘:決戦場
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「ですがとりあえず無事なうちに見つかったので何よりです。
これより、あなた方を山頂で待つうちのボスに届けます。」
『はっ!はいっ?』
「待ってください、何故あなたは僕達がここに来たことを知っているのですか!?」
椿は問う。
その問いに男は特に表情を変えることもなく淡々と答える。
「始めは一人の見張りが消えたというそれだけの報告でした・・・。
バックレか・・・急な用でも入ったのか・・・疲れて帰ったのか・・・。
憶測は様々でしたが問題はその兵の素性とある人物達との繋がりがあることでした。
その繋がりとはあなた方との接触、そしてそこにいた見張りの司令役の人物は
こんな話を聞いたというのです。小柄な男女の姿を見たと・・・。
あなた方の身体的な特徴とぴったりです。そこで私は一つの仮説を立てました。
その見張りをしていた男とあなた方がこの頂上決戦を見るために共謀して
多くの見張りの目をすり抜けてあの舞台(黒銅高校)まで来ようとしていたとね・・・。
ですから側近である私がここまであなた方をお迎えに来たのです、
あなた方をあそこまで無事に届けるために・・・さぁ・・・参りましょう。」
勝手に先陣を切り歩き出す男を止める陽菜。
「ま、待ってください!あなたは柊さんと荒木さん、どちらの側近なのですか!?
はっきり言ってまだあなたのことを私達は信用出来ません!!」
ピタリと足を止める男。
そして言い放った言葉は最早脅迫に近いものだった。
「あなた方の信用など必要ありません、黙って歩くべきです、それが賢明。
そして私がどっち側の人間であろうとあなた方には関係がない。
いいですか、私が一声かければ今見張りをしている連中は一瞬でここに駆け付ける。
そうなれば数百という人間を一気に相手にすることになりますよ?
無論それに立ち向かう力はあなた方にはありません・・・。
それと万一にも私を倒そうとも考えぬことです・・・私は強いですから・・・。
分かりましたね?無駄な問答は時間の無駄です、さぁ進みますよ・・・。」
「(何この人・・・!まずい人に捕まっちゃった・・・!!)」
椿は陽菜に小さな声で語り掛ける。
「陽菜ちゃん、とりあえず上に着くことが最優先だ・・・黙ってついて行こう・・・。」
それからというもの、男はルートをがらりと変え
普段生徒が登下校で使う正規のルートに入った。
数多くの見張りはいたものの、その全員が一礼し一行は静かに進む。
その間わずか10分、陽菜達はこれまでの努力は何だったのかと
思うほどすぐに黒銅高校校舎前に辿り着く。
しかしその瞬間、一斉に取り囲まれる陽菜達。
「千紘さん・・・そいつらは何ですか?侵入者?」
「いやいや・・・極めて重要なゲスト、来賓のような者達ですよ。」
「まさかこいつら・・・現一家を破った紫炎とかいう奴らスか!?」
「だとしたらここまで来たのは自殺行為じゃね?」
ガヤガヤと雑踏の中に罵声やヤジ、憶測が飛び交い騒ぎになる。
「静かにしてください。」
陽菜達を連れてきた男の言葉でピタッとその場は静かになる。
「いいですか、皆さん絶対に手を出さないでくださいね・・・。
私としてはこの方々はこの決戦よりかなり重要なカードです。
(何故なら私はこの決戦がどうなろうと構わない。ここまでのこのこやってきた
宮澤陽菜を使って一家の次の代としての表明をしてもらうつもりですから・・・。
四代目とはいえ初めて女がボスを務めることに色々問題は出てきそうだが
この舞台を上手く使えればうるさいハエ共も一挙に黙らせることができる・・・。
一家の解散を望んでいる初代には絶対に渡すわけにはいかない・・・。)」
男は命じる。
「この方達をしっかりとお前達で守りなさい。
絶対に敵の手の誰にも渡さないように・・・
しっかりと我らがボスの下にお連れしなさい・・・。
万一のことがあった場合全員この世の地獄を見てもらいますよ・・・!」
未だに初代と二代目のどちらに連れていかれるかも分からない二人。
「椿さんこれ大丈夫ですか・・・?」
「いやどう考えても大丈夫な流れではないよね・・・。」
何とかこの場からの脱出を試みたい二人だが周囲には大勢の屈強な男達が。
生半可な力や覚悟では逃れることは不可能な状況なのは明らかだった。
「さぁ、行きましょうか我らのボスの下へ・・・。」
千紘と呼ばれる男はまたスタスタと歩き出し、後に続く三人。
しかしこれといった説明もないまま校舎の中へと入った。
廊下にはこの男の配下と思わしき男達がずらっと立ち並び
全員が前を通るたびに一人ずつ頭を下げていく。
「ふふ・・・この景色はどうです?こいつらが全員配下なのですよ。」
「・・・・・。」
何も答えずただひたすらに進む一行、
そして5分ほど歩いて辿り着いた先は体育館だった。
ギギギ・・・と千紘が重い扉を開くと、
そこには先ほどまでよりも更に大勢の人物が待ち構えていた。
「な・・・なにここ・・・!!」
「やっぱりか・・・最悪の事態だ・・・。」
大勢の人物の先、ステージに一人足を組んで座っていたのはそれは間違いなく・・・
「よぉクソガキ共・・・よく来たな・・・ここは俺達二代目陣営だ!!」
まさかの辿り着いた先は二代目陣営!!三人の進む道は!?
これより、あなた方を山頂で待つうちのボスに届けます。」
『はっ!はいっ?』
「待ってください、何故あなたは僕達がここに来たことを知っているのですか!?」
椿は問う。
その問いに男は特に表情を変えることもなく淡々と答える。
「始めは一人の見張りが消えたというそれだけの報告でした・・・。
バックレか・・・急な用でも入ったのか・・・疲れて帰ったのか・・・。
憶測は様々でしたが問題はその兵の素性とある人物達との繋がりがあることでした。
その繋がりとはあなた方との接触、そしてそこにいた見張りの司令役の人物は
こんな話を聞いたというのです。小柄な男女の姿を見たと・・・。
あなた方の身体的な特徴とぴったりです。そこで私は一つの仮説を立てました。
その見張りをしていた男とあなた方がこの頂上決戦を見るために共謀して
多くの見張りの目をすり抜けてあの舞台(黒銅高校)まで来ようとしていたとね・・・。
ですから側近である私がここまであなた方をお迎えに来たのです、
あなた方をあそこまで無事に届けるために・・・さぁ・・・参りましょう。」
勝手に先陣を切り歩き出す男を止める陽菜。
「ま、待ってください!あなたは柊さんと荒木さん、どちらの側近なのですか!?
はっきり言ってまだあなたのことを私達は信用出来ません!!」
ピタリと足を止める男。
そして言い放った言葉は最早脅迫に近いものだった。
「あなた方の信用など必要ありません、黙って歩くべきです、それが賢明。
そして私がどっち側の人間であろうとあなた方には関係がない。
いいですか、私が一声かければ今見張りをしている連中は一瞬でここに駆け付ける。
そうなれば数百という人間を一気に相手にすることになりますよ?
無論それに立ち向かう力はあなた方にはありません・・・。
それと万一にも私を倒そうとも考えぬことです・・・私は強いですから・・・。
分かりましたね?無駄な問答は時間の無駄です、さぁ進みますよ・・・。」
「(何この人・・・!まずい人に捕まっちゃった・・・!!)」
椿は陽菜に小さな声で語り掛ける。
「陽菜ちゃん、とりあえず上に着くことが最優先だ・・・黙ってついて行こう・・・。」
それからというもの、男はルートをがらりと変え
普段生徒が登下校で使う正規のルートに入った。
数多くの見張りはいたものの、その全員が一礼し一行は静かに進む。
その間わずか10分、陽菜達はこれまでの努力は何だったのかと
思うほどすぐに黒銅高校校舎前に辿り着く。
しかしその瞬間、一斉に取り囲まれる陽菜達。
「千紘さん・・・そいつらは何ですか?侵入者?」
「いやいや・・・極めて重要なゲスト、来賓のような者達ですよ。」
「まさかこいつら・・・現一家を破った紫炎とかいう奴らスか!?」
「だとしたらここまで来たのは自殺行為じゃね?」
ガヤガヤと雑踏の中に罵声やヤジ、憶測が飛び交い騒ぎになる。
「静かにしてください。」
陽菜達を連れてきた男の言葉でピタッとその場は静かになる。
「いいですか、皆さん絶対に手を出さないでくださいね・・・。
私としてはこの方々はこの決戦よりかなり重要なカードです。
(何故なら私はこの決戦がどうなろうと構わない。ここまでのこのこやってきた
宮澤陽菜を使って一家の次の代としての表明をしてもらうつもりですから・・・。
四代目とはいえ初めて女がボスを務めることに色々問題は出てきそうだが
この舞台を上手く使えればうるさいハエ共も一挙に黙らせることができる・・・。
一家の解散を望んでいる初代には絶対に渡すわけにはいかない・・・。)」
男は命じる。
「この方達をしっかりとお前達で守りなさい。
絶対に敵の手の誰にも渡さないように・・・
しっかりと我らがボスの下にお連れしなさい・・・。
万一のことがあった場合全員この世の地獄を見てもらいますよ・・・!」
未だに初代と二代目のどちらに連れていかれるかも分からない二人。
「椿さんこれ大丈夫ですか・・・?」
「いやどう考えても大丈夫な流れではないよね・・・。」
何とかこの場からの脱出を試みたい二人だが周囲には大勢の屈強な男達が。
生半可な力や覚悟では逃れることは不可能な状況なのは明らかだった。
「さぁ、行きましょうか我らのボスの下へ・・・。」
千紘と呼ばれる男はまたスタスタと歩き出し、後に続く三人。
しかしこれといった説明もないまま校舎の中へと入った。
廊下にはこの男の配下と思わしき男達がずらっと立ち並び
全員が前を通るたびに一人ずつ頭を下げていく。
「ふふ・・・この景色はどうです?こいつらが全員配下なのですよ。」
「・・・・・。」
何も答えずただひたすらに進む一行、
そして5分ほど歩いて辿り着いた先は体育館だった。
ギギギ・・・と千紘が重い扉を開くと、
そこには先ほどまでよりも更に大勢の人物が待ち構えていた。
「な・・・なにここ・・・!!」
「やっぱりか・・・最悪の事態だ・・・。」
大勢の人物の先、ステージに一人足を組んで座っていたのはそれは間違いなく・・・
「よぉクソガキ共・・・よく来たな・・・ここは俺達二代目陣営だ!!」
まさかの辿り着いた先は二代目陣営!!三人の進む道は!?
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