Legend Girl!

広瀬あかり

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第五十七闘:険しき道のり

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「さて、とりあえずだが・・・もたもたしている時間はない。
 警備の手も時間が進めばさらに強くなる、進みながら説明していくぞ。」

坂本は自分のポケットからこの辺りの地図を取り出すと広げて二人に見せた。

「いいか、見て分かる通りこの高校の特色は多くの山に囲まれているということだ。
 どうにもあの果てまで目に見える範囲の山は全てこの高校の敷地内らしい。」

「こ、こんなに広大な敷地があるんですか!?この学校は・・・!!」

本当に管理できているのかも不思議なほどの広大な敷地面積に驚く二人。

「でしたら・・・遠回りでもこの山を上手く使いながら上に登るというのが無難ですか?」

椿は地図を見ながら指で遠回りのルートを指し示していく。

「そう考えるのが無難だろうな・・・だが、残念ながらそのルートは無理だ。
 この山は急勾配が激しい山道が続く上、どのルートにも見張りは配置してある。
 しかも高校の管理下の山中とはいえ山だ。素人が入れば足をすくわれるのは確実だろう。
 この山を日々授業などで使って歩き慣れている黒銅の生徒達には絶対に勝てねぇ・・・。
 当然ながらトラップも数々仕掛けてあることだろうし、山中には入るのは危険すぎる。」

「だ、だったらどうすれば・・・!?」

地図を見ながら坂本は言う。
「極力無駄な体力を使わず少しでも体力を温存しながら
 可能な限りの最短ルートであそこまで進む、正直なところだが
 俺も二人の喧嘩を何としてでもこの目に焼き付けるために俺も色々他の人間を
 出し抜いて何とかバレずに上に上がる方法を色々と考えてたんだ・・・。
 確実に成功するかと言われれば五分といったところだがお前らのために使おう・・・。
 とりあえず狭い山道だ、まずは縦一列に3人だが隊列を組め。
 最初は俺、真ん中は宮澤、最後は殿、佐川椿だ。」

すぐに言われたとおりに動き並ぶ二人。

「何だか探検みたいだね!」
「ほらほら、どんどん進んじゃってるよ陽菜ちゃん・・・。」
こうして三人は今回の目標である頂上の黒銅高校校舎を目指しゆっくりを歩を進める。

しかしこの時、既に見張りの一人が消えたことが下では問題になっていた・・・。

「見張りの一人が消えた?」
「はい、少し目を離した隙に突如消えまして・・・!」
「便所とかに行ってるんじゃないのか?」
「それはないと思います、トイレの際も必ず私達に伝えてから行くようにと
 再三にわたり注意をしてきましたから・・・しかも、下の監視によると
 坂本大輝が消えた直後坂本大輝本人らしき姿ともう二人・・・
 小柄の男女の姿が見えたとのことで・・・警戒を強めております。」
「(まさか渦中の宮澤陽菜と佐川椿か・・・?いやいやまさかこんなところまで・・・?)
 その坂本大輝と宮澤陽菜及び佐川椿の接触は過去にあるのか?」
「ええ、少し前に極闘で行われた全面戦争の際に坂本は
 ここから極闘に派遣されて紫炎のこの二人とは確実に接触しています!!」

たらりと冷汗が流れる指令役の男。

「まずいな・・・確定か、何故来た!?とにかく校舎まで進ませるな!
 上に着いたら何が起きるか分からない!何としてでも捕まえろ!!」

『はっ!!』

追っ手も数を増し警戒が強まる中3人は険しい山道を突き進む。
「山には入らんと言ったがこれが最短ルートだ・・・きついだろうが踏ん張れよ・・・!」

しかし慣れていない二人の体力は少しずつ確実に消耗していった。

「はぁ・・・案外見張りも・・・はぁはぁ・・・いないものですね・・・!」
「そうだね・・・今のところ人影すらないけど・・・!」

険しい道が続き息が切れる二人。
到着までの道のりはまだ長い。

そんな時だった。
ガッ!と頭に強い衝撃が走る陽菜。

「なっ・・・!?」

よろめきながらも何とか踏ん張り倒れずに済んだ。

「ちっ・・・仕留めたつもりが・・・!」

どこからともなくその男は突如足音もなく現れた!
ゆっくりと前に出る陽菜。

「《炎、一瞬で仕留めるよ・・・。》」

まさに刹那・・・陽菜のパンチで男は倒れた。

「しかしこの人・・・どこから来たんですかね・・・。」
「とにかく、進もう・・・こんな襲撃が増えるかもしれない・・・。」
三人がまた新たな一歩を踏み出した瞬間・・・

「報告通り・・・宮澤陽菜と佐川椿、坂本大輝を確認しました。」

また一人、突如目の前に何者かが現れる。
「今度は何!?また敵!?」

警戒を強める三人は隙を見せぬよう戦闘態勢に入る。
しかしその男は誰かと連絡を取っているようだ。

「了解しました・・・ではまた後程・・・。」

程なくして電話を切った男はじっとこちらを見つめている。

「な、なんですか!?」

怯えながらも威嚇する陽菜。

「渦中のあなた達だけはこの場に来るべきではなかった・・・。
 何故来たのです?しかもバレないように山中を進んでまで・・・。
 どれだけの人間に狙われているのか分かっているのですか?」

男はゆっくりと近づいてくる・・・。

「ですがとりあえず無事なうちに見つかったので何よりです。
 これより、あなた方を山頂で待つうちのボスに届けます。」

『はっ!はいっ?』

まさかの助け舟!?そしてボスとはどっちのことなのか!?
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