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第五十六闘:潜入
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「おいガキ共ここに何の用だ!?」
さっそく黒銅の生徒に見つかってしまった二人は鋭い眼光で睨まれる。
「ど、どうしますか椿さん!」
「仲間を呼ばれる前に始末するよ・・・!!」
そこにいるのはまだ一人だったために椿は連絡される前に始末すれば問題ないと考えた。
ところが・・・
この男、陽菜はどこかで見たことがあるような気がした。
そしてその男もまた陽菜達をじっと見て何かを思い出していた。
「ん・・・・?お前らまさか金沢と全面戦争してた・・・!」
「やっぱりそうですよね、ご無沙汰してます。宮澤陽菜です。」
そう、どういう偶然かそこにいたのはあの全面戦争で
金沢梨香に呼ばれていた高校生のうちの一人だったのだ。
「ちっ・・・お前ら近くを通っただけだってんなら見逃してやるから今すぐ帰れ。
ここはこれから色々事情があって厳重に封鎖される、俺らも警備の一人だ。」
「その事情って極闘会の初代と二代目の大喧嘩のことですよね?」
出来れば知らないでいて欲しかった・・・と露骨にがっかりしたような表情をする男。
「おいおい知ってて来たのかよ!?しかもお前らあれから現極闘一家と
ドンパチやってこれまで無敗で最強の名を連ねてきた極闘一家を潰したそうだな。
今回の件は上(前極闘一家のメンバー内)でも大騒ぎになってるぞ?
この件の引き金になったのは間違いなくお前達っていう部分も少なからずある・・・。
聞いた話ではあるがお前ら紫炎を敵視してる連中も当然ながら大勢いるそうだ。
やばい状況ってのが分かったら他の奴らに見つかる前に今すぐここから消えろ!
敵対する勢力の一人にでも見つかったら捕まってリンチされるぞ!?」
必死に説得する男、しかし陽菜の意識はすでに完全に上の校舎へと向かっていた。
「もう使われてない階段を使えば見つかることはないですか?」
全く話を聞いていない陽菜に憤慨する男。
「おい俺の話聞いてたか?今すぐここから消えろって言ってんだよ!
おい、佐川椿!お前こいつのボスなんだろ?さっさと連れて帰れ!」
男の言葉で頭を抱える椿。
「いやー・・・それが出来たら苦悩はしないんですけどねー・・・。
うちの陽菜ちゃんこうなるともう何にも聞いてくれないので・・・。」
「おい宮澤陽菜。」
男は陽菜に詰め寄る。
「あ、はいなんですか?」
「お前上の戦力がどれほどのもんか分かってんのか?」
もう顔と顔がくっつくと言ってもいいぐらいに顔を近づける男。
しかし陽菜は動じない。
「いえ・・・喧嘩するつもりで来たわけじゃないので・・・!」
「お前にそんなつもりはなくてもあっちは大有りだ。
いいか、上には数十人、いや・・・これからどんどん増えて百人近くの人間が集まる。
それもこの高校の人間だけじゃない、他校からもこれまで一家に世話になった奴らも
この機を逃す手はないと着々と復讐の機会を狙って集まっていることだろう。
もちろんそれを食い止めるのは前極闘の一家のメンバーや傘下のメンバー。
いつ上で大戦争に発展するかも分からない中今回の柊と荒木の喧嘩は行われる。
そこに万が一今回の一件の発端ともいえるお前らの存在がバレたらどうなる?考えろ。
いいか?はっきり言って奴らの強さは中学レベルのお前らの比じゃない。
全員がお前が苦戦したあの巽以上の強さだ、そんなところで生き残れると思ってるのか?」
ここまで言われてやっと陽菜は自分が置かれている状況が分かった。
「・・・・・・。」
さすがの陽菜も何も言い返せず固まる。
「分かったら見逃してやるから今すぐここから立ち去れ・・・
俺もお前らも見つかったらやばいんだ。
お前らに最初に会ったのが俺でお互い良かったな・・・。」
陽菜の背中を押し遠ざけ帰らせようとする男。
しかしその直後陽菜から出た言葉は・・・
「あの、仲間になりませんか?」
それはあまりの突拍子もない台詞だった。
「は、はぁ!?」
さすがに男も驚きを隠せない。
「だって、あなたもそれだけ詳しく知っているのだから上に多少の興味はあるのでしょう?
本当ならこんなところで警備なんてしてないであなたも見たいんじゃない?二人の喧嘩。」
「いやだからさっきも言っただろ!上はとても危なくて近づけたもんじゃないんだ!!」
「どこかに隠れて見る方法はないの?」
「高校だし色々ありはするが敵対勢力の潜伏に備えて完全に封鎖されてるはずだ。
そもそもなんでそんなにまでして見たいんだ!?お前らに関係ないだろ!!」
賛同したように頷く椿。
「確かに関係ないと言われれば関係なんてないんですけど・・・気になるんです。
これまで学校で一番だったグループがどうなっていくのかって・・・。
私が一家のボスになるかも知れないじゃないですか・・・ならないですけど・・・。」
突然何気なく陽菜が放った一言に驚きを隠せない男。
「な、なんだそりゃ!?ってことは巽雄吾を倒したのはお前なのか!?」
「まぁ・・・はい。そこはご存じなかったんですね。」
男は考えた。
巽雄吾を直接倒したこいつ(陽菜)がいれば
万一見つかっても(見つかった人によっては)
次期トップとして逆に優遇され安全に上まで行けるかもしれないと。
「(はっきり言って俺も実のところあの人たちの喧嘩はめちゃくちゃ見たい・・・。
だったらこのチャンス逃す手はねぇな・・・危険は承知の上だが・・・ここは!)
しゃーねぇ・・・俺が仲間になってやる!俺の名は坂本大輝、よく覚えとけ!」
「ありがとうございます!よろしくおねがいします!!」
こうして、二人は坂本を仲間に入れ進む・・・。
さっそく黒銅の生徒に見つかってしまった二人は鋭い眼光で睨まれる。
「ど、どうしますか椿さん!」
「仲間を呼ばれる前に始末するよ・・・!!」
そこにいるのはまだ一人だったために椿は連絡される前に始末すれば問題ないと考えた。
ところが・・・
この男、陽菜はどこかで見たことがあるような気がした。
そしてその男もまた陽菜達をじっと見て何かを思い出していた。
「ん・・・・?お前らまさか金沢と全面戦争してた・・・!」
「やっぱりそうですよね、ご無沙汰してます。宮澤陽菜です。」
そう、どういう偶然かそこにいたのはあの全面戦争で
金沢梨香に呼ばれていた高校生のうちの一人だったのだ。
「ちっ・・・お前ら近くを通っただけだってんなら見逃してやるから今すぐ帰れ。
ここはこれから色々事情があって厳重に封鎖される、俺らも警備の一人だ。」
「その事情って極闘会の初代と二代目の大喧嘩のことですよね?」
出来れば知らないでいて欲しかった・・・と露骨にがっかりしたような表情をする男。
「おいおい知ってて来たのかよ!?しかもお前らあれから現極闘一家と
ドンパチやってこれまで無敗で最強の名を連ねてきた極闘一家を潰したそうだな。
今回の件は上(前極闘一家のメンバー内)でも大騒ぎになってるぞ?
この件の引き金になったのは間違いなくお前達っていう部分も少なからずある・・・。
聞いた話ではあるがお前ら紫炎を敵視してる連中も当然ながら大勢いるそうだ。
やばい状況ってのが分かったら他の奴らに見つかる前に今すぐここから消えろ!
敵対する勢力の一人にでも見つかったら捕まってリンチされるぞ!?」
必死に説得する男、しかし陽菜の意識はすでに完全に上の校舎へと向かっていた。
「もう使われてない階段を使えば見つかることはないですか?」
全く話を聞いていない陽菜に憤慨する男。
「おい俺の話聞いてたか?今すぐここから消えろって言ってんだよ!
おい、佐川椿!お前こいつのボスなんだろ?さっさと連れて帰れ!」
男の言葉で頭を抱える椿。
「いやー・・・それが出来たら苦悩はしないんですけどねー・・・。
うちの陽菜ちゃんこうなるともう何にも聞いてくれないので・・・。」
「おい宮澤陽菜。」
男は陽菜に詰め寄る。
「あ、はいなんですか?」
「お前上の戦力がどれほどのもんか分かってんのか?」
もう顔と顔がくっつくと言ってもいいぐらいに顔を近づける男。
しかし陽菜は動じない。
「いえ・・・喧嘩するつもりで来たわけじゃないので・・・!」
「お前にそんなつもりはなくてもあっちは大有りだ。
いいか、上には数十人、いや・・・これからどんどん増えて百人近くの人間が集まる。
それもこの高校の人間だけじゃない、他校からもこれまで一家に世話になった奴らも
この機を逃す手はないと着々と復讐の機会を狙って集まっていることだろう。
もちろんそれを食い止めるのは前極闘の一家のメンバーや傘下のメンバー。
いつ上で大戦争に発展するかも分からない中今回の柊と荒木の喧嘩は行われる。
そこに万が一今回の一件の発端ともいえるお前らの存在がバレたらどうなる?考えろ。
いいか?はっきり言って奴らの強さは中学レベルのお前らの比じゃない。
全員がお前が苦戦したあの巽以上の強さだ、そんなところで生き残れると思ってるのか?」
ここまで言われてやっと陽菜は自分が置かれている状況が分かった。
「・・・・・・。」
さすがの陽菜も何も言い返せず固まる。
「分かったら見逃してやるから今すぐここから立ち去れ・・・
俺もお前らも見つかったらやばいんだ。
お前らに最初に会ったのが俺でお互い良かったな・・・。」
陽菜の背中を押し遠ざけ帰らせようとする男。
しかしその直後陽菜から出た言葉は・・・
「あの、仲間になりませんか?」
それはあまりの突拍子もない台詞だった。
「は、はぁ!?」
さすがに男も驚きを隠せない。
「だって、あなたもそれだけ詳しく知っているのだから上に多少の興味はあるのでしょう?
本当ならこんなところで警備なんてしてないであなたも見たいんじゃない?二人の喧嘩。」
「いやだからさっきも言っただろ!上はとても危なくて近づけたもんじゃないんだ!!」
「どこかに隠れて見る方法はないの?」
「高校だし色々ありはするが敵対勢力の潜伏に備えて完全に封鎖されてるはずだ。
そもそもなんでそんなにまでして見たいんだ!?お前らに関係ないだろ!!」
賛同したように頷く椿。
「確かに関係ないと言われれば関係なんてないんですけど・・・気になるんです。
これまで学校で一番だったグループがどうなっていくのかって・・・。
私が一家のボスになるかも知れないじゃないですか・・・ならないですけど・・・。」
突然何気なく陽菜が放った一言に驚きを隠せない男。
「な、なんだそりゃ!?ってことは巽雄吾を倒したのはお前なのか!?」
「まぁ・・・はい。そこはご存じなかったんですね。」
男は考えた。
巽雄吾を直接倒したこいつ(陽菜)がいれば
万一見つかっても(見つかった人によっては)
次期トップとして逆に優遇され安全に上まで行けるかもしれないと。
「(はっきり言って俺も実のところあの人たちの喧嘩はめちゃくちゃ見たい・・・。
だったらこのチャンス逃す手はねぇな・・・危険は承知の上だが・・・ここは!)
しゃーねぇ・・・俺が仲間になってやる!俺の名は坂本大輝、よく覚えとけ!」
「ありがとうございます!よろしくおねがいします!!」
こうして、二人は坂本を仲間に入れ進む・・・。
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