Legend Girl!

広瀬あかり

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第五十五闘:大激突

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あれから、一週間ほどが経過しました。
その間の極闘中学は恐ろしい程にとても平和で
私達はのんびり怪我の回復に努めていました。

これを機に私達は出席日数稼ぎのために久しぶりに学校に登校を果たし、
友人との再会を喜ぶ・・・なんてことはありませんが割と楽しんでいます。

教室に久しぶりに入った時はこれまで冷たい対応をしてきたクラスメイト達が
何があったのかと思うほど笑顔で駆け寄ってきて質問攻めに遭いました。
なんでも一家を破ったのは全て私の力だと思われているようです。
その時のみんなの笑顔はまるで私を紫炎に入る前のみんなと仲が良かった
あの頃に戻してくれたようでちょっとだけ涙が出そうになりました。

そんな中、平和を楽しんでいた私のところに突然とある噂が流れてきました。
それはお昼休み、みんなで机を合わせて給食を食べている時です。
突如切り出したのはクラスメイトの原田利奈さんでした。

「そういえば、宮澤ちゃんが倒した極闘一家って何かもうヤバいらしいね?」
「やばいって何が?あそこは存在自体がやばいようなもんでしょ。」
「いやなんか・・・初代のボスと二代目のボスが大喧嘩してるって。」
「!?(柊さんと荒木さんが・・・・!?)」

口に運んだコッペパンを喉に詰まらせそうになった陽菜は牛乳を急いで流し込む。

「でもそれって昔のボスたちでしょ?今の私達には関係ないじゃん。」
「あーそっかー・・・でもなんか、一家の今後に関わるって話だよ?
 初代が勝てば一家は消滅、二代目が勝てば一家は全て二代目の手に渡る、とか。」
「なにそれ、今のボスの巽雄吾?だったっけ?その人のこと完全無視じゃん。
 歴代とはいえ現任のボスがそういうの決めるんじゃないの?」
「分かんないけどそんな話を聞いたんだよね・・・一家にいる友達から。
 なんでも今日公式に殴り合いの喧嘩をして勝敗を決めるって・・・。」

「それ!どこでやるか分かりますか!?」

ただただ聞いていただけの筈が思わず叫んでしまう陽菜。

「び、びっくりしたー・・・えっと確か黒銅高校のグラウンド、だとか・・・。」

黒銅高校!?
陽菜はどこか身に覚えがあった。
そう、それは全面戦争の際に
金沢梨香が引き連れてきた高校生達が在籍していた高校。

「そこで、18時に開始されるみたい・・・。」

現在時刻は午前10時。
時間には大分余裕がある。

陽菜はどうしても行きたくなった。
極闘一家の今後が気になったからに他ならない。
危険は承知の上だが興味というその一言に勝るものはなかった。

そしてそれから着々と時間は進み、下校時間となる。
陽菜は急いで準備すると、校門を飛び出し駆け出す。

「時間まで残り3時間・・・早く行って見られる場所確保しないと・・・!」
「どこに行くのかな?」
突如かけられた声にも気づかず当たり前のように答える陽菜。
「はっ・・・はっ・・・黒銅高校に決まってるじゃないですか」
「そこへは何をしに?」
「極闘一家の、はぁっ、元ボスたちの・・・喧嘩を見に行くんですよ・・・!」
「危険だと思うけどなー?」
「大丈夫ですよ、隠れてみてますからー・・・ってあれ!?」

今私は誰と話していたんだろうとそっと横を見る陽菜。
「あっ!椿さん!!」
「あはは!陽菜ちゃんやっと気づいた!面白いなー何でも喋ってくれるんだもん!」
「もうやめてくださいよー!」
「本当に行くのかい?」

突如真剣な顔になる椿。

「ええ・・・あの二人の喧嘩と一家の今後、見ておきたいので・・・。」
「全面戦争で陽菜ちゃんの顔はすでに割れてるよ、あまりに危険だ。
 ましてや今回この喧嘩の発端を招いたのは陽菜ちゃんとか僕達なんだから
 尚のこと危険だよ、おススメはとてもできないな。」
「分かっているつもりです、でもそれでも・・・です!!」
「まったく陽菜ちゃんって言いだしたら聞かないよね・・・!」
「よく言われます。」
「仕方ない、僕も行くよ。」

こうして、二人は近くにある黒銅高校へと向かった。

二人は30分程で辿り着いた、丘の上に聳え立つ黒銅高校の真下へ。

「ここから先は一本だけある正規ルートではいけないよ。
 ここから上がってしまうと速攻でバレてしまうからね。
 僕たちは何とかこの斜面を駆け上がって上に辿り着かなければならない。」

「こ、こんな斜面上がれるわけないじゃないですか!?」

あまりに急な斜面がそこに待っていた。

「裏にもう一本既に使われなくなった階段があった筈だよ、そこから行こう。」

その時だった。

「おいガキ共ここに何の用だ!?」

「(くそっ、もう見つかった・・・!)」

さっそく戦闘か!?
極闘一家動乱編開幕!!
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