Legend Girl!

広瀬あかり

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第五十二闘:生か死か

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振り下ろされた鉄パイプ!
やられる・・・!そう覚悟を決めた陽菜はグッと目を瞑った・・・。

直後、ガキンッという鈍い音の後に意識はまだそこにあった。
しかし痛みはない。陽菜はゆっくりと目を開く・・・。

「・・・・?」

ぼやける視界の中に見えたのは一人の人物、
どうやらこの人に守られたらしい。
しかしまだ目を強くつぶっていたせいか誰だかは分からない。

「大丈夫かい・・・・?陽菜ちゃん・・・。」

弱弱しくもしっかりと耳に届いたその声が誰のものであるかはすぐに分かった。

「椿さん!!」

ドサッとその場で倒れる椿。

「くそっ!どいつもこいつもまた・・・邪魔・・・しやがって・・・!」

力を使い果たした瀬川もバタッと再び勢いよく倒れた。

「瀬川は・・・倒れた!お前たちの負けだ!!直ちに投降しろ!!」

倒れたまま叫ぶ椿、頼むからこのまま撤退してくれ、そう願った。
しかし、その願いは今の状況下で届くはずもなく・・・。

「何寝ぼけたこと言ってんだこいつ!てめーも倒れてんだろうが!!」
「後は俺らがお前らを始末すりゃそれで計画は完璧に達成されるってわけだ・・・。」
「お前らに俺らに対抗する力はもうない、終わりだな・・・。」

5人程の残った一家のメンバーはゆっくりと陽菜たちに近づいてくる。
「はは・・・そうだそれでいい・・・やっちまえお前達!これで命令は達成だ!!
 全員くたばりやがれ雑魚ども!これで晴れて俺も一家で名を上げて昇進だ!!
 2代目が俺の後ろ盾になった・・・こんな心強いことがあるか!?
 俺はもう負けない、最強だ!もしかしたら一家は俺のものになるかもなあ!?」

倒れながらも妄想に喜び笑う瀬川。

「そうは・・・させねえよ・・・瀬川ァ・・・・!
 てめぇは俺が責任もってここでぶちのめして終わりだァ・・・。
 配下を支配しきれてなかった全責任は俺にある・・・。
 俺はもうクビが決まったが最後にこういう芽は摘んでおかねえとな・・・。」

ボタボタと頭部から血を流しながらも立ち上がる巽。

「死に損ないがぁ・・・!まだ意識あったのか!?
 だが立ってるだけで精一杯だろうがよぉ・・・ははは!何が出来る!!」
「立つことすら出来てねえ雑魚にガタガタ言われる筋合いはねえな・・・。
 あいつは置いといてさぁ来いよお前ら、最後の稽古の時間だ・・・。」

5人はふらふらの相手がたった一人だけだというのになぜか恐怖を覚えた。
そして、5人はアイコンタクトで万一に備え一斉に四方から襲い掛かる!

当然四方を囲まれた巽は全く動けず、5人全員の攻撃を受けてしまった・・・。

「殺ったか・・・!?」
「・・・・・!!」

この時、5人のうち1人だけ何かを察した者がいた。
それは悍ましいほどの殺気。
巽から溢れ出るそれに気づいたその男は咄嗟に叫んだ。

「やばい!逃げ・・・・!!」

しかし、そう言い切ることさえ出来ずに5人は激しく吹き飛んだ・・・。
飛ばされた先でもう全員の意識はなかった。

「な・・・・お前のどこにそんな力が・・・・!?」
「黙れ・・・俺の時代の責任は俺が取るべきだとそう思わないか・・・?」

スタスタと一歩ずつ瀬川に近づいていく巽。

「ま、待て!来るな!こっちに来るなぁ!!おい誰か助けろ!!!」
「ここまで来てまだ仲間を盾にしようとしてるのか・・・?」
「待って話し合おうじゃないか巽さん・・・そうだ和解しよう・・・。
 この件はなかったことにしてもう一度最初から・・・・!」

ガッと倒れている瀬川の頭を掴んだ巽。

「人間はな・・・一度過ぎた時間を取り戻すことは出来ないんだよ・・・・。
 例え何があろうともな・・・だから瀬川・・・お前はもう楽になれよ・・・。」

グググッとうつ伏せで倒れている瀬川の頭を持ち上げていく巽。

「アガガガ・・・・ガ・・・!」

ミシミシと背骨が悲鳴を上げる。
そして・・・

「じゃあな瀬川、お前と過ごした時間は実に・・・無駄なものだった・・・。」
「ま・・・待っ・・・!」

ゴシャッ!!!

巽は瀬川の顔面を激しく床に叩きつけた。
周囲には血が広がる。

振り返った巽は静かに紫炎の全員に謝罪し頭を下げた。
「・・・・本当にすまなかった・・・だが・・・終わった・・・ぞ・・・。」

巽もまた、限界を超えていたのかその場に座り込んだ。

「いや・・・十分責任は果たしてくれたよ・・・ありがとう・・・。」
「さすが巽さんですね、かっこよかったですよ・・・!」

巽と椿、陽菜、美咲の乾いた笑いが響き渡る。

しかしもう誰も一歩も動けるような状態ではなかった・・・。

「どうする・・・このまま荒木さんを迎え撃つなんて到底無理だぞ・・・。」
「僕達にはもう逃げることさえ敵わないね・・・・!」
「私がお話しますよ・・・なんとか許してもらいましょう・・・。」
「陽菜っち無茶だよ、話なんか通じる相手じゃないって言ってたし・・・!」

その時だった。
ブロォン!という確かなバイクの排気音が全員の耳に届いた。

「はは・・・これは絶対荒木さんのバブの音だ・・・!」
「思わず笑っちゃうほどの絶望ですね・・・・。」
「何があってもみんなは僕が守るよ・・・。」
「つばるん・・・今更強がったってもう私達には・・・。」

ー紫炎アジト外ー
「ここかァ・・・さあて・・・小僧共を蹂躙して遊んでやるか・・・!」

バイクから降りた荒木はいよいよ紫炎の中に進む!

ついに現れた極闘一家2代目ボス荒木!
動けず逃げる術もなく倒れる巽と陽菜!美咲!椿!
4人は無事に生き残ることが出来るのか!?
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