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第四十九闘:命令
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バンッッ!!
激しい音を立て観音扉は勢いよく開かれた。
「佐川椿、東條美咲、宮澤陽菜・・・確認しました。」
「トップの戦力が揃い踏みか、だが誰一人として戦力にはならなそうだ。
素直に降伏すれば手は出さない、負けを認めろ。」
室内に入ることもなく瀬川は降伏を求める。
「あれ?君たちのボスはどこに行っちゃったのかな?」
予想外の状況にさすがに焦った表情を見せた椿はたらりと冷や汗を流す。
「あぁ・・・巽さんには少し眠って頂きました・・・。」
血の付いた鉄パイプを椿の前に投げる瀬川。
「どうやらうちのボスはあんた達に負けて少々毒されてしまったらしい・・・。」
「(こいつ自分のボスを・・・!ちっ・・・頼みの綱が・・・!)」
室内に緊張が走る。
「さぁ・・・チェックメイトだ。君たちは戦えない、助けも来ない。
諦めて素直に負けを認めて君たちも一家に服従するん・・・バボッ!?」
突如地面に激しく転がる瀬川。
「なっ・・・!?何事だ・・・!?」
むくりと起き上がった瀬川が見たものは血だらけで立っている巽だった。
「巽さん・・・もう意識取り戻したんですか・・・早すぎますよ・・・!!」
「黙れ・・・貴様何をしたか分かってるんだろうな・・・!!」
鬼のような形相で瀬川を睨む巽。
「まったく・・・本当に化け物みたいな体力してますね。
誰でもいい、捕えなさい、今内輪揉めしている場合ではありません・・・。」
10人程の人間が一斉に巽に飛び掛かり動きを止めた。
「ぐ・・・くそぉ・・・!貴様らァ・・・・!!」
「さて・・・こっちもいい加減決着と行きましょう、さぁ投降しなさい。」
椿に詰め寄る瀬川は一度投げた鉄パイプを拾い椿に先端を向けた。
「・・・これは本当にお前達の独断の行為か?何か裏がありそうだな。」
「もし仮に裏があったとしてもあなた方には関係のないことですよ・・・!」
「貴様ら!極闘一家のプライドはどこに行った!!!
こんな愚行に走るなど一家の名を汚すも同然だぞ!!!
こんな真似をして極闘会の方々が黙っているとでも思ったか!!?」
複数の人間に押さえつけられた巽は必死に叫ぶ。
これでさすがの瀬川も止まるであろう・・・そう信じた。
しかし、瀬川は笑った・・・。
「ははは!巽さん!これは俺の独断ではありませんよ・・・!
これはとある人物からの命令です・・・。」
ゴクリと唾を飲む巽。
「・・・誰だ?」
「大体もうお察しでしょう?俺らを動かしここまでやらせたのは・・・
2代目総長、荒木雅也さんですよ・・・!!」
この名を聞いた途端、絶望に満ちた顔を見せる巽。
「バカな・・・これを指示したのが2代目だと・・・!?」
未だ椿達がよく状況を理解できない中
突如鳴り響いたプルルル・・・という着信音と共に瀬川は電話に出る。
右手ではまだ鉄パイプが椿を狙っている。
「ほぼほぼ終わりました・・・大体が荒木さんのご指示通りに。」
「よくやった・・・ひとまず雄吾に代われ。」
携帯が巽の手に渡った。
心なしか手が震えているようにも見える。
「は、はい・・・代わりました巽です。」
「よぉ、久しぶりだな現総長、巽雄吾君・・・。」
過去に何度も聞いたその声に、恐怖で震える巽。
「ご無沙汰しております・・・。」
巽がここまで恐怖するのも無理はなかった。
これまで巽は荒木の憂さ晴らしで何度も激しい暴力を受けてきたからだ。
「負けたんだってな・・・それも女に・・・この恥さらし野郎が・・・。」
その言葉に巽は返す言葉もなかった。
「お前はもう用済みだよ・・・なぁ巽、もう極闘会にも顔を出すな。
胸糞悪くて反吐が出ちまうわ・・・、分かったな?」
必死に絞り出した言葉は、限りなく小さい「はい」とそれだけだった。
「それと、お前らを潰した紫炎・・・だったか?追い込んだようだな。
お前の最後の仕事だ、完全に潰してきっちり終わらせろ・・・。
俺もじきにそこに着く・・・それまでに終わらせておけよ・・・!」
そういうと、ブツッと荒木は一方的に電話を切った。
「ここに荒木さんが来る・・・まずいまずい・・・!
殺される殺される・・・やばいやばい助けて・・・。」
頭を抱えうずくまりぶつぶつと何かを唱えるように話す巽。
「なんだかそっちも・・・色々あるみたいだね・・・!」
巽に声をかける椿。
そして、立ち上がった巽から発せられた言葉は・・・
「佐川椿、東條美咲、宮澤陽菜・・・全員ここで消えてもらう・・・!!」
全てが敵に・・・!
次回、紫炎完全崩壊!?
激しい音を立て観音扉は勢いよく開かれた。
「佐川椿、東條美咲、宮澤陽菜・・・確認しました。」
「トップの戦力が揃い踏みか、だが誰一人として戦力にはならなそうだ。
素直に降伏すれば手は出さない、負けを認めろ。」
室内に入ることもなく瀬川は降伏を求める。
「あれ?君たちのボスはどこに行っちゃったのかな?」
予想外の状況にさすがに焦った表情を見せた椿はたらりと冷や汗を流す。
「あぁ・・・巽さんには少し眠って頂きました・・・。」
血の付いた鉄パイプを椿の前に投げる瀬川。
「どうやらうちのボスはあんた達に負けて少々毒されてしまったらしい・・・。」
「(こいつ自分のボスを・・・!ちっ・・・頼みの綱が・・・!)」
室内に緊張が走る。
「さぁ・・・チェックメイトだ。君たちは戦えない、助けも来ない。
諦めて素直に負けを認めて君たちも一家に服従するん・・・バボッ!?」
突如地面に激しく転がる瀬川。
「なっ・・・!?何事だ・・・!?」
むくりと起き上がった瀬川が見たものは血だらけで立っている巽だった。
「巽さん・・・もう意識取り戻したんですか・・・早すぎますよ・・・!!」
「黙れ・・・貴様何をしたか分かってるんだろうな・・・!!」
鬼のような形相で瀬川を睨む巽。
「まったく・・・本当に化け物みたいな体力してますね。
誰でもいい、捕えなさい、今内輪揉めしている場合ではありません・・・。」
10人程の人間が一斉に巽に飛び掛かり動きを止めた。
「ぐ・・・くそぉ・・・!貴様らァ・・・・!!」
「さて・・・こっちもいい加減決着と行きましょう、さぁ投降しなさい。」
椿に詰め寄る瀬川は一度投げた鉄パイプを拾い椿に先端を向けた。
「・・・これは本当にお前達の独断の行為か?何か裏がありそうだな。」
「もし仮に裏があったとしてもあなた方には関係のないことですよ・・・!」
「貴様ら!極闘一家のプライドはどこに行った!!!
こんな愚行に走るなど一家の名を汚すも同然だぞ!!!
こんな真似をして極闘会の方々が黙っているとでも思ったか!!?」
複数の人間に押さえつけられた巽は必死に叫ぶ。
これでさすがの瀬川も止まるであろう・・・そう信じた。
しかし、瀬川は笑った・・・。
「ははは!巽さん!これは俺の独断ではありませんよ・・・!
これはとある人物からの命令です・・・。」
ゴクリと唾を飲む巽。
「・・・誰だ?」
「大体もうお察しでしょう?俺らを動かしここまでやらせたのは・・・
2代目総長、荒木雅也さんですよ・・・!!」
この名を聞いた途端、絶望に満ちた顔を見せる巽。
「バカな・・・これを指示したのが2代目だと・・・!?」
未だ椿達がよく状況を理解できない中
突如鳴り響いたプルルル・・・という着信音と共に瀬川は電話に出る。
右手ではまだ鉄パイプが椿を狙っている。
「ほぼほぼ終わりました・・・大体が荒木さんのご指示通りに。」
「よくやった・・・ひとまず雄吾に代われ。」
携帯が巽の手に渡った。
心なしか手が震えているようにも見える。
「は、はい・・・代わりました巽です。」
「よぉ、久しぶりだな現総長、巽雄吾君・・・。」
過去に何度も聞いたその声に、恐怖で震える巽。
「ご無沙汰しております・・・。」
巽がここまで恐怖するのも無理はなかった。
これまで巽は荒木の憂さ晴らしで何度も激しい暴力を受けてきたからだ。
「負けたんだってな・・・それも女に・・・この恥さらし野郎が・・・。」
その言葉に巽は返す言葉もなかった。
「お前はもう用済みだよ・・・なぁ巽、もう極闘会にも顔を出すな。
胸糞悪くて反吐が出ちまうわ・・・、分かったな?」
必死に絞り出した言葉は、限りなく小さい「はい」とそれだけだった。
「それと、お前らを潰した紫炎・・・だったか?追い込んだようだな。
お前の最後の仕事だ、完全に潰してきっちり終わらせろ・・・。
俺もじきにそこに着く・・・それまでに終わらせておけよ・・・!」
そういうと、ブツッと荒木は一方的に電話を切った。
「ここに荒木さんが来る・・・まずいまずい・・・!
殺される殺される・・・やばいやばい助けて・・・。」
頭を抱えうずくまりぶつぶつと何かを唱えるように話す巽。
「なんだかそっちも・・・色々あるみたいだね・・・!」
巽に声をかける椿。
そして、立ち上がった巽から発せられた言葉は・・・
「佐川椿、東條美咲、宮澤陽菜・・・全員ここで消えてもらう・・・!!」
全てが敵に・・・!
次回、紫炎完全崩壊!?
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