Legend Girl!

広瀬あかり

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第四十八闘:忠誠

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「今こそ憎き紫炎に復讐の時!何としてでも雄吾さんの仇を取れ!!」
『うおおおおおお!!』
「絶対に紫炎を叩き潰すぞォオオオ!!」

その声は、巽の耳にもしっかり届いていた。

「この声は・・・参隊の瀬川か!?あいつら何を・・・!!」

急いで椿の部屋を飛び出した巽、その顔は相当焦っていた。

「ま、また急襲・・・!?一家を倒したばかりなのに・・・。」
「だからだろ、てか巽のあの焦りよう・・・多分襲って来てるのは一家の奴らだ。」
「え!?どういうこと!?まだボスであるはずの巽がここにいるのに!!」
「独断で攻めてきたな・・・僕等(紫炎)を潰せればそれでいいんでしょ。
 納得できていないんだよ、ずっと信じてきた一家が僕等なんかに負けたことを。
 そして最強であるボスを打ち負かした奴は女の子だなんて、信じられるはずもない。
 彼らは今、《忠誠》と《憎しみ》いう心に取りつかれきっとここまで来た。
 成果を上げて、僕等を潰して一家の敗北ということをなかったことにしたいんだ。
 多分死に物狂いで・・・玉砕覚悟でここまで来るだろうね・・・・。」

「敗北は恥と思え!!何もかもを叩き潰してここを落とすぞォオオ!!」
「一家に敗北という文字を飾ってはいけない!何もかもなかったことにしろ!!」
「全員殺せェエエエエ!!」

ついに紫炎内部になだれ込んできた一家のメンバー。
聞こえる叫び声からは相当な憎しみと恨みを感じ取れる。

ベッドの上で怒号に震える陽菜。
「この声・・・怖い・・・何これ・・・!!」
「陽菜っち・・・!大丈夫かい・・・!?」
「強大な力を本気で怒らせるということはこういうことだ・・・。
 こうして戦争そのものには勝ったのに後の報復劇で転覆した国はいくらでもある。
 僕達がこれを受け止めきれなければ・・・紫炎もまた終わるかも知れないね。
 だが・・・うちには今彼が来ている、こうなった以上は好都合だ。
 彼に全てを任せよう・・・彼等の忠誠が本物なら止まるはずだ。」

紫炎アジト内、階段・・・
対峙する二人。
「なっ・・・!?ボスがどうしてこんなところにいるんです・・・・!!」
「やっぱりお前か瀬川・・・こんなところで何をしている・・・!?」
「いや、これは・・・・なんでも・・・!」

片手にしっかりと握られていた鉄パイプを咄嗟に後ろ手に隠す瀬川。

「この隊を先導しているのはお前だな?」
「・・・・・。」
「おい、質問に答えないか・・・一体これはなんの真似かと聞いている。
 一切の報復は禁止したはずだな?お前たちの目的はなんだ、言ってみろ。」
「・・・紫炎の壊滅です。」

バキャッ・・・という鈍い音と共に吹き飛ぶ瀬川。
鋭くも激しいパンチが瀬川の顔面を捉えた。
手から離れた鉄パイプはカランカランと音を立て転がった。。

瀬川はボタボタと顔中から血が流れ、
苦痛に顔を歪めながらも顔を押さえ立ち上がる。
「ぐぅ・・・!ボス、どうかお許しください!!
 どうしても納得できないんです!あの最強であるボスが女に負けるなんて!!
 しかも負けた瞬間極闘会はあなたを一家のボスとして認めなくなった。
 俺はあなた以外が突然ボスになるなんて信じられないんです!!
 しかしこれが成功すればもしかしたら極闘会はあなたのボスの存続を
 許してくれるかも知れないんです!共に紫炎を叩き潰しましょう!!
 もうすぐ別動隊が紫炎のボスたちがいる部屋に辿り着きます・・・!」

その言葉でハッと上を向く巽。
「(しまった・・・!上にはボロボロの奴らばかりだ・・・!!)」

急いで駆け出そうとすると、巽は瀬川に腕を掴まれた。

「待ってくださいよ、今の動き、まるで憎き紫炎を助けに行くようだった・・・。
 冗談でしょう?ねぇ巽さん!!あんたまさか裏切るのか・・・!?」

ガッと腕を振りほどく巽。

「俺達は負けたんだよ瀬川、もうやめろ。こんな真似して一家の恥だと思わんのか。」
「巽さん・・・恥でも何でも・・・俺らは負けが許されないでしょうが!
 だったらどんな手を使ってでも俺らに逆らった反逆者共を叩き潰すまで!!
 もう止められないんです!俺は上に行きます・・・。」

静かに巽の横を抜け上に向かう瀬川を巽は止める。
「もうよせと言っている!俺の命令が聞こえないのか!?」

ゴッ・・・。
この瞬間、瀬川は鉄パイプを拾って巽を思い切り殴りつけた・・・。

その場で気を失い頭部から血を流し倒れる巽。
「すみません・・・もういいから眠っていてください・・・。
 あんたが次に気づいた時にはすべてが終わって
 あんたは再びこの極闘一家のボスという玉座の上に座ってるよ・・・。」

そして、椿達がいる部屋の前に別動隊と瀬川が並んだ。
「よし・・・ここまで来ました、瀬川さん・・・。」
「ああ、よくやった。今からこの中にいる連中を一人残らず叩き潰して降伏させる。
 それでこの戦争は終わりだ、中にいるのは大怪我人ばかりらしいが
 一家への反逆者共を許すな、何も考えずに問答無用で捻り潰せ。
 失敗は許されない、全員覚悟をもって突入しろ。」

倒れた巽、そして部屋から動けぬ紫炎のトップ達!
一体どうなる!?
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